RE100とは?メリットや世界の加盟企業をわかりやすく解説

RE100とは、すべての電力を再生可能エネルギーでまかなうことを目標とする企業連合で世界のトップ企業が加盟しています。再生可能エネルギーの導入をはかることが参加企業にとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

今回はRE100とは何か、RE100に加盟しているのはどのような企業か、RE100に加盟するのが難しい中小企業はどうすればよいのかなどについてわかりやすく解説します。

目次

  1. 世界のトップ企業が参加するRE100とは?わかりやすく解説!

  2. RE100の企業の加盟基準

  3. RE100に企業が参加するメリットをわかりやすく解説!

  4. RE100に加盟する主な世界と日本の企業

  5. RE100で認められる再生可能エネルギーの調達方法

  6. まとめ:中小企業も参加できる「再エネ宣言 RE Action」

1. 世界のトップ企業が参加するRE100とは?わかりやすく解説!

RE100には世界のトップ企業が加盟していることもあり、最近注目されています。まずは、RE100についてわかりやすく解説します。

RE100(アールイーワンハンドレッド)とは、事業に必要なエネルギーの全てを再生可能エネルギーでまかなうことを目標とする企業連合のことです。この取り組みを始めたのは国際環境NGOの「The Climate Group(TCG)」で、2014年からスタートしました。日本では日本気候パートナーズ(JCLP)がRE100受付の窓口です。

RE100に加盟した企業は、自社の事業で使用するエネルギーを全て再生可能エネルギーでまかなうだけではなく、達成の目標年や目標達成に向けての活動を、毎年TCGに報告する義務を負います。

出典:環境省『気候変動時代に公的機関ができること~「再エネ100%」への挑戦~ p12』(2020/6)

2018年6月、環境省は公的機関として世界で初めてアンバサダーとしてRE100に参加しました。これにもとづき、環境省は国内各地の施設でRE100達成の取組を作成。政府としてRE100の趣旨に賛同し、脱炭素社会実現に努力する姿勢を示します。

2. RE100の企業の加盟基準

RE100の対象企業は以下の要件に1つ以上該当する「影響力のある企業」です。

  1. グローバル又は国内で認知度・信頼度が高い

  2. 主要な多国籍企業(フォーチュン1000又はそれに相当)

  3. 100GWh以上の電力を消費している企業(日本は50GWh)

  4. RE100の目的に寄与する、何らかの特徴と影響力を有する

出典:JCLP『RE100について | JCLP』

これらの条件は一般企業にとって非常にハードルが高く、事実上、加盟は大企業に限られていると考えてよいでしょう。参加が難しくても、RE100の趣旨に賛同する企業はより条件が緩和された「再エネ100宣言 RE Action」に参加することが可能です。

3. RE100に企業が参加するメリットをわかりやすく解説

RE100に加盟するのにそもそもメリットはあるのでしょうか。この章では企業がRE100に加盟するメリットをわかりやすく解説します。

化石燃料に関するリスクを回避できる

日本の一次エネルギー供給構成の推移

 

出典:資源エネルギー庁『安定供給 | 日本のエネルギー 20232年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」』(2020)

現在、日本はエネルギー資源の大半を化石燃料に依存しています。その化石燃料の大半を占める石油・石炭・天然ガス(LNG)はそのほとんどを海外に依存しています。もし、地政学的リスクが高まれば、日本はエネルギー資源の確保で苦境に立たされてしまうでしょう。

日本の化石燃料輸入先(2021年)

出典:資源エネルギー庁『安定供給 | 日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」』(2020)

たとえば、原油は88%を中東地域から輸入していますが、この地域は政情が不安定で、いつ供給に支障をきたすか予断を許しません。

また、石炭や天然ガスにしても、米中関係の悪化により輸送が不安定になってもおかしくありません。ビジネスの安定継続のためには、再生可能エネルギー100%に転換する方がリスク回避になるのです。

加えて、二酸化炭素を大量に排出する火力発電は世界的な批判にさらされつつあります。取引先の企業の株主が化石燃料由来の電力を使用することに反対すれば、企業利益を損なう可能性もあるでしょう。RE100に参加し、再生可能エネルギー由来の電力を使っていることを証明することで、こうしたリスクを回避できます。

