SDGsとは何か?今、学校で行われているSDGsの取り組み事例を解説!
- 2022年10月11日
- SDGs・ESG
最近、SDGs(持続可能な開発目標)を学校教育で扱うことが求められています。この要請にもとづき、各学校で具体的な取り組み事例がみられるようになりました。小学校・中学校・高校の各段階で、自分たちにできる身近なSDGsへの取り組みの模索が始まっています。
こうした動きに対し、国だけではなく民間企業の支援も求められるようになりました。これは、大企業だけではなく中小企業も同様です。今回は学校で取り組みまれているSDGsの具体例や中小企業の関わり方について解説します。
目次
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SDGsとは何か
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小学校での取り組み事例
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中学校での取り組み事例
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高校での取り組み事例
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中小企業による「こどもSDGs」教育への支援
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まとめ:企業がSDGs教育で果たすべき役割とは
1. SDGsとは何か
SDGsの基本
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で、日本語では持続可能な開発目標と訳されます。この目標は2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(以下、2030アジェンダ)に記載されました。
SDGsは17のゴール(到達点)と169のターゲット(小目標)から成り立ち、その実現のため世界各国が協力と提言をします。
出典:外務省『SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省』
17のゴールは、3つに分類することができます。ゴール1~6は貧困や飢餓の根絶など、主に発展途上国向けの目標です。人々が衣食住に不自由なく、安心して生活できることが目的といえます。ゴール7~12はエネルギーや産業、働き方、製造物責任など主に先進国や企業が取り組むべき課題をとりあげました。そしてゴール13~17は気候変動や海洋環境の保全、生物多様性などグローバルな課題をとりあげます。
日本政府は「2030アジェンダ」にもとづき、2016年に総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」を設置。これを司令塔とし、行政やNGO・NPO、有識者、民間企業、国際機関など幅広い利害関係者を集めた「SDGs推進円卓会議」で議論を重ね、2016年12月に「SDGs実施指針」を決定しました。
出典:外務省『日本政府の取組 | JAPAN SDGs Action Platform』
SDGsで重視される「5つのP」
「2030 アジェンダ」では、SDGsのキーワードとして「5つのP」を掲げました。人間(People)、繁栄(Prosperity)、地球(Planet)、平和(Peace)、連帯(Partnership)の5つです。人間中心の考え方にもとづく持続的な開発を目標とし、地球上の「誰一人として取り残さない(no one will be left behind)」ことを目指します。
「5つのP」をより具体的に見ていくと、人間「People」は、貧困の解決と健康、相手の尊重といった内容をさします。繁栄(Prosperity)は経済的な豊かさ、地球(Planet)は自然との共存を表しました。また、平和(Peace)、連帯(Partnership)では争いのない世界を作り、様々な形で世界中の人々が協力し合うことを目指します。
2. 小学校での取り組み事例
葛飾区立末広小学校の事例
東京都葛飾区立末広小学校では、学校でできるSDGsへの取り組みを実践しています。この学校の目標は「環境問題を中心に、様々な持続可能な開発目標(SDGs)について学び、思いやりの気持ちをもって、自分でできることをよく考え、進んで働いて、たくましく粘り強く取り組む児童を育てる」ことです。
地球温暖化対策に対する取り組みとして、ヘチマや朝顔を育てて作る「緑のカーテン」や森林資源の保全のため、新しい紙や木材の使用をできるだけ控える牛乳パックのリサイクル、ごみの減量化を実践するための古紙回収や古着回収などを実践しています。
江東区立八名川小学校の事例
江東区立八名川小学校では、SDGsを1年を通じて学ぶ「カリキュラム・マネジメント」を実施しました。
この「カリキュラム・マネジメント」の最大の特徴は科目横断型のカリキュラムだということです。総合的学習の時間を基軸とし、社会科や特別活動、図工などを組み合わせて未来に対する自分なりの目標設定を行わせる点などは科目横断型の最たる点でしょう。
また、1月から2月に実施される「八名川まつり」に児童たちが参加し、そこでプレゼンテーションをします。地域の人々の前で発表することで、自分たちがやってきた学びをアウトプットできるのが特徴的です。
学校がSDGsに取り組む必要性
現在、学校教育において、SDGsに取り組む必要性がかつてないほど求められています。その理由は何でしょうか。それは、世界が気候変動や資源の枯渇、生物多様性の喪失など危機的な状況に見舞われているからです。
現代に生きる私たちはこれらの現代社会の問題を自らの課題と考え、身近なところから取り組まなければなりません。その取り組みは私たちの世代だけではなく、未来を生きる子供たちに引き継ぐことが必要です。
