中小建築業のSDGs事例を紹介|SDGsが経営持続の鍵になる⁉

建設業は社会の脱炭素化・循環経済の構築において、不可欠な存在です。また、災害からの復興、防災、老朽化対策など地域の守り手としても重要です。

中小規模の建設業にとってSDGsは、社会のニーズを理解し経営を続けていくために必須です。SDGsの取り組みが評価されている中小建設業の事例を見てみましょう。

目次

  1. 建設業に関わるSDGs

  2. 建設業のSDGs取り組み事例

  3. 事業外におけるSDGs取り組み事例

  4. まとめ:SDGsで建設業の活躍の場は広がる

1. 建設業に関わるSDGs

建設業は社会を構築する上でなくてはならない大切な役割を担っています。

これまで日本はエネルギーを節約す積極的に省エネに取り組んで来ましたが、今後は地域ごと、建物ごとにエネルギーを作り出す「創エネ」への取り組みも進めていきます。

さらに、災害への備えや年々激しさを増す異常気象などへの対策も求められています。中小規模の建設業は、ビジネスチャンスを逃さないためにも、それらの取り組みを積極的に行い、SDGsの知識を深め、効率的にアピールすることが必要です。

ZEB、エネルギーコストをゼロにするには、図解

出典:環境省『ZEBとは? 6.どうやったらZEBが作れるの?』

建設業と深く関わるSDGs

例えば、土産物屋や飲食店などの観光施設の改修、土地活用のための廃屋の撤去など地域の活性化に寄与する事業は

  • SDGs 11番「住み続けられるまちづくりを」

  • SDGs 12番「つくる責任 つかう責任」

などの目標に紐づけることができます。

旅館の再生、廃屋撤去、写真

出典:国土交通省『国土交通白書 2021 第1節 危機による変化と課題への対応』

海外でも活躍する日本の建設企業

  • SDGs 9番「産業と技術革新の基盤を作ろう」

  • SDGs 11番「住み続けられるまちづくりを」

  • SDGs 13番「気候変動に具体的な対策を」

  • SDGs 17番 「パートナーシップで目標を達成しよう」

日本の建設企業は、その高い技術と知識を活かして、世界中で異常気象への対策などに貢献しています。大成建設株式会社の例では、日本政府の無償資金協力により、近年の海面上昇で水没の危機に直面しているモルディブの首都マレ島に護岸建設を実施しました。

防災機能の強化、現地の社会経済の基盤、島民の生活・財産の安全確保などに貢献するほか、日本とモルディブとのパートナーシップによる取り組みでもあります。

捨石式傾斜埋立護岸、写真

出典:経済産業省『日本企業による適応グッドプラクティス事例集』p.20( 2021年3月)

2. 建設業のSDGs取り組み事例

建設業は事業そのものが社会に深くかかわっているため、SDGsへの取り組みを事業のスタイルとして戦略的に取り入れることができます。

エネルギーコストゼロの家(ZEH)の建設

  • SDGs 7番「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」

  • SDGs 11番「住み続けられるまちづくりを」

  • SDGs 12番「つくる責任 つかう責任」

  • SDGs 13番「気候変動に具体的な対策を」

ZEH、概念図

出典:資源エネルギー庁『省エネポータルサイト 省エネ住宅』

CO2排出量の削減や日本のエネルギー問題解決への取り組みにおいて、家庭やオフィスでの省エネ推進・再エネ導入はとても重要です。福島県郡山市の株式会社オアシスホームは、エネルギー収支ゼロの建物(ZEB、ZEH)の普及に取り組んでいます。

ZEH、図解

出典:資源エネルギー庁『省エネポータルサイト 省エネ住宅』

再生可能エネルギー事業

  • SDGs 7番「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」

  • SDGs 11番「住み続けられるまちづくりを」

  • SDGs 12番「つくる責任 つかう責任」

  • SDGs 13番「気候変動に具体的な対策を」

愛知県半田市の八州建設株式会社は、再生可能エネルギー事業に力を入れています。日本で取り組みが盛んな太陽光発電事業をはじめ、バイオガス発電事業、地下水熱発電事業なども行っています。

出典:環境省『中小企業版SBT・RE100取組事例 2020年度』

再生可能エネルギーとまち、イラスト

出典:資源エネルギー庁『課題をどう解決する?再エネの安全性を高め長期安定的な電源にするためには②』(2018年11月)

3. 事業外におけるSDGsへの取り組み事例

建設業という枠を超えた、地域・社会の一員としての取り組みも大切です。経営戦略として大きく舵を切らなくても、コストをかけずにできる小さな取り組みが近年だんだんと注目されるようになっています。

臨時休校に合わせて社内に子供たちを受け入れ

  • SDGs 5番「ジェンダー平等を実現しよう」

  • SDGs 8番「働きがいも 経済成長も」

岐阜県飛騨市の株式会社奥野工務店は、2020年3月の新型コロナウイルス感染拡大による小中学校の臨時休業の際に、社内の食堂兼休憩室を従業員の子供向けの自習室として解放し、子育てをしながら働く従業員の生活を守りました。このように、身近で生活に密着した取り組みも、SDGsに紐づけることができます。

働きやすい職場環境と地域貢献

  • SDGs 5番「ジェンダー平等を実現しよう」

  • SDGs 7番「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」

  • SDGs 8番「働きがいも 経済成長も」

  • SDGs 10番「人や国の不平等をなくそう」

  • SDGs 11番「住み続けられるまちづくりを」

  • SDGs 12番「つくる責任 つかう責任」

  • SDGs 14番「海の豊かさを守ろう」

秋田県潟上市のむつみ建設株式会社はSDGsに合致した多くの取り組みを行っています。エコ住宅やエコリフォームをはじめ、災害に強い建物の提案、従業員に向けた資格や技術習得の支援、クリーンアップ活動などの地域貢献、自社車両を全てエコカーにするなど、多様で積極的な活動が評価されています。

出典:中小企業庁『中小企業白書 小規模企業白書 2020年版』p.1-94(2020年6月)

出典:外務省『JAPAN SDGs Action Platform 取組事例』

SDGs、環境・経済・社会、概念図

出典:環境省『平成29年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書 第2節 SDGsの各ゴールの関係と世界の現状』(2017年6月)

4. まとめ:SDGsで建設業の活躍の場は広がる

レジリエンス向上、ガス管工事、写真

出典:資源エネルギー庁『災害に強い都市ガス、さらなるレジリエンス向上へ』(2021年5月)

建設業は資源の利用や廃棄物の処理などで制約を受ける一方、脱炭素社会・循環経済への移行する新たな都市・地方づくりに伴い、活躍の場が増えることが予想されます。環境への配慮に加え、災害への耐性も重要視されるようになり、建設業にとってSDGsに関する知識や取り組みは必須になったと言えます。

SDGsへの理解を深めると、中小建設業でもコストをかけずにできる取り組みが多くあることに気が付きます。自社にとって取り組みやすい目標やビジネスの戦略として有効な目標を洗い出し、自社の持続可能な経営につなげましょう。

 

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