「バイオダイバーシティ・コラージュ」とは?:生物多様性教育ワークショップを実施例を交えて紹介
- 2023年12月13日
- SDGs・ESG
昨今、サステナブル経営やSXの必要性が高まっていますが、その推進に困難を感じている方も多いのではないでしょうか?アスエネの教育・研修ソリューション「アスエネアカデミー」は、チームビルディングのためのワークショップ、専門家によるレクチャー、オンラインのリソースなどの包括的なサポートを提供することによって、企業が社員を活性化し、力を与え、スキルアップさせることを支援します。
今回は、生物多様性について学ぶワークショップとして世界中で注目されている「バイオダイバーシティ・コラージュ(Biodiversity Collage)」を、実施例を交えてご紹介します。
目次
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なぜ生物多様性に取り組む必要があるのか
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バイオダイバーシティ・コラージュとは
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バイオダイバーシティ・コラージュのワークショップのながれ
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実施例:Colere Earth Dayにてバイオダイバーシティ・コラージュを実施
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まとめ:バイオダイバーシティ・コラージュを導入することのメリット
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バイオダイバーシティ・コラージュの社内実施
1. なぜ生物多様性に取り組む必要があるのか
本題に入る前に、そもそもなぜ今生物多様性について取り組む必要があるのかということを簡単に確認しましょう!
近年、全世界が取り組むべき課題として気候変動がとりわけ注目されていますが、実は、生物多様性の損失による影響はそれ以上に深刻であると推定されています。
ストックホルム・レジリエンス・センターが人間の繁栄に必要な条件とその現状を測定して公表しているプラネタリー・バウンダリーでは、生物多様性の損失のリスク(生態系機能の喪失と種の絶滅)は気候変動のリスクよりも大きいと位置付けられています。
私たち人間の生活は、食料や自然資源、水や大気の浄化、気候の調節など、多様な生物が関わりあう生態系からの恩恵の上に成り立っています。これらの生態系を構成し維持するのが生物多様性です。その生物多様性が今や人間活動によって壊滅的な状態にあると言われているのです。
は多かれ少なかれこの問題の原因に加担していると同時に、この問題によるリスクにさらされています。問題と現状を適切に理解し、できるだけ早くを進めていくことが企業の長期的な成功の、ひいては人類の生存の鍵になります。
出典:Azote for Stockholm Resilience Centre (based on analysis in Richardson et al 2023) (2023.9)
出典:環境省『令和5年版 環境・循環型社会・生物多様性白書』
出典:Azote for Stockholm Resilience Centre (based on analysis in Richardson et al 2023) (2023.9)
2. バイオダイバーシティ・コラージュとは
このような現状を改善していくための生物多様性教育ワークショップとして、今世界で注目されているのが、バイオダイバーシティ・コラージュです。このワークショップは人々の生物多様性の損失の問題に対する意識と理解を高め、行動を促進していくことを目的としてフランスで開発されました。バイオダイバーシティ・コラージュの理念や構成は、気候変動に関するワークショップとして世界的に成功しているクライメート・フレスクと共通しています。
3. バイオダイバーシティ・コラージュのワークショップのながれ
ワークショップでは、参加者は5〜7人の少人数グループを形成し、ファシリテーターに導かれながら様々なワークを行います。参加者は、3時間のワークショップの中で、生物多様性の全容と人間との関わり、そしてその危機的な状況とその原因を理解し、感情・想いを共有し、解決策を考えます。
(1)カードを整理し並べる
IPBES(イプベス:生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)のレポートに基づいた39枚のカードを用います。IPBESは「生物多様性版IPCC」とも呼ばれており、これらのカード用いることで、参加者は世界的に確かであると認められた科学的情報に基づいて現状を理解することができます。
参加者は、お互いに話し合いながら39枚のカードを一枚一枚確認し、それらを使って生物多様性やその人間との関わり、そしてその損失の現状をテーブルの上に再構成していきます。
出典:環境省『生物多様性分野く科学と政策の統合を目指して:IPBES 』
(2)装飾する
参加者は並べ終わったカードをグルーピングしたり、絵や文字を描き込んだり、タイトルをつけたりして、そのチームオリジナルのコラージュを完成させます。前のパートで学んだことや話し合ったことを振り返り、知識を定着させると同時に、自分と事象とのつながりに目を向けます。
(3)感情を整理する
これまでのパートで参加者は、生物多様性は人間の生存と繁栄の根幹を支えるものであるにも関わらず、現代においてはそれが人間活動によって脅かされているという厳しい現状を目の当たりにします。
このパートでは参加者は自分の感情と向き合い、それを言葉にして他の参加者と共有します。これによって、参加者はカタルシスを得るとともに、感情の多様性を受け入れ、「自分は一人じゃない」「こんな人もいる」ということに気づくことで行動への活力を育みます。
