SDGsの具体的な事例を紹介!日本企業の取り組みとは

最近、メディアでも頻繁に企業の「SDGs」という言葉を耳にするようになりました。しかし実際に、「SDGs」に対し企業がどのように取り組んでいるかの事例については、なかなか耳に入ることがありません。

この「SDGs」に掲げられた目標を達成するため、世界各国は事例から新たな施策を打ち出し、次の一手を打ち出しています。ここでは、日本の中小企業のSDGsへの取り組みや、SDGs導入のメリット、またどのようにして企業で導入をしていくかを紹介します。

目次

  1. 企業の事例から見るSDGs取り組みのメリット
  2. 中小企業のSDGsへの取り組みと具体的な事例
  3. 企業事例からSDGsに取り組む際の課題
  4. まとめ

1. 企業の事例から見るSDGs取り組みのメリット

企業がSDGsに取り組むためには、従業員にも本来の業務外の作業を課すことになり、当然負担がかかります。加えて相応のコストも発生するため、長期的な取り組みとなる過程で効果が見えてこないと、社員のモチベーションの低下にもつながりかねません。

しかし、そうしたデメリットが想定しながらも、最低限の負担で取り組むことが現代の社会として必要です。デメリット以上に得られるメリットも多いため、ここからご紹介していきます。

そもそもSDGsとは

SDGsとは、正式には「Sustainable Development Goals」と言い、2015年9月に行われた国連サミットで採択されました。

日本語に訳すと、「持続可能な開発目標」という意味の言葉です。

わかりやすく言えば、「これからの世界がより良くなるために、世界に生きる全ての人で努力していくために掲げられた、世界共通の目標」という表現になります。

そのSDGsでは、国連に加盟している193か国が、2016年~2030年の15年間での達成を目指す「17の目標」と「169のターゲット」を掲げています。

貧困や差別、食糧問題、自然破壊…今や世界は様々な問題を抱えており、中でも環境問題は、喫緊の課題として効果的な対策が必要な項目です。そのためには、自治体はもちろん、企業や個人の協力は欠かせません。

例えば、こまめに電気を消すことや食べ残しをしないこと、友人にSDGsのことを教えることも、個人でできるSDGsへの取り組みです。

世界全体としての取り組みとして、地球上に住む人を誰一人置き去りにしない世界を目指していく時代が到来しました。企業の力や影響力に大きな期待が寄せられています。

出典:環境省『持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs 世界を変えるための17の目標』

メリット(1) ビジネスチャンスをつかめる

SDGsは貧困問題の解決や教育の拡充、持続可能なエネルギーの確保、気候変動への対策等、全部で17つの目標から構成されています。これらの目標は今まさに世界が直面している課題であり、早急に改善していく必要があるものばかりです。

本拠地をデンマークに置く製薬会社ノボノルディスクの例を挙げてみます。ノボノルディスクでは、SDGsの中のゴール4である「健康と福祉」をテーマとし、糖尿病などの治療薬開発に取り組んでいます。

中小企業では石川県金沢市の会宝産業株式会社の事例が分かりやすいでしょう。自動車リサイクル、中古自動車部品の輸入販売を手がける会宝産業株式会社は、世界の85カ国とネットワークを構築、廃車の調達、生産、品質管理や販売などの「自動車リサイクルシステム」の技術や経営ノウハウをそれぞれの国に提供しています。このビジネスを通じ、SDGsの全ての目標に関わる「貧困削減」や「雇用創出」の達成に向け取り組んでいます。

出典:JICA『池上彰と考える『SDGs入門』 SDGs、それは世界に広がるビジネスチャンス』

また、一般的に多くの企業は、仕入れ先や外注先、販売先などとの繋がりにとどまります。しかし、SDGsに取り組むにあたる事業の創出によって、他の業種との協働など、これまでかかわることのなかった企業パートナーとの繋がりが生まれるでしょう。

