B Corpとは？認証取得方法やメリットを解説！

2023年12月05日
SDGs・ESG

B Corpとはなにか、わかりやすく解説します！企業が社会・環境に与える影響を測定する国際的な制度であるB Corpは、世界各国で影響力を高めています。環境や社会課題への貢献が認められた公益性の高い企業でなければ、B Corpの認証を受けることはできません。しかし、大企業でなくてもB Corpの認証を受けている企業は多数存在します。本記事ではB Corpの概要や認証取得方法、認証を受けるメリット、日本国内でB Corp認証を受けている企業についてご紹介します。

1. B Corpとは

B Corpは企業の社会的・環境的な影響を測定する制度で、その認証はグローバルに行われており、日本国内でも認証取得企業が増えてきています。B Corpの概要について解説します。

B Corpとは

B Corpとは「Bコーポレーション」の略で、B Lab（ビーラボ）という団体によって運営されている、企業が社会・環境に与える影響を測定する認証制度です。B Corpの認証を受ける企業は、従業員への福利厚生や社会貢献活動といった社会的な要素から、サプライチェーンの様式や原材料といった環境的な要素に至るまで、そのパフォーマンスや説明責任、透明性に関する高い基準を満たさなければなりません。

出典：B Lab「ABOUT B CORP CERTIFICATION」

B Labについて

B Labとは、2006年にスタートした、すべての人々、地域社会、地球のためにグローバル経済を変革するネットワークを持つ非営利団体です。資本主義の行動、文化、構造を転換するための基準、政策、ツール、プログラムを創造します。また、ステークホルダー（利害関係者）に新たな道を示すことができるとの信念のもと、全ての人に公平に利益をもたらす経済というビジョンの実現に向けて、B Corpの認定以外にもさまざまな基準や方針、ツール、プログラムなどを策定・開発しています。社会の最も重大な課題に対処するための集団的行動に向けて、グローバルなB Corp コミュニティを動かし、政府、学会、業界団体、そのほかの機関と協力して、経済システムの変革を推進していくことが求められています。

出典：B Lab「ABOUT B Lab」

世界および日本国内での認証状況

B Corpの認証企業は92カ国にあり、認証企業数は161種類の産業にまたがった7682社に上ります。日本国内においては223社の認証企業があり、そのうち日本国内に本社を持つ企業は31社です。（2023年11月4日時点）

出典：B Lab「Make Business a Force For Good」

出典：B Lab「Find a B Corp」

2. B Corpの認証について

B Corpの認証を受けるには、B Labの定めた厳しい要件をクリアしなければなりません。しかし、認証を受けることにはさまざまなメリットがあります。B Corpの認証について解説します。

B Corp認証取得の方法

B Corpの認証を取得するためには、まず「Bインパクト評価」で80点以上を獲得し、次にB Labのリスク審査に合格する必要があります。B Corp認証までの道筋は企業規模によって「スタートアップ企業」「小企業」「中小企業」「中堅企業」「大企業」の5つに分かれており、それぞれにガイドラインが示されています。

「Bインパクト評価」はオンライン上で受けることができ、80点未満の場合は次のプロセスへ進むことはできません。80点以上を獲得するとB Labのアナリストによる審査があり、それにも合格するとB Corpの認証を取得することができます。B Corp認証を取得した場合にも、3年ごとに再認証を受ける必要があります。

出典：B Lab「ABOUT B CORP CERTIFICATION」

Bインパクト評価について

Bインパクト評価は、ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、顧客という5つのカテゴリーに関する質問への回答によって行われます。例えば環境に関する質問では、「あなたの会社は、リサイクル可能な有害廃棄物の量を監視・記録していますか？」などがあります。約200問の質問に対する各カテゴリーにおける得点の合計点が、認証を取得する際の審査に使われることになります。

Bインパクト評価の結果は、他の評価を受けた何千もの企業と比較することができ、自社の強みや弱みを知ることができます。またBインパクト評価のプログラムを通じ、改善策の事例などを調べることもできます。

出典：B Lab「B Impact Assessment」

出典：B Lab「Silkwave Industries Co. Ltd」

B Corp認証のメリット

企業はB Corp認証を受けることによって、高い社会的・環境的パフォーマンスを持っていると証明され、消費者や地域社会、サプライヤーなどから信頼を得ることができます。また従業員の維持・確保や投資家の獲得などにもつながる可能性があります。さらに3年ごとに再認証を受けることから、事業活動を継続的に見直し、改善し続けることもできます。

出典：B Lab「ABOUT B CORP CERTIFICATION」

3. 日本国内のB Corp認証取得事例

日本国内でB Corp認証を受けている国内企業は、前述の通り31社です。B Labのウェブサイトでは、認証企業のBインパクト評価や事業の特徴が公開されています。そのうちの数社をご紹介します。

株式会社シルクウェーブ産業

企業理念

シルクウェーブ産業は、独自の研究開発などにより、新しいテーマへの取り組みを行い「世界全体の抱える諸問題を解決する」という社会的役割をになっています。

企業概要

株式会社シルクウェーブ産業（以後シルクウェーブ産業）は群馬県に所在する繊維メーカーで、2016年にB Corp認証を取得しました。最先端技術を利用し、最高品質のシルク寝具やダウンジャケットなどを生産するシルクウェーブ産業では、自然の恵みの損失を最小限に抑えるために、製品のライフサイクルアセスメント（製品の材料調達から製造、再利用までの一連の流れを総合的にとらえること）が非常に重要であると考えています。

