カーボンニュートラルとは?意味や取り組みをわかりやすく解説

カーボンニュートラルの基本的な考え方は,CO2をできるだけ削減努力をした上で、どうしても排出される温室効果ガスを何らかの手段によって実質ゼロにするというものです。

この記事では,カーボンニュートラルへの取り組みをご検討中の法人の皆さまが知っておくべき、概念や取り組み、問題点、問題点を解決するための取り組みについて詳しくご紹介します!

目次

  1. カーボンニュートラルの概要

  2. カーボンニュートラルに向けた取り組み

  3. カーボンニュートラルの問題点と日本の取り組み

  4. まとめ:カーボンニュートラルについて理解を深め、取り組みを始めよう!

1. カーボンニュートラルの概要

日本を含む世界各国が、カーボンニュートラル実現に向けて、目標を掲げ取り組みを行っています。ここでは、カーボンニュートラルの概念やカーボンニュートラルが重要視されている背景についてわかりやすくご紹介します。

カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルには「炭素中立」という意味があります。カーボンニュートラルをわかりやすくまとめると「温室効果ガス排出量をできるだけ削減し、削減できなかった温室効果ガスを吸収または除去することで実質ゼロにすること」になります。温室効果ガス排出量を削減することが難しい分野もあるため、できるだけ削減努力をした上で、どうしても排出される温室効果ガスを何らかの手段によって実質ゼロにするというのが、カーボンニュートラルの基本的な考え方です。

カーボンニュートラルイメージ

出典:資源エネルギー庁『「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?』(2021/2/16)

カーボンニュートラルが重要視されている背景

資源エネルギー庁によると、2021年1月20日時点で、2050年度までのカーボンニュートラル実現を表明している国は、124カ国と1地域あります。2060年度までには、世界の約3分の2がカーボンニュートラル実現を目指しています。このように世界でカーボンニュートラルに向けた動きが活発化されている背景には、気候変動による深刻な影響がありますが、それ以外に経済的なメリットもあります。財務情報だけでなく環境・社会・ガバナンスの観点から投資を決めるESG投資が拡大したことで、カーボンニュートラルを目指すことは生き残りをかける重要課題だと考えられています。

出典:資源エネルギー庁『「カーボンニュートラル」って何ですか?(後編)~なぜ日本は実現を目指しているの?』(2021/3/16)

2. カーボンニュートラルに向けた取り組み

カーボンニュートラルを実現するためには、温室効果ガス排出量そのものをできるだけ削減し、削減できない量を温室効果ガスの吸収または除去により実質ゼロにする必要があります。

温室効果ガス排出量を削減する手段には、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの徹底などがあります。温室効果ガスを吸収または除去する手段には、植林の推進や大気中のCO2を回収する技術の活用などがあります。ここではカーボンニュートラルに向けた取り組みについてわかりやすくご紹介します。

(1)再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーは、化石燃料と比べると、発電時にCO2を排出せず、ライフサイクルを通して排出されるCO2の量も少ないです。オフィスや工場で使用する電力を再エネ由来の電力に切り替えることで、排出されるCO2を大幅に削減することができます。下のグラフは、各種発電技術のライフサイクルCO2の排出量です。

種発電技術のライフサイクルCO2の排出量

出典:資源エネルギー庁『「CO2排出量」を考える上でおさえておきたい2つの視点』(2019/6/27)

(2)省エネルギーの徹底

火力発電の効率を高めることで、CO2排出量を削減することができます。日本の火力発電所では、すでに省エネルギーを実現できる様々な技術が導入されています。

出典:資源エネルギー庁『さまざまなエネルギーの低炭素化に向けた取り組み』(2018/2/8)

(3)植林の推進

樹木は、光合成を行う時に大気中のCO2を吸収します。同時に酸素を大気中に発生させ、炭素を蓄え成長する性質があります。植林を進めることで、CO2吸収量を増やすことができます。

出典:林野庁『森林は二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の防止に貢献しています』

(4)CO2を回収する技術の活用

CCSやCCUSなど新しい技術に注目が集まっています。CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は、工場などから排出されたCO2を大気中から回収し、地中深くに貯留し圧入する技術です。CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は、貯留したCO2を資源として活用しようとする技術です。

出典:資源エネルギー庁『知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」』(2017/11/14)

(5)カーボンオフセットの活用

カーボンオフセットとは、温室効果ガスの排出量削減が難しい場合に、削減できない量に見合う投資をすることで、その分の温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。カーボンオフセットを行う手段に国が認証するJ-クレジットがあります。J-クレジットを購入すると、CDP質問書の報告やRE100の目標達成、温対法・省エネ法の報告に活用することができます。

出典:環境省『カーボン・オフセット』

出典:J-クレジット制度『J-クレジット制度について』

3. カーボンニュートラルの問題点と日本の取り組み

日本では2014年以降、連続で温室効果ガス排出量が減少しています。しかし2050年度までに日本がカーボンニュートラルを実現するのは難しいとの声も上がっています。ここでは日本がカーボンニュートラルを実現させる上で解決すべき問題点と取り組みについてご紹介します。

カーボンニュートラルの問題点

カーボンニュートラル実現の鍵を握るのが再生可能エネルギーの導入ですが、日本は諸外国と比べて発電コストが高いという問題点を抱えています。資源エネルギー庁によると、日本では全体的にみると、年々再生可能エネルギーの発電コストは安くなっていますが、諸外国と比べると高いです。

たとえば太陽光発電1kWhあたりの2019年度の買取価格は、日本が12.6円であるのに対してドイツでは5.5円です。風力発電は日本が18.0円でドイツは6.9円です。バイオマス発電に関しては買い取りが始まった2012年から2019年まで24.0円のままです。

風力発電の各国買取り価格

出典:国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案』(2020/9)(p.15.16.18)

問題点への日本の取り組み

日本は再生可能エネルギー導入拡大とFIT法施行により生じた問題点の解決を目的とし、2017年4月にFIT法を改正しています。そこで誕生したのが改正FIT法です。

事業用太陽光を対象として、大規模案件から入札制度を導入し、競争原理を取り入れることでコストを下げる取り組みをしています。

出典:資源エネルギー庁『FIT法改正を踏まえた調達価格の算定について』(2016/9)(p.7)

4. まとめ:カーボンニュートラルについて理解を深め、取り組みを始めよう!

カーボンニュートラルの取り組みをご検討中の法人の皆さまが知っておくべき、カーボンニュートラルに関する基礎知識や、取り組み方、カーボンニュートラル実現のために日本が解決すべき問題点と取り組みについてわかりやすくご紹介しました。カーボンニュートラルへの取り組みは、気候変動問題と経済の両方に対する取り組みです。カーボンニュートラルへの理解を深め、企業も取り組みを始めましょう!

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