SDGsに取り組むことで、こうしたことが企業の新しい事業の開拓によるビジネスチャンスが期待されます。

メリット(2) 地域への貢献

SDGsの活動には、ビジネス以外の形でも関わることができます。具体的には、地域貢献という形での取り組みです。

木密地域の中にある企業が、町会や消防団と一緒に防災訓練をするなども、17の目標のうちの11番「住み続けられるまちづくりを」の項目について、十分にSDGsに取り組んでいると言えるでしょう。

また、夏休みの自由研究のための子供に向けた、自社の事業を絡めての学習イベントを企画する企業もあります。

寄付やボランティア、地域課題の解決や防災、雇用創出などの取り組みも、十分にSDGsの一環として、地域社会へ貢献可能です。

「地域貢献とは」と難しく考えるのではなく、企業の特色として地域に何を提供できるかという視点に立つほうがより柔軟なアイデアが生まれそうです。

継続的にこういった取り組みで地域に貢献することで、地域の一員となり信頼度も増し、より地域に愛される企業となれるでしょう。

メリット(3) 企業のイメージの向上

SDGsは、今世界が直面している数々の問題に、世界全体で取り組んでゆくものです。

その取り組みに企業がに積極的に取り組んでいることを知ってもらえば、社会に対しても責任を持つ企業として認識されることになります。

SDGsに取り組んでいるとアピールすると、社会が抱える貧困や環境の問題などの解決に積極的に取り組んでいると理解され、よいイメージが醸成されます。そうした顧客からの信頼度の上昇で、売り上げや利益の向上が期待できます。

企業イメージの向上やブランディングに直結すると言えるでしょう。

例えば、埼玉県の「ウォータースタンド株式会社」では、空気清浄機の販売やレンタルを事業の核としてきましたが、2018年にSDGsへの貢献を決定し、「ウォータースタンド事業」に転換しています。それに伴い地方自治体と、使い捨てプラスチック削減を目指すミッションビジョンを策定しました。顧客ともコミュニケーションを深化させた効果もあり、ウォータースタンドの設置台数は35%アップしました。

出典:経済産業省関東経済産業局 「SDGsに取り組む中小企業等の先進事例の紹介 ウォータースタンド株式会社

2. 中小企業のSDGsへの取り組みと具体的な事例

ここまでSDGsに取り組むメリットについて見てきました。

事業を生かした取り組みを中心に、貢献をしている企業は日々増加しています。

それでは、中小企業は、SDGsに具体的にどのように取り組んでいるのでしょうか。

ここからは、SDGsに取り組む2つの企業の事例についてご紹介します。

いずれの企業も、事業にSDGsの取り組みを併せ、長期的な視点で貢献し、成功している良い事例です。

有限会社トヨダ(熊本県八代市)

「有限会社トヨダ」(以下トヨダ)は、産業廃棄物処理や収集運搬、貨物運送、土木工事、家屋解体などの事業を通じて、環境問題の改善と地域社会への貢献を目指す企業です。

トヨダでは、SDGsの一環として再生可能エネルギー導入などの環境施策に取り組みを続けています。

取り組みを続けていくにあたり、省エネ支援事業者と地域専門家で構成する省エネ支援の連携体「省エネお助け隊」の利用、環境省の「エコアクション21」への参加をしました。

こうした行政支援を受け、SDGsでも17項目のうち9項目に取り組んでいます。

中でも7番目の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を特に重んじ、再生可能エネルギーにより発電された電力の調達、自家消費型太陽光発電設備の設置を進めています。

出典:有限会社トヨダ『SDGsへの取り組み』

春日製紙工業株式会社(静岡県富士市)

製紙メーカーの春日製紙工業株式会社(以下春日製紙工業)は、故・いかりや長介さんが勤めていたことでも有名な老舗企業です。

再生紙から作ったトイレットペーパーなど、環境に配慮した紙製品を製造しています。

プラスチックのストローに代わって開発された、ふやけず耐久性の高い「紙ストロー」、テイクアウトの弁当の「紙製ふた」、がちゃがちゃのプラスチックカプセル代わりの「紙カプセル」など、生活に密着したものから環境に配慮した材料に変えています。