(4)解決策を議論する
最後のパートでは、参加者は全員で今後とるべきアクションについて考えます。参加者に応じて議論のフレームなどを組み替えることで、チームで、企業で、地域で、また個人としてよりインパクトの高いアクションの議論ができるように工夫されています。
4. 実施例:Colere Earth Dayにてバイオダイバーシティ・コラージュを実施
株式会社Colereが「地球環境について実体験と共に学ぶ」というコンセプトのもと開催した「Colere Earth Day 2023秋」にて、アスエネアカデミーがバイオダイバーシティ・コラージュを実施しました。
Colereは、「信頼で結ばれた組織を創る」をミッションとする戦略人事のコンサルティングファームです。2023年1月には、環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる国際認証であるB Corpを取得しています。今回のイベントは、Colere Earth Dayの第二回となるイベントで、地球環境について理解を深め、アクションにつなげようと企画されました。Colereの社員だけでなく、取引先や地元住民、B Corpコミュニティの仲間たちなど多様な関係者を招いてのイベントでした。
出典:Colere 『「Colere Earth Day2023秋」を開催!生物多様性を学ぶワークショップを行いました』
バイオダイバーシティ・コラージュ参加者から寄せられた感想
知識の深まりと学びの刺激
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環境問題をとても身近に感じることができた
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専門的な知識がなくても理解しやすく、新しい学びが得られた
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環境問題や生態系の仕組みなどの複雑な問題についてカードを並べるワークを通じてよく理解することができた
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普段生物多様性などにきちんと向き合ったり考える機会がなかったので現状を知るきっかけになった
多様性と交流
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多様なバックグラウンドの参加者が集まり豊かな交流ができた
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参加者同士のディスカッションによって内容が深まり、新しい視点も得ることができた
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アプローチは違えど同じ問題に対して取り組む人と交流ができて励みになった
意識の高まりと行動への意欲
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この経験をいかして、会社でも私生活でもできることから行動していきたい
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今日教わったことを一つ一つ自分で深掘りして学びたい
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自社が販売している商品についてもっと環境に配慮したものにするために負荷を減らす方法を考えたい
5. まとめ:バイオダイバーシティ・コラージュを導入することのメリット
サステナビリティの社内での推進のためには、担当者だけが進めればいいという認識から、すべての部署・役職の人がアクターとなってみんなで進めていくものという認識に変えていくことが非常に重要です。
バイオダイバーシティ・コラージュは、3時間という短い時間で、生物多様性とは何か、どのように私たちと関わっているのか、そしてその損失がどのように起こっているのかについて包括的な学びを提供します。従来の一方通行の講義形式ではなく、「体験」を通してこれらを学ぶことで、社員一人ひとりが自分ごととして問題を理解することができるようになります。また、参加者全員で協働的に学ぶことによって、参加者は相互にエンパワーされると同時に、チーム全体で共通の理解と目的意識を育むことができます。
会社全体で生物多様性への取り組みを進めていくためには、この「社員一人ひとりの理解」と「組織全体の共通認識」という2つの基盤が必要です。バイオダイバーシティ・コラージュを社内で実施することで、その両方を形成することができるのです。
6. バイオダイバーシティ・コラージュの社内実施
世界中の様々な業種・規模の企業で利用されているバイオダイバーシティ・コラージュを、あなたの会社や組織でも実施することが可能です!
具体的な実施例:
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チームビルディングとして:生物多様性という重要なテーマについて楽しく学びつつ、新しいつながりの構築を図る
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研修・セミナーとして:管理職のためのセミナーや新入社員の研修プログラムに組み込む(TNFD対応の前段階としても有効です)
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外部への啓発イベントとして:クライアントやパートナーと共同参加のセッションを開催し、ESGの課題や機会についての議論を始める
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