投資家からのESG投資を呼び込みやすくなる

投資戦略別のESG投資額

出典:資源エネルギー庁『第1部 第3章 第2節 エネルギーファイナンスをめぐる動き │ 令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)』(2023/7/26)

ESG投資とは、従来の投資基準である財務状況や企業の将来性だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことです。

出典:資源エネルギー庁『第1部 第3章 第2節 エネルギーファイナンスをめぐる動き │ 令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020)』(2020/6/5)

巨額の資金を長期にわたって運用する年金基金などを中心に、多くの投資ファンドで採用されつつある基準です。

2015年に国連サミットでSDGs(Sustainable Development Goals)「持続的な開発目標」が採択されて以降、ESG投資が広がりました。2020年のアメリカ大統領選挙でバイデン氏が当選すると、この動きに拍車がかかりました。

RE100に参加することは、自社がSDGsに賛同し、持続可能な社会の実現のために努力しているとアピールする絶好の材料になります。

再生可能エネルギーの導入でコストダウンできる

<再生可能エネルギーのコストの推移>

出典:資源エネルギー庁『国内外の再生可能エネルギーの現状と 今年度の調達価格等算定委員会の論点案』(p5)(2020/9)

<太陽光発電(2,000kW)の各国の買取価格>

出典:資源エネルギー庁『太陽光発電について』(p6)(2022/12)

近年、再生可能エネルギーの調達コストは劇的に低下しています。以前は高コストとみられていた太陽光発電においても顕著なコスト削減がみられました。その背景には政府が実施した固定電力買取制度(FIT)などの支援策があります。

また、最近開発された再生可能エネルギーの機器は製品寿命が20年ほどと長期間使用することが可能となりました。そのため、投資した金額を回収できる可能性が高くなっています。

出典:環境省『RE100について』(p16)(2021/3/19)

つまり、再生可能エネルギーの導入は経済面からみても有利となりつつあるのです。

4. RE100に加盟する主な世界と日本の企業

出典:環境省『RE100について』(p25)(2021/11/24)

2014年に始まったRE100の取り組みは世界的な広がりを見せています。参加する企業は年を追うにしたがって増加。当初の15から292まで加盟企業が増加しました。日本企業は2017年から参加し始め、2021年11月24日段階で62社に及びます。

参加企業は金融業が最も多いですが、そのほかにも数多くの有名企業が参加しています。化学企業の3Mや金融業のJPモルガン・チェース銀行、IT企業のアップルやパソコンで有名なDellなどがその代表です。

日本企業ではリコーや村田製作所、高島屋、富士通、積水ハウス、東急、楽天、コープさっぽろなどが参加しています。

5. RE100で認められる再生可能エネルギーの調達方法

RE100では再生可能エネルギーを太陽光(太陽熱)、風力、水力、バイオマス、地熱による発電と定義しています。

ポイントは、自家発電でなくても再生可能エネルギーによって生み出された電力を購入すれば、目標を達成したことになる点です。これにより、広い敷地を持っていない企業でもRE100の目標を達成できるようになりました。

出典:環境省『RE100について』(P47)(2021/3/19)

6. まとめ:中小企業も参加できる「再エネ宣言 RE Action」

RE100について加盟条件やメリット、世界や日本の加盟企業についてわかりやすく解説しました。

消費する電力の全てを再生可能エネルギーで賄うRE100は世界的な流れとなったSDGsの目標達成のために必要不可欠な取り組みです。これは大企業に限った話ではありません。もはや、環境対策は中小企業も達成しなければならない必達目標となったといってよいでしょう。

しかし、RE100は中小企業にとってハードルが高いものです。そこで、検討するべきなのが「再エネ宣言 RE Action」への参加です。これは企業や自治体、教育機関、医療機関などが使用する電力を100%再生可能エネルギーに転換するという意思表示です。

 

RE100に比べるとハードルが低いため、こちらを選択する方が現実的でしょう。いずれにせよ、中小企業だからといって環境対策に無関心でいられる時代は終わり、電力購入や自家発電設備の設置などで再生可能エネルギーを積極的に導入することを中小企業も求められると考えるべきで、それに向かって行動する必要があります。

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