SDGsが中小企業にもたらすメリットは?課題や事例についてもご紹介

SDGs(エスディージーズ)は、世界が共通に掲げる目標として2015年9月に国連サミットで採択されました。

2017年11月に一般財団法人日本経済団体連合会が行動憲章を改定したことでSDGsに取り組む中小企業が増加しているのですが、このようにSDGsに注目する中小企業が増えている背景には、社会的な企業のイメージや利益アップといったメリットがあります。

SDGsの取り組み方については、統一されたマニュアルはなく、企業に委ねられています。そのためSDGsの進め方がよく分からないとの声が多くあがっています。

この記事ではSDGsに初めて取り組まれる方にも分かりやすいよう、SDGsの基礎知識や進め方、成功事例などについて整理しましたので、一緒に整理しましょう!

目次

  1. なぜSDGsに注目する中小企業が増えているのか?
  2. 中小企業がSDGsに取り組む時の課題と注意点
  3. 中小企業がSDGsを進める手順
  4. 中小企業のSDGsの取り組み事例
  5. まとめ

1. なぜSDGsに注目する中小企業が増えているのか?

2015年9月に国連で採択されたSDGsですが、中小企業では一般社団法人日本経済団体連合会が2017年11月に行動憲章を改定し、持続可能な開発目標の達成を盛り込んだことがきっかけとなり、注目を集めるようになりました。SDGsに取り組む中小企業が増加している理由は、SDGsに取り組むことで得られるメリットなどについての理解が広まったためです。

ここでは基礎知識としてSDGsとはそもそもどのようなものなのか、どんなメリットが得られるかについてご紹介します。

出典:一般社団法人 日本経済団体連合会『「企業行動憲章」の改定について』(2017/11/08)

そもそもSDGsとは?

SDGsは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。2030年までに世界をもっとより良いものにするために世界が共通に掲げる目標とされ、17のゴールと169のターゲットから構成されています。

SDGsは国連に加盟している193ヶ国が、2015年9月に国連で開催されたサミットで合意したことにより採択されたものです。

SDGsが掲げる世界共通の17の目標は、『外務省のホームページ』にて確認することができます。

出典:JAPAN SDGs Action Platform 外務省『SDGsとは? 』

SDGsの導入で得られるメリット 

SDGsの取り組みを始めることで中小企業が得られるメリットを一緒に見ていきましょう!

  • 企業イメージのアップ

SDGsは、社会問題や環境問題など社会が抱える問題を改善するために行う取り組みです。

SDGsに取り組まない企業より、取り組む企業の方が社会的な評価があがります。

消費者はイメージの良い企業から商品やサービスを購入したいと思いますし、採用試験にも優秀な人材が集まりやすくなります。

  • 利益率のアップ

『日本経済新聞』は、SDGsについての記事を掲載したり、シンポジウムを主催するなど、日本においてSDGsの認知度を高めるための様々な活動を行っています。

2019年12月2日に公表した第1回『日経SDGs経営調査』によると、SDGs偏差値が高い企業ほど、売上高営業利益率や自己資本利益率も高くなるとの結果が報告されています。

※売上高営業利益率とは、売上高に占める営業利益のことで、仕入れた商品にどれくらいの付加価値をつけて売ることができたかが分かります。
※自己資本利益率とは、自己資本に対しどのくらいの利益が出ているかを示すもので、高いほど効率的に資本を活用できていることになります。

  • 新しい事業の創出

経済産業省は2018年11月に『事務局説明資料』の中でSDGsを巡る動向とし、2017年に開催された世界経済フォーラム年次総会(通称 ダボス会議)での2030年までの試算を発表しています。

SDGsを達成することで2030年までには12兆ドルの経済価値が生まれること、さらには3億8000万人もの雇用を生み出すという内容です。

既存の企業もSDGsに取り組むことにより、今まで接点のなかった企業や団体と手を組み、新たな事業を始める可能性が高くなります。

SDGsに取り組む、取り組まないは自由ですが、今後の社会の流れを考えるとSDGsの取り組みを始めた方が企業にとってメリットが多いです。

出典:Quick Money World『それでもSDGsを買う 日経調査で見えた「高偏差値≒高収益≒高株価」』(2019/12/27)

出典:経済産業省『事務局説明資料』(2018/11)

2. 中小企業がSDGsに取り組む時の課題と注意点

どのようにしてSDGsに取り組んでいくかは、基本的に各企業に任されています。自由にSDGsに取り組むことができるがゆえに、解決すべき課題や、進める上での注意点があります。ここではSDGsが抱える課題と、取り組む上での注意点についてご紹介します。