そのため、学校は「持続可能な開発のための教育」であるESD(Education for Sustainable Development)を実践し、持続可能な社会の創り手を育む必要性があるのです。
3. 中学校での取り組み事例
桜美林中学・高等学校の事例
私立の桜美林中学・高等学校では4つの取り組みを実践しています。一つ目がユネスコスクール加盟です。国際理解教育や英語学習を通じて、世界の人々とつながるための試みです。二つ目がさくらプロジェクト。東日本大震災後の2013年に始まった東北地方支援のプロジェクトです。
三つ目は収穫感謝礼拝。収穫に感謝することを通じ、貧困をなくすことやすべての人に健康と福祉をもたらすことや質の高い教育の提供などについて考えます。四つ目はフィリピン留学。海外留学を実践することで、国際理解を高めます。いずれも、キリスト教の学校という特色を生かした桜美林ならではの取り組みといえるでしょう。
出典:桜美林中学・高等学校『SDGsへの取り組み | 学校生活』
相模原市立鳥屋中学校の事例
相模原市立鳥屋中学校では、学校祭でSDGsについて発信しました。題して「ぼくたちはどう生きるか ~SDGsを通じて~」。中学3年生の全員が、SDGsの17のゴールのうち、興味があるものを各自で調べて発表する取り組みでした。合計30分以上に及ぶプレゼンは中学生と思えないしっかりした内容でした。
出典:相模原市『中学生が学園祭でSDGsを発信!「ぼくたちはどう生きるか ~SDGsを通して~」 | 取り組み事例 -SDGs one by one - SDGsを楽しく学ぶメディアサイト by 相模原市』
4. 高校での取り組み事例
東京都 明星高校の事例
東京都府中市にある明星高校では、「M-Project」と命名された独自の活動をしています。プロジェクトにつけられた「M」は明星高校の頭文字であり、同時に協力企業である「mymizu」の頭文字でもあります。「mymizu」はプラスチックの消費削減に取り組む企業で、給水所の設置やオンラインショップでの商品販売を手掛けています。
このプロジェクトに参加した学生はペットボトル消費を抑えるため、自家製のマイボトル作成や校内での給水器設置などに取り組んでいます。ほかにも明星高校では「ほしのきぱーく」という墓誌支援活動や「すまいるサンタ」という子ども食堂支援も実施しています。
出典:mymizu『 mymizu 日本初給水アプリ refill app and sustainability movement』
出典:ソトコト『高校生のSDGs探求活動をご紹介!vol.2 | sotokoto online(ソトコトオンライン)』(2021/3/25)
北九州市 「第1回 高校生SDGs選手権大会」の取り組み
2020年3月20日、北九州市で「高校生SDGs選手権大会」が実行される予定でした。これは、生徒たちが地域の課題を探り出す「探求学習」の成果を発表する場として企画された大会です。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により中止となりました。そのかわりに、各学校が予定していたプレンテーションの動画が公開されています。
出典:北九州市『第1回高校生SDGs選手権大会プレゼンテーション部門』(2020/8/12)
敬愛高等学校は「空き家プロジェクト」を提案し、空き家を生かした地域活性化をプレゼン。福岡県立中間高等学校は、男女差別をなくすことやゴミの減量化、エコとの共存などをテーマとした発表を実施しました。
さらに、福岡県立北筑高等学校は「誰もが暮らしやすい社会」をテーマに、障がいを持った人でも公共の場を利用しやすくするべきだとするプレゼンをおこないます。
5. 中小企業による「こどもSDGs」教育への支援
SDGsは大企業だけではなく、中小企業に対しても求められる考え方です。しかし、中小企業におけるSDGsの認知度はいまだに低いのが現状です。経済産業省がおこなった「中小企業のSDGs認知度・実態等調査」によれば、8割以上の企業がSDGsについて全く知らないと回答しています。
では、SDGsに取り組むことで中小企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。すくなくとも、2つの大きなメリットがあります。
一つは企業イメージの向上です。企業イメージが向上すると、消費者の印象が良くなり販売促進効果が見込めることや高い能力を持った人材が集まりやすくなるなどの利点を得やすくなるでしょう。
二つ目は企業の独自性の創出です。SDGsに対する取り組みが義務的なものではなく、積極的な取り組みだった場合、それは企業に独自性を付与することにつながるでしょう。
出典:経済産業省 関東経済産業局『中小企業のSDGs認知度・実態等調査」結果を取りまとめました/詳細版』(p.8)(2021/3)
6. まとめ:企業がSDGs教育で果たすべき役割とは
「2030 アジェンダ」では、世界のすべての人々がSDGsを意識した取り組みを実践することが求められます。大企業では着々とSDGsへの取り組みが成されている一方、中小企業では実践はおろか、認知すら低いという現実があります。
日本の企業の99.7%を占める中小企業は、これまで以上にSDGsに取り組むことが求められるでしょう。その際、もっとも身近なSDGsの取り組みとして学校教育への協力があげられます。
中小企業は、それぞれが持っているノウハウを活かし、学校での出前授業や児童・生徒の事業所見学の受け入れ、環境に配慮した製品の開発など様々な形でSDGs教育に貢献することが可能です。こうした役割を中小企業が担うことは時代の必然となるでしょう。
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