サステナビリティテーマ投資とは?企業の投資事例も紹介
- 2024年05月20日
- SDGs・ESG
サステナビリティへの取り組みを推進するサステナビリティ―テーマ投資について、わかりやすく解説します。ESG投資戦略のひとつであるサステナビリティテーマ投資は、ESG投資の拡大と共に注目を集めています。日本ではサステナビリティテーマ投資の一類型であるグリーンボンドが、特に多く見られます。
本記事ではESG投資の概要、サステナビリティテーマ投資の概要や現状、グリーンボンドの概要、サステナビリティテーマ投資の事例などについて取り上げます。
目次
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サステナビリティテーマ投資とは
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グリーンボンドとは
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サステナビリティテーマ投資の事例
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まとめ:サステナビリティテーマ投資で、社会課題の解決に貢献しよう!
1. サステナビリティテーマ投資とは
サステナビリティテーマ投資とは、ESG投資戦略のひとつです。サステナビリティテーマ投資の概要や現状について解説します。
ESG投資とは
ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を考慮した事業活動のことを言い、ESG投資とはESG要因の考慮をプロセスに組み入れた投資のことを指します。ESG投資には以下のようなアプローチ手法があります。
ネガティブ・スクリーニング |
特定の業種などを投資対象から除外する |
国際規範によるスクリーニング |
特定の国際規範に違反した企業を投資対象から除外する |
ポジティブ・スクリーニング/ベストインクラス |
ESG において評価が高い業種や企業を選んで投資する |
ESG インテグレーション |
投資プロセスにESG要素を加味して、投資先を選択する |
サステナビリティ・テーマ投資 |
(次節で解説します) |
インパクト投資 |
社会問題や環境問題の解決を目的とした投資 |
エンゲージメント/株主行動 |
ESG課題について議決権行使や株主提案、エンゲージメント(対話)を通じて株主が企業に働きかける |
これらの手法は、ESG投資を実践しようという投資家の試行錯誤によって発展してきたものです。
ESG投資について詳しく知りたい方はこちら:ESG投資とは?7種類の手法を解説
出典:内閣府「平成27年度女性活躍情報を中心とした非財務情報の投資における活用状況調査第1章」p5-6
出典:内閣府「ESGの概要」
サステナビリティテーマ投資とは
サステナビリティテーマ投資とは、ESGの特定のテーマを投資のアイデアとするESG投資手法です。具体的なテーマとしては気候変動、水資源、森林、エネルギー効率性などが挙げられます。サステナビリティテーマ投資には、特定のテーマから持続可能な企業を発掘しようという動機によるものや、外部環境の大きな変化によって企業のイノベーションや高い投資リターンを期待するものなどがあります。
出典:内閣府「平成27年度女性活躍情報を中心とした非財務情報の投資における活用状況調査第1章」p6-7
サステナビリティテーマ投資の現状
ESG投資を促進している国際機関である世界持続的投資連合(GSIA; Global Sustainable Investment Alliance)の「サステナブル投資白書2020」によれば、2020年度におけるESG投資35.3兆米ドルのうち、サステナビリティテーマ投資の額は約1.9兆米ドルで、ESG投資全体の中で5.4%の割合を占めています。
ESGインテグレーションやネガティブスクリーニングなどに比べると小さい割合ですが、その金額は2016年度の0.3兆米ドルからは7倍にも増えています。サステナビリティテーマ投資の地域別資産比率では、米国が86%と大半を占めており、ヨーロッパ(7%)、日本(4%)と続きます。
出典:GROBAL SUSTAINABLE INVESTMENT ALLIANCE「GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT REVIEW 2020」p6,11-13(2021/7/11)
日本国内におけるサステナビリティテーマ投資
NPO法人日本サステナブル投資フォーラムの集計によれば、日本国内におけるサステナビリティテーマ投資残高は2023年度33.1兆円で、国内のESG投資残高合計537.6兆円の6.2%を占めています。また2021年度のサステナビリティテーマ投資残高は10.7兆円でしたので、2年間で約3.1倍に増えていることがわかります。2023年度におけるサステナビリティテーマ投資の内訳は以下のようになっており、日本においては債券投資が圧倒的に多いことがわかります。
株式投資 |
気候変動緩和テクノロジー、再生可能エネルギー、環境技術、農業、女性活躍、SDGs等のサステナビリティ・テーマに着目した株式投資。 |
3,664,989 |
債券投資 |
グリーンボンドやサステナビリティボンド、ワクチン債等のサステナビリティ・テーマに着目した債券投資 |