Bインパクト評価

83.1で、内訳はガバナンス10.1、従業員22.2、コミュニティ18.2、環境28.3、顧客4.1となっています。

出典：B Lab「Silkwave Industries Co. Ltd.」

出典：シルクウェーブ産業「ホーム」

株式会社NK

企業理念

「自然環境・地域社会と共生し、その責任が果たせるかどうかを経営目標とし、あらゆる意思決定の軸にする」

企業概要

株式会社NK（以後NK）は東京都足立区の皮革製品メーカーで、2023年7月にB Corpの認証を取得しました。NKは研究を重ねた革素材と高い技術力を核として、資源の使用と無駄を最小限に抑え、動物福祉や生物多様性・自然保護の向上を推進しています。

Bインパクト評価

85.6、内訳はガバナンス8.1・従業員23.5・コミュニティ23.3・環境26.7・顧客3.8です。

出典：B lab「NK Corporation」

出典：NK東京「ホーム」

イメージミル株式会社

企業理念

再生、倫理、そして強い団結力を持ち、全ての人々により豊かな暮らしを提供するブランド文化を構築します。

企業概要

イメージミル株式会社（以後イメージミル）は東京に本社を置く広告代理店で、2023年7月にB Corp認証を取得しています。イメージミルはジャーナリズムとブランディング技術を革新的にブレンドし、広告やグラフィックデザイン、ウェブ、映画、テレビ、ミュージックビデオ、拡張現実などで受賞歴のある作品を制作しています。

Bインパクト評価

85.2、内訳は内訳はガバナンス11.5・従業員27.1・コミュニティ22.9・環境9.7・顧客13.9となっています。

出典：B Lab「imageMILL」

出典：イメージミル「ホーム」

株式会社クラダシ

企業理念

「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」

もったいないを価値へ〜凸と凹をマッチングすることで世界を豊かにします。世の中に山積する社会課題解決を目的に設立したソーシャルグッドカンパニーです。社会性、環境性、経済性に優れた活動をしていきます。

会社概要

株式会社クラダシ（以後クラダシ）は東京に本社を持つ、食品ショッピングサイト「kuradashi」を運営する会社で、2022年6月にB Corp認証を取得しています。クラダシは「日本で最も食品ロスを削減する企業になる」というビジョンを掲げ、賞味期限が迫っている食品や季節商品、パッケージが汚れたり破損したりした商品など、通常の流通ルートでは販売することが困難でもまだ食べられる食品を買い取り販売しています。

Bインパクト評価

110.1、その内訳はガバナンス10.5・従業員26.3・コミュニティ39.0・環境31.5・顧客2.4となっています。

出典：B Lab「Kuradashi」

出典：クラダシ「Top」

ダノンジャパン株式会社

企業理念

「社会の発展無くして、企業の成功はない」という考えに基づいた「デュアル・プロジェクト」という企業理念のもと、持続的かつ利益ある成長を追求すると同時に社会と共存し、その価値観を周りの人々と共有し、ともに発展していくことを目指しています。

会社概要

ダノンジャパン株式会社（以後ダノンジャパン）は東京に本社を置く食品企業で、2020年にB Corp認証を取得し、2023年に更新しています。ダノンジャパン（ダノン）は120の市場で事業を展開する世界的な食品企業です。主にチルド乳製品と植物由来の製品、ウォーター、専門栄養食の分野において発展してきました。

Bインパクト評価

109.6、その内訳はガバナンス19.3・従業員32.6・コミュニティ21.5・環境31.1・顧客4.8となっています。

出典：B Lab「Danone Japan Co., Ltd.」

出典：「ダノンジャパン株式会社」トップ

パタゴニア

企業理念

「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という企業理念を持っています。50周年を迎えたパタゴニアは「私たちは後ろではなく前を見て、地球で生きることを楽しみにしています。ともに、力を合わせて、利益よりも存在意義を優先し、驚くべきこの地球、私たちの唯一の故郷を守ろう。」とさらに理念を強めています。

会社概要

パタゴニアはアメリカ、カルフォルニア州に本社を置く衣料品の製造販売を手がけるメーカーです。2011年12月にB Corp認証を取得し、最新の認定実績は2020年です。最高の製品（衣料品）を製造しながら、環境主義であると同時に反人種差別主義の会社になることを目指しています。

Bインパクト評価

151.4、その内訳はガバナンス16.9・従業員20.8・コミュニティ63.8・環境43.5・顧客6.3となっています。

出典：B Lab「Patagonia Works」

出典：「パタゴニア」トップ

4. まとめ：B Corpについて理解し、認証を取得しよう！

B Corpはグローバルな非営利団体B Labが運営する制度をもとに認証されることにより継続的な改善の枠組みに入っていきます。B Corp認証は、企業が完璧であることや大きな影響力を持ったことを意味するのではなく、その企業がB Corp グローバル・ビジネス・コミュニティの一員として、活動に継続的に社会的・環境的パフォーマンスに関して改善と続けることによってコミットすることを示すものです。

自社の現状を広範囲で見直し、”理想の姿”を深堀できるB Corp認証。弊社のコンサルタントとともにB Corp認証に挑戦してみませんか？

弊社へのお問合せはこちらから：

https://earthene.com/asuzero/form/contact?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_content=brand_company