地熱発電メリット・デメリットを徹底解説!その仕組みと種類は?
- 2022年10月07日
- 発電・エネルギー
地熱発電とは再生可能エネルギーのひとつです。では、地熱発電とはどのような発電方法で、メリット・デメリットはなんでしょうか。本記事ではその仕組みや種類など、地熱発電について詳しく解説します!
再生可能エネルギー導入が進む背景には、世界の環境問題への意識の高まりがあります。CO2を含む温室効果ガス増加の影響で、地球温暖化や気候変動が頻発しており、CO2排出は少しでも抑制しなければなりません。地熱発電は、CO2発生が少ない期待の再生可能エネルギーです。目次
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地熱発電は注目の再生可能エネルギー
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地熱発電のメリットとは
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地熱発電のデメリットとは
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地熱発電の今後の展望は
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まとめ:再エネとして有望な地熱発電のメリット・デメリットを知ろう!
1. 地熱発電は注目の再生可能エネルギー
再生可能エネルギーとは何か
再生可能エネルギー(以下、再エネ)とは、CO2を排出する化石エネルギーとは違い、自然界に常に存在する太陽光や風力、地熱など、自国の自然環境を生かしながら生産できるエネルギーのことです。地球温暖化抑止のためにも、全世界的にCO2の削減が推し進められる中、再エネは必要不可欠なエネルギーです。
出典:資源エネルギー庁『なっとく!再生可能エネルギー 固定価格買取制度 (対象となる再生可能エネルギー)(2021.8.31)』
地熱とは何か
そもそも地熱とはなんでしょうか。「地熱」とは地球の内部に存在する熱のことです。地球の内部にある熱の温度は5,000~6,000度あると言われています。火山地帯の地下にはマグマの貯まる「マグマだまり」と呼ばれる熱源が存在し、その一帯は大規模な地熱地帯です。
地熱発電の仕組み
地熱発電は、地下1,000メートル~3,000メートルに存在するマグマの熱源を利用します。マグマにより、地下に浸透した雨水が熱されることで高温の蒸気が発生しますが、それらの熱せられた高温・高圧の熱水、蒸気のことを地熱流体と呼びます。この地熱流体のエネルギーを利用して発電するのが地熱発電です。
地熱貯留層とは、蒸気や熱水などの地熱エネルギーが溜まっている場所です。この地熱貯留層まで、生産井という井戸を掘り、蒸気や熱水を引き上げます。引き上げた高温の蒸気を使用しタービンを回転させることで発電し、熱水は還元するための井戸によって、また地中に戻されます。
地熱発電の種類
地熱発電には以下の2種類があります。
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バイナリー発電
地熱流体が150℃以下の中低温度の場合、分離した蒸気から、直接タービンを回転させることはできません。このように、タービンの回転パワーが不足している場合に用いられるのが、バイナリー発電です。水よりも沸点の低いアンモニアなどの媒体を加熱させて、それと熱交換することで発電します。
温泉などの、100度前後の熱源を利用すれば可能なため、地熱発電の新たな設備を設置する採掘が必要ありません。景観保護の観点からも、近年注目を集めている地熱の発電方式です。
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フラッシュ発電
200度以上ある高温の蒸気を、地熱貯留層から引き上げ利用する地熱発電方式がフラッシュ発電方式(蒸気発電方式)です。発電が終わった蒸気は水に還元し、冷却に使用します。この発電方法は、シングルフラッシュ発電とダブルフラッシュ発電と呼ばれる2種類があります。
シングルフラッシュ発電は、熱水である地熱流体から気水分離器で蒸気を一度だけ分離し、タービンを回転させ発電させます。日本で最も採用されているのは、このシングルフラッシュ発電です。
ダブルフラッシュ発電は、気水分離器で分離した熱水を、減圧機でさらに蒸気を取り出し、高圧蒸気と低圧蒸気の両方でタービンを回転させて、発電する方法です。シングルフラッシュより10%から25%出力がアップします。
2. 地熱発電のメリットとは
それでは、地熱発電のメリットを具体的に説明します。
(1)CO2排出量が少ない
再エネの中でも地熱発電は、CO2をほぼ排出しないことが最大のメリット。発電所建設から稼働までに発生するCO2を計算した「ライフサイクルCO2排出量」を見ても、太陽光発電や風力発電に比べ、地熱発電によって発生するCO2の量は、非常に少ないことがわかります。脱炭素を目指す再エネとして非常に有効です。
出典:資源エネルギー庁「「CO2排出量」を考える上でおさえておきたい2つの視点」(2019.6.27)
(2)天候や時間帯の影響を受けず安定した電力供給が可能
地下の熱源を利用した地熱発電は、太陽光や風力などの再エネと比較して気象状況や季節、時間帯の影響を受けることがありません。また、資源が枯渇する心配もなく、安定した電力供給が可能なのが大きなメリットです。
(3)日本は地熱資源量世界3位!