22,595,707 |
その他 |
不動産投資など |
6,869,295 |
(金額単位:百万円)
出典:日本サステナブル投資フォーラム「サステナブル投資残高調査2023」p7,9-11(2024/3/26)
2. グリーンボンドとは
日本におけるサステナビリティテーマ投資の多くは、グリーンボンドなどの債券投資です。グリーンボンドについて解説します。
グリーンボンドとは
グリーンボンドとはサステナビリティテーマ投資の一種で、企業や地方自治体等が国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券です。グリーンプロジェクトとは、以下のような環境改善効果のある事業です。
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再生可能エネルギーに関する事業
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省エネルギーに関する事業
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汚染の防止と管理に関する事業
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自然資源・土地利用の持続可能な管理に関する事業
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生物多様性保全に関する事業
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クリーンな運輸に関する事業
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持続可能な水資源管理に関する事業
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気候変動に対する適応に関する事業
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サーキュラーエコノミーに対応した製品、製造技術・プロセス、環境配慮製品に関する事業
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グリーンビルディングに関する事業
こうした事業を実施するにあたって資金を調達するために、グリーンボンドが発行されます。
グリーンボンドのメリット
グリーンボンドには、発行者と投資家双方にメリットがあります。発行者としては、安定的・好条件な資金調達の可能性や、グリーンプロジェクト推進に対する社会的支持の獲得などが期待できます。投資家としても、大きな需要が見込まれる事業への直接投資や、グリーンプロジェクトへの資金提供を通じた社会的支持の獲得などが見込まれます。また環境や社会にとってもグリーンボンドの活用は、環境課題解決やグリーン投資に関する啓発などにつながります。
3. サステナビリティテーマ投資の事例
日本でも多くの機関投資家がサステナビリティテーマ投資を行っています。実際の企業事例をご紹介します。
株式会社かんぽ生命
株式会社かんぽ生命では、ESG投資の一環として重点テーマである「Well-being向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」に基づいたサステナビリティテーマ投資を行っています。
例として、温室効果ガス排出削減の取り組みを支援するトランジションボンド、アジア太平洋地域における学校教育、職業訓練およびジェンダー平等を支援するエデュケーション・ボンド、コロナ禍における持続可能性のある低炭素社会への移行を支援するグリーンボンドなどへの投資を行っています。
ピクテ・ジャパン株式会社
スイスの資産運用会社の日本法人であるピクテ・ジャパン株式会社では、1995年からテーマ株資金用を行っており、2000年からは環境関連の株式運用を開始しました。投資対象として省資源化、水供給およびテクノロジー、汚染防止、再生可能エネルギー、持続可能な農業・林業、廃棄物処理・リサイクル、エネルギー効率化という7つの事業分野を定めています。ピクテ・ジャパン株式会社は、今後もよりよい社会の実現と高い運用リターンの提供を続けていく考えです。
出典:ピクテ・ジャパン株式会社「ESG投資編(11)ESG投資の事例②~テーマ投資~」(2021/8/12)
学校法人上智学院
学校法人上智学院はESG投資を通じて、様々な社会課題解決に貢献する考えです。サステナビリティテーマ投資としては、英国洋上風力発電ファンドへの出資、新興国の再生可能エネルギー開発プロジェクトへの投資、国内再生エネルギーファンドへの出資などを行っています。
4.まとめ:サステナビリティテーマ投資で、社会課題の解決に貢献しよう!
サステナビリティテーマ投資はESG投資手法の一種ですが、ESG課題に対するスタンスが積極的かつ実践的な戦略です。世界や日本国内でもESG投資全体に占める割合はまだそれほど大きくはありませんが、投資残高は年々拡大しており今後さらに注目される可能性があります。
企業の資産運用にあたっては、社会的支持を獲得しやすいサステナビリティテーマ投資を行うことによって、社会課題の解決に貢献することも検討してみましょう。