課題について

SDGsは国連にて採択されたものですが、どのような取り組みをするのかについて統一されたマニュアルがあるわけではなく、取り組み方は企業に任されています。

またSDGsについて、そもそもよく知らないという社員もいるかもしれません。

正しいやり方でSDGsに取り組むことと、全社員のSDGsに関する意識づけをどのように行うかが、中小企業が抱える課題だと言えます。

SDGsをする上での注意点について

SDGsの取り組み方は統一されておらず、企業に委ねられています。SDGsに取り組む上での注意点として、SDGsウォッシュについてご紹介します。

1980年代半ばに欧米の環境活動家を中心に使われ始めたグリーンウォッシュという言葉があります。

環境意識が高い消費者をターゲットにし、実態が伴わないにもかかわらず、環境や地球に良いと見せかけた商品を売る行為などを指します。

グリーンウォッシュという言葉を元に生まれたのがSDGsウォッシュです。実態が伴わないのに、SDGsへ取り組んでいるかのように見せかける行為がSDGsウォッシュと呼ばれています。

2018年に電通が発表した『SDGsコミュニケーションガイド』でもSDGsウォッシュを回避する方法が取り上げられ、SDGsを適切な方法で行わないと企業価値を低めることになると警笛を鳴らしています。

出典:サステナブル・ブランド ジャパン『SDGsの広報ガイド発行 「SDGsウォッシュ」に警鐘も』(2018/6/12)

3. 中小企業がSDGsを進める手順

国連はSDGsの具体的な進め方についての発表をしていません。そのためどのように進めて良いか分からないというのが、SDGsに取り組む企業がぶつかりやすい課題とされています。

しかし環境省が平成30年6月に『SDGs活用ガイド』、さらに令和2年3月には『第2版』を発行し、中小企業を対象にSDGsに取り組む意義や具体的な進め方などについて発表しています。

この情報をもとに、中小企業がどのようにSDGsを進めていけば良いのかご紹介します。環境省は、次の①〜⑤の順にSDGsに取り組むことを提案しています。

(1) SDGsへの理解を深める

SDGsへの取り組みには、社員全員が同じ方向を見つめていることや経営者の理解が不可欠です。

社員全員で話し合いの場を作り、企業理念を再確認する、2030年の企業の将来ビジョンについて考える、企業がSDGsをする意義などについてまとめた書類を作成し、経営者に理解を求めるなどの行動が求められます。

(2) 取組の着手

企業のこれまでの活動を振り返り、環境や地域社会との関係性を整理し、これからどのような取り組みをするかを考えましょう。

これまで企業がしてきた活動をそのままSDGsの取り組みにつなげられることもあります。

(3) 具体的な取組の検討と実施

具体的にどのようなことをやっていくのか煮詰めていく段階です。

SDGsを行う目的と内容やゴールを含めた計画書を作成し、社員全員の共通の目標として理解を深めていきましょう。

(4) 取組状況の確認と評価

計画に基づきSDGsを実行するだけでなく、その経過を記録し、レポートを作成、きちんと達成されたかなどを評価することも大切です。

(5) 取組の見直し

SDGsの取り組みの経過や結果は社内だけで共有するのではなく、外部にも発信していきましょう。

外部からの評価を受け、SDGsのやり方を見直し、新たな取り組みについて考えましょう。

出典:川越市『SDGs活用ガイド(第2版)が発行されました』(2020/9/1)

4. 中小企業のSDGsの取り組み事例

すでにSDGsへの取り組みを始めており、社会的な評価を得ている中小企業の取り組み内容を事例としてご紹介します。

取り組み事例:株式会社大川印刷

1881年創業以来、横浜で地域に貢献してきた老舗の印刷会社で、シウマイ弁当で知られる崎陽軒のシウマイ弁当の掛け紙も受注しています。その数は1日に約2万枚にものぼります。

大川印刷は2017年から本格的にSDGs重視の経営に切り替え、FSC®森林認証紙の使用率62%達成や自社工場の再生可能エネルギー率100%達成などを目標とし、環境問題に積極的に取り組んできました。

SDGsへの取り組みは、大川印刷のwebサイト『SDGs』でも掲載されており、外部のSDGsに対する意識を高めることにも貢献しています。

出典:大川印刷『SDGs』

出典:大川印刷『株式会社崎陽軒包装紙・掛け紙』

取り組み事例:石坂産業株式会社

埼玉県に本社を置く、廃材処理プラント、リサイクル製品製造会社で、リサイクル化率100%を目標に掲げています。

不法投棄という社会問題を解決するために、混合廃棄物と呼ばれるリサイクルに時間と手間がかかる廃棄物を積極的に受け入れ、現在はリサイクル化率98%という高水準を維持しています。

出典:ISHIZAKA『Technology 自然と共生する技術 100年先を見すえて、技術を貫く。』

5. まとめ

SDGsを始めるか始めないかは、企業が自由に決めることができます。

大企業ではSDGsを実行することが当たり前になっていることや、2019年頃から中小企業も注目し始めることを考慮すると、SDGsに着手することは中小企業にとってプラスになります。

今回ご紹介したメリットやSDGsの進め方、成功事例などを踏まえて、SDGsを始めることを検討されることをおすすめします。

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