再生可能エネルギーとは?デメリットや普及の必要性について解説!

再生可能エネルギーの利用は中小企業にとっても待ったなしの状態です。しかし、導入にあたってはメリット・デメリットをしっかり把握する必要があるでしょう。SDGs(持続可能な開発)は全地球的な課題であると同時に、企業経営の前提条件となりつつあるからです。

今回は再生可能エネルギーとは何か、再生可能エネルギーの種類やデメリット、日本の再生可能エネルギーの現状や普及の必要性などについてまとめます。この記事を再生可能エネルギー導入の参考にしていただけると幸いです。

目次

  1. 再生可能エネルギーとは何か

  2. 再生可能エネルギーの種類

  3. 再生可能エネルギーのデメリット

  4. 日本の再生可能エネルギーの現状

  5. 再生可能エネルギー普及の必要性

  6. まとめ:中小企業も積極的に再生可能エネルギー導入を!

1. 再生可能エネルギーとは何か

再生可能エネルギーとは、法律(エネルギー供給構造高度化法)で「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定められています。

具体的には、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマスがこれにあたります。

各国の再生可能エネルギー

出典:資源エネルギー庁『安定供給 | 日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」

政府は再生可能エネルギーの普及により、諸外国よりも低いエネルギー自給率の向上を目指しつつ、温室効果ガスの排出を減らそうと考えています。

2. 再生可能エネルギーの種類

太陽光発電

各国の再生可能エネルギー

出典:資源エネルギー庁『再エネ | 日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」』(2020)

太陽光発電は太陽の光エネルギーを太陽電池で電気エネルギーに変換する発電方法です。太陽光発電は日本でもメジャーな再生可能エネルギーの一つで比較的普及が進んでいます。2019年度には、日本の太陽光発電の容量は世界3位です。

太陽光発電の特徴はエネルギー源が太陽光であるため、枯渇の心配がないことです。建造物の壁や屋根を利用できるので、都市部でも比較的導入しやすい発電方法だといえるでしょう。

また、送電設備がない遠隔地でも発電装置である太陽光パネルを設置すれば発電可能というメリットもあります。この特性は非常用電源としても有効です。

風力発電

風力発電

出典:資源エネルギー庁『風力発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー

風力発電は風車などを用いて風のエネルギー電気エネルギーに変換する発電方法です。2000年以降に導入が進み、発電設備数は2200基以上、設備容量は335.7万kWになりました。

現在、風力発電の設備は陸上に設置されているものがほとんどです。今後は、発電装置を洋上に設置するなどしてさらなる発電設備の増加が見込まれています。また、夜間に発電できない太陽光発電を補うものとしても期待されています。

中小水力発電

水力発電といえば、大規模なダムを連想する方が多いかもしれません。しかし、ダム建設は周辺環境を大きく変え、環境負荷が高いという指摘も出ています。そこで近年注目されているのがより小さな設備でも発電可能な中小水力発電です。

中小風力発電

出典:資源エネルギー庁『水力発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー

たとえば、鹿児島県薩摩川内川に設置されたらせん水車を用いた小水力発電所は、発電量こそ28kWと小規模ですが、小さな落差で発電可能で、農業用水路などにも設置できるのが特徴です。こうした中小水力発電は環境負荷が小さく、普及が期待されます。

地熱発電

地熱発電とは、主に火山活動などによって発生する高温の蒸気や熱水を利用して行う発電方法です。環太平洋造山帯の一部である日本は世界でも屈指の火山大国です。

地熱発電

出典:資源エネルギー庁『地熱発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー

火山が生み出した熱水や蒸気の力でタービンを回して発電するため、温室効果ガスなどをほとんど排出しません。

また、昼夜を問わず発電可能なため電力の安定供給が期待できます。現在、東北地方や九州地方を中心に設置されていますが、まだまだ普及の余地があるといえます。

バイオマス発電

バイオマスとは、エネルギー源として利用できる動植物などの総称です。バイオマス発電は、バイオマスを直接燃焼したり、ガス化(バイオマスガス)し燃焼させる発電方法です。

バイオマス発電

出典:資源エネルギー庁『バイオマス発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー

バイオマスになるものとして、間伐材や稲わら・もみ殻・家畜の糞など、林業・農業で発生する廃棄物や家庭で排出される生ごみなどがあげられます。バイオマス発電では、これらの廃棄物をエネルギー源として有効活用することが期待できるでしょう。

3. 再生可能エネルギーのデメリット

供給の不安定さ

再生可能エネルギー

出典:資源エネルギー庁『再エネ | 日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」

再生可能エネルギーのデメリットは、電力供給の不安定さです。

電力供給が不安定な理由は、天候などの環境要因に左右されやすいからです。太陽光であれば日照時間に、風力であれば風向や風の強さに、地熱であれば火山活動などにそれぞれ左右されてしまいます。その結果、発電量の不足や超過が起こりやすくなります。

高いコスト

二つ目のデメリットは導入コストの高さ。諸外国と比較すると、日本の再生エネルギーのコストは高いとされます。

2021年3月1日付の日経新聞によると、1000キロワットの電力を作る際、中国の太陽光発電が33ドル、アメリカの風力発電は36ドルでした。それに対し、日本は太陽光で124ドル、風力で113ドルもかかってしまいます。

出典:日本経済新聞『日本の再生エネ発電費用が高い理由は?』(2021/3/1)

再エネ発電費用

出典:経済産業省 太陽光発電競争力強化研究会『太陽光発電競争力強化研究会 報告書』(2016/10)(P.5)

特に、再生可能エネルギーの主力といえる太陽光発電については海外製の太陽光パネルの国内普及による日本企業の競争力低下という問題があります。

国内1位の京セラでも世界のトップ10に入っていないという現状です。太陽光に関する技術を如何に向上させ、さらなるコストダウンするかは、太陽光発電の未来を占ううえで重要なポイントとなるでしょう。

4. 日本の再生エネルギーの現状

化石燃料依存度

出典:資源エネルギー庁『2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)

発電に利用される電源の内訳のことを電源構成といいます。資源エネルギー庁が作成した電源構成の推移をみると、日本は石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料への依存が80%近くを占めています。再生可能エネルギーの割合は増えているものの、まだまだ、火力発電への依存が高いといえます。

各国再エネ

出典:資源エネルギー庁『再エネ | 日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」

また、再生可能エネルギーの内訳をみると、太陽光発電の割合が高いこともわかります。こうした観点からも、再生可能エネルギー普及のカギは太陽光エネルギーのコストダウンであるといえるでしょう。

5. 再生可能エネルギー普及の必要性

2015年9月15日、国際連合本部で「国連持続可能な開発サミット」が開催されました。そこで、2030年までに取り組むべき17のゴールを定めた「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。

出典:環境省「持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs」(2020/3/6)

このアジェンダでは、持続可能なエネルギーへのアクセスや気候変動への対策などに世界の国々が行動すべきだとしています。気候変動対策の代表が二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出抑制。そのためには、今まで以上に再生可能エネルギーを普及させることが必要となります。

6. まとめ:中小企業も積極的に再生可能エネルギーの導入を!

今回は再生可能エネルギーのデメリットや普及状況、今後の見通しなどについてまとめました。SDGs(持続可能な開発)の提唱に見られるように、地球環境に配慮した経営は企業存続の必要条件となりつつあります。

大手ではないからという理由で再生可能エネルギーの導入に後ろ向きであることが許されない時代になったといってもよいでしょう。今後は、中小企業においても太陽光パネルの設置や再生可能エネルギーの技術開発など積極的なかかわりを求められるのです。

 

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