【もはや常識?】知っておくべき発電方法一覧と、メリット/デメリット

電気は私たちの生活には欠かせないものです。世界には様々な発電方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。持続的な社会を築くため企業は環境への配慮を求められるようになり、環境への影響が少ない新エネルギー開発も進んでいます。

今回は3つの発電方法と新エネルギーの紹介、各発電方法のメリット、デメリットを解説いたします。また今後の社会に向けてのアクションプランも解説いたします。

目次

  1. 環境に優しい?水力発電の方法とメリット、デメリット

  2. 日本の主な発電方法、火力発電のメリット、デメリット

  3. 賛否両論の原子力発電。その方法とメリット、デメリット

  4. 将来に期待‼新エネルギーの発電方法とメリット、デメリット

  5. まとめ:発電方法について理解を深め、環境問題に取り組もう!

1. 環境に優しい?水力発電の方法とメリット、デメリット

水力発電は水が落下するエネルギーを使って発電する方法です。発電するうえでCO2を排出しない環境にやさしいメリットがありますが、一方で河川が発電所になるので周囲の生態系に悪影響を及ぼしてしまうデメリットもあります。

水力発電

出典:資源エネルギー庁『水力発電は安定供給性にすぐれた再生可能エネルギー』(2018-01-30)

水力発電のしくみ

水力発電は高いところから水を流し、水が流れるエネルギーを使って水車を回して発電しています。水が豊富な地域のカナダや、クリーンエネルギーに力を入れている北欧諸国での主な発電方法になっています。また仕組みが簡単で、応用が効きやすくダムを利用して電力を安定して供給できるような発電方法が開発されています。

生態系に大きな影響を与える水力発電

発電するうえで必要なのは水の流れだけで、CO2を排出しません。しかし河川を切り開いて水力発電所を建設することは、周辺の生態系に大きな影響を与えます。また安定した電力を供給するために貯水池を作りダムを建設する際、魚の移動や土砂の供給が減り、下流の生態系に影響を及ぼす可能性があります。

出典:Cilli論文『底生動物から見た小水力発電による減水が渓流生態系に及ぼす影響評価

2. 日本の主な発電方法、火力発電のメリット、デメリット

火力発電は日本の電力の供給量の約7割を占めています。火力発電の最大のメリットは、安定した電力の供給ができるところでしょう。一方でデメリットは、石炭・石油・天然ガスを燃やして発電するので、CO2を排出します。

太陽光発電

出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギー拡大に欠かせないのは「火力発電」!?』(2017-11-16)

出典:環境省『令和元年度の電気事業者ごとの基礎排出係数・調整後排出係数等の公表について』(2021-1-7)

火力発電の仕組み

火力発電は石炭・石油・天然ガスを燃やして水蒸気を作り、タービンを回して発電します。化石燃料は海外から輸入しなければないため、輸入に依存する形になり、輸出国の状況次第では供給が困難になる場合もあります。

安定した電力とそれに伴うCO2

火力発電は時刻や天気に左右されないため、安定した電力供給ができます。しかし化石燃料を燃やして電力を得る発電方法のため、CO2の排出は必然です。

環境省の発表では、燃焼に加え設備と運用も含めたCO2排出量は、石炭火力発電が0.975kg-CO2/kWh、石油火力発電が0.742kg-CO2/kWh、液化天然ガスを燃料とするLNG火力発電が0.608kg-CO2/kWh、LNGコンバインド発電が0.519kg-CO2/kWhです。LNGコンバイント発電とは、液化天然ガスを燃料とし、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方法です。

kg-CO2/kWhとは、燃料の燃焼に伴って排出された二酸化炭素排出量÷販売電力量で算出されるもので、電力会社が電力を作る時にどれくらいの二酸化炭素を排出したかを表す単位です。

近年では地球温暖化対策のためにCO2の排出を減らす取り組みが行われており、新しい技術によるCO2の排出量が少ない効率的な発電方法も模索されています。環境省の発表によると、発電方法別CO2の排出量は次のようになっています。

  • 太陽光発電:0.053kg-CO2/kWh

  • 風力発電:0.029kg-CO2/kWh

  • 原子力発電:0.032kg-CO2/kWh

  • 地熱発電:0.015kg-CO2/kWh

  • 水力発電:0.011kg-CO2/kWh

出典:環境省『エネルギー供給GW参考資料』

3. 賛否両論の原子力発電。その方法とメリット、デメリット

原子力発電は、ウランの核分裂を利用した発電方法です。メリットは、少ない燃料で大量の電力を供給できるので効率が良く環境への影響が少ないことです。100万kw発電するのに燃料の濃縮ウランは21tしか必要としません。これは火力発電の燃料である石炭の111万分の1の量です。