地熱資源量は活火山数との関係が強いため、火山大国日本は大きな可能性を秘めています。日本の地熱資源量は世界第3位となっており、その保有率は2,300万kWです。1位のアメリカ3,000万kWや2位のインドネシア2,800万kWと比較しても、劣らないほどの地熱資源のポテンシャルを保有しています。島国で資源が乏しい日本において、純国産エネルギーの地熱発電は、期待の再エネと言えます。
出典:Toshiba Clip「日本は世界3位の地熱資源国! 地熱発電のさらなる可能性を追う」(2017.6.21)
3. 地熱発電のデメリットとは
様々なメリットがある一方で、地熱発電にはデメリットも存在します。地熱発電のデメリットはどのようなものでしょうか。
(1)開発コストが高い
地熱発電は、開発にかかる時間と費用の大きさがデメリットです。まず、土地が地熱発電に向いているかどうかの地質調査や、地盤調査を行わなければなりません。地下深くの熱源を利用するので、これを調査するための掘削作業もあります。加えてそれぞれに莫大なコストがかかります。
また、開発しても蒸気の状態により、必ずしも想定した発電量にならない可能性も高く、他の再エネと比べ、不確実性というリスクも伴います。
出典:資源エネルギー庁「地熱エネルギーの宝庫・東北エリアで見る、地熱発電の現場(後編)」(2020.1.15)
(2)自然の景観を損ねる可能性
地熱発電の熱源となる土地は、国公立公園や温泉地帯に多く存在します。しかし、そのような観光地でもある場所に地熱発電の施設を建設すれば、景観を損なう恐れがあります。国公立公園は、法律によって開発が制限されているので、より発電設備の建設は困難を伴います。
また、温泉地であれば地元の住民の理解も必要になるでしょう。地熱発電開発は、観光地や自然を保護する観点が必要です。
(3)立地条件が限定される
地熱発電を行うためには、地熱流体が存在する地層を利用する必要があります。掘削する距離を最小限に留めるためには、フラットな土地でなおかつ火山の近くでなくてはいけません。しかし、そのような好条件がそろっている地域は、北海道や九州、東北地方などに限定されてしまうため、地熱発電に適した立地を選ぶ難しさがあります。
4. 地熱発電の今後の展望は
日本での取り組みの現状
日本では、早い時期から地熱発電の開発に取り組んでおり、1966年には岩手県に日本初の地熱発電所が開設しています。しかし、開発技術やコストの問題で、その後の開発は頓挫しました。再エネを促進するFIT制度の導入で、地熱も対象となったことから、近年再び注目されています。
今後の取り組みとして、経済産業省は、2030年度までには地熱発電の設備容量を、現在の約140万から155万kWにあげることを目標に掲げています。秋田県では火山地帯であるメリットを生かし、地熱発電の開発に盛んに取り組み、多くの電力を供給しています。2019年6月末時点で、日本には設備容量約57万kWあまりの地熱発電所が存在します。
出典:資源エネルギー庁「地熱エネルギーの宝庫・東北エリアで見る、地熱発電の現場(前編)」(2020.1.09)
課題解決の必要性
地熱発電は純国産の再エネとして、期待の高い発電方法です。開発が進むことで、安定性のある電力確保やCO2削減など多くの問題を解決できる可能性があります。そのためにも、地熱発電の持つ課題を一つ一つ解決し、その重要性と開発の必要性を訴えていかなくてはなりません。
日本の地熱資源のポテンシャルを活かすために
小さな島国である日本には、多くの地熱資源が眠っています。世界3位という、日本が持つ地熱発電のポテンシャルの高さは類を見ないものです。これを活かせば、将来的に自国ですべての電力を賄うことも不可能ではありません。地熱発電の活用にあらためて注目し、さらなる開発を推し進める必要があります。
5. まとめ:再エネとして有望な地熱発電のメリット・デメリットを知ろう!
メリット・デメリットを含めて、あらゆる角度から地熱発電を解説しました。日本にこれだけのポンテシャルを持つ再エネがあることに、驚かれたのではないでしょうか。まだまだ課題もある地熱発電ですが、本格的な開発も進められており、再エネの中でも重要なエネルギーであることは間違いありません。
企業の環境価値を高めるためにも、可能性の高い再エネは常に注目する必要があります。地熱発電を含めた再エネの導入を検討し、ぜひ未来に貢献する企業へと踏み出してください!