なお、紙製品が増えることで、木の伐採などが進み、環境破壊につながる恐れはありません。

春日製紙工業は「FSC認証」を受けており、環境、社会、経済的側面での厳しい規格のもと、適正に管理された森林木材による製品であることが証明されています。

主力商品のトイレットペーパーも、新しい木を伐採することなく再生紙を利用して作られ、FSCリサイクルの認証を受けています。

出典:春日製紙工業株式会社『環境への取組み』
出典:SDGs media『【企業のSDGs事例】老舗製紙メーカーがプラスチック問題に一石を投じる|春日製紙工業』(2020年9月25日)

3. 企業事例からSDGsに取り組む際の課題

企業がSDGsに取り組むには、まず中心になって行動するメンバーを選出しなければいけません。

そして社員全員がSDGsについて共通の理解をし、通常業務と並行し継続的に推進していく必要があります。

そのためには、どのようなメンバー構成が望ましいか、またどのように周知していくのがよいでしょうか。

ここでは、2020年3月の環境省で発行された「すべての企業が持続的に発展するために- 持続可能な開発目標(S D G sエスディージーズ)活用ガイド -[第2版]4.3 取り組み⼿順」をもとに、進め方の例として「来ライハトメ⼯業株式会社の取り組み」をご紹介します。

まずは個人でSDGsに取り組む

来ライハトメ⼯業株式会社では、「私の SDGs」という取り組みから始まりました。これは、全従業員が環境、経済、社会と関連がある個⼈の⽬標を⽴てることで、SDGsを自分のこととして考えられるように考案された方法です。SDGsの難しい部分には触れず、SDGsとは一体何なのかをまずは知ってもらうことが、取り組み成功の近道と考えました。

その「私の SDGs」に取り組んで、一年後に結果を「〇〇さんのSDGs」として、本人に返却します。その振り返りを経て、次年度の自己目標を設定する仕組みです。

この取り組みによって、全従業員が「SDGs」を理解したことはもちろん、「電気をこまめに消すようになった」「募金をするようになった」などの行動の変容にもつながり、家庭でもSDGsに取り組む従業員が現れたりと、企業にとどまらない効果を生んでいます。

SDGs活動の成果を点数化

こうして行った取り組みで、初年度の個人の活動の結果を「環境活動レポート 2018 年版」で点数化。社内で独⾃のSDGs採点基準を設け、それぞれの活動を点数し、1 年間の取り組み状況についてSDGsのゴール別、及び総合で評価をつけたものです。

環境活動の評価といえば、「〇〇使⽤量××%削減」、「原単位⽐△△%減少」などのありきたりで分かりづらい表現でした。しかしSDGsを⽤いることによって、数字で表せる部分に加え、「〇〇の教育活動は××点」、「今年度法規制の遵守状況は△△点」など、これまで数字で表せなかった部分まで点数化し表現できるようになりました。

また、毎年度同じ基準で評価することは、全体の活動状況を⽐較を可能としました。

このレポートは、環境省主催の「第22回環境コミュニケーション⼤賞環境経営レポート部門」において、⼤賞の「環境⼤⾂賞」を受賞しています。

出典:環境省『すべての企業が持続的に発展するために- 持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド -[第2版]』(2020年3月)

4. まとめ

経済産業省の「SDGs経営ガイド」でも触れられていますが、日本がSDGsに掲げられた目標を達成するには、企業の力は必要不可欠です。企業のSDGsに参加による雇用創出、イノ ベーションを率いる役割、そして企資金源としても、欠かせないものと位置づけられています。企業がそれぞれの分野で強みを生かし、地球規模の課題を少しずつ解決することが、まさに地球規模で求められているのです。

SDGsを企業に取り入れることで、社会課題を解決に近づくだけではなく、企業にとっても多くのメリットが期待できます。

SDGsの目標達成のためには、早急に企業でも取り組みのチームを立ち上げ、具体的なアクションを起こしましょう。

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