出典:関西電力『エネルギー問題と原子力

しかしチェルノブイリ原子力発電所事故や福島第一原子力発電所事故があり、事故が起こった時に甚大な被害に発展する危険性があります。

原発問題

出典:資源エネルギー庁『【日本のエネルギー、150年の歴史⑥】 震災と原発事故をのりこえ、エネルギーの未来に向けて』(2018-06-26)

原子力発電の仕組み

原子力発電は、ウランの核分裂によって生じた熱エネルギーを利用して水蒸気を作り、その水蒸気でタービンを回して発電します。核分裂の熱エネルギーを使うので、化石燃料は使用せずCO2を排出しません。

強大なエネルギーゆえの扱いにくさ

原子力発電は、核分裂によって強大なエネルギーを得られますが、その代償として事故の被害が甚大です。日本は災害大国であり今では原子力発電の運用は見直されています。

4. 将来に期待‼新エネルギーの発電方法とメリット、デメリット

新エネルギーとは、自然環境から得られる再生可能エネルギーを指します。新エネルギーには地熱発電、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などがあります。

新エネルギーのメリットは、持続可能な資源を利用するので地球環境にやさしい発電方法であることです。デメリットは水力発電、火力発電、原子力発電に比べると、土地や天気に左右されて安定した供給が難しいことです。

地熱発電の仕組みとメリット、デメリット

地熱エネルギー

出典:資源エネルギー庁地熱エネルギーの宝庫・東北エリアで見る、地熱発電の現場(前編)』(2020-01-09)

地熱発電は、火山や噴気孔、温泉などの地熱地帯で利用されています。地球内部の熱エネルギーから作り出した水蒸気でタービンを回して発電する方法です。

地熱エネルギーメリットは半永久的に利用できる自然エネルギーであることです。

一方、デメリットは景観の保護や利用、生物多様性の保全を目的に制定された国立・国定公園の区域に資源があり、開発が難航しています。また、温泉施設との対立や地元民からの反発があります。

太陽光発電の仕組みとメリット、デメリット

太陽光発電

出典:資源エネルギー庁『太陽光発電の“リスク”を評価して、継続的な事業を目指す』(2018-08-23)

太陽光発電は、太陽からの光エネルギーを受け取り電力に変換して発電する方法です。太陽光は永久に得られるエネルギーです。太陽電池は、家庭の屋根にも取り付けられ、身近な新エネルギーの1つです。

一方、天気に大きく左右され、安定した供給が難しいことがデメリットです。

風力発電の仕組みとメリット、デメリット

太陽光発電

出典:資源エネルギー庁『これからの再エネとして期待される風力発電』(2018-02-06)

風力発電は、風のエネルギーで風車を回して発電する方法です。風が強い海の近くや洋上、高原などに設置されています。

風力発電のメリットは、太陽光発電と地熱発電に比べて、変換効率が30%~40%と高く、効率よく電力を作りやすい事です。

出典: 国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構『NEDO再生エネルギー技術白書

一方デメリットは、風が弱すぎると発電できなかったり、台風の多い地域では実用化が進みにくかったりと 天候に大きな影響を受けてしまいます。

バイオマス発電の仕組みとメリット、デメリット

バイオマス発電

出典:資源エネルギー庁『知っておきたいエネルギーの基礎用語~地域のさまざまなモノが資源になる「バイオマス・エネルギー」』(2017-11-28)

バイオマス発電は動植物から得られる有機性のエネルギーを燃やして、水蒸気をつくり、その水蒸気でタービンを回して発電する方法です。火力発電に似た発電方法で、化石燃料を使わずに熱エネルギーを利用する発電方法です。

バイオマス発電のメリットは間伐材や生ごみ、廃油を利用して発電するので資源の再活用ができ持続可能なエネルギーで発電できるところです。

一方デメリットは、まだ新しい発電で燃料の供給体制が未発達で安定供給が難しいことが挙げられます。安定した供給には地元の林業従事者や廃棄物処理事業者との密接な関りが必要となります。

5. まとめ:発電方法について理解を深め、環境問題に取り組もう!

多様な発電方法があり各発電方法にメリット、デメリットがあることを紹介させていただきました。持続的な社会を目指すためにはそれぞれの企業が環境問題に取り組み、解決に向けて動くのが大切です。

CO2の排出を抑えるには、新エネルギーの活用が期待されており、企業でも利用しやすい形に開発が進んでいます。使用電力を再生可能エネルギーによって発電された電力に代えることや、再生可能エネルギー発電装置を設置するなど、企業でできる環境問題への取り組み方があります。

よりよい社会を築くために、まずは電力を見直したりと、出来る範囲での環境貢献を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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