銀行業でも脱炭素化が加速!取り組み事例をご紹介

銀行業においても脱炭素への取り組みが加速しています。今やCO2排出量が多い製造業などだけでなく、あらゆる業種が脱炭素への取り組みを始めています。この記事では、銀行業はどのように脱炭素に取り組むのかお悩みの法人の皆さまや銀行業の脱炭素への取り組みに関心がある法人の皆さまが知っておくべき、銀行業が関連する脱炭素についての基本的な知識についてご紹介します。

目次

  1. なぜ銀行業も脱炭素に取り組むのか?

  2. 企業の脱炭素を後押しする銀行業の取り組み事例

  3. 銀行業のCO2排出量削減の取り組み例

  4. まとめ:銀行業も脱炭素に取り組む時代、銀行業の取り組みを理解しよう!

1. なぜ銀行業も脱炭素に取り組むのか?

産業部門や運輸部門に含まれない銀行業がなぜ脱炭素に取り組む必要があるのでしょうか。ここでは世界で脱炭素化が加速している背景や、銀行業が脱炭素に取り組む必要性についてご紹介します。

パリ協定により脱炭素化が加速

2015年にパリ協定が全会一致で採択されました。パリ協定は京都議定書に次ぐ気候変動に関する国際的な枠組みです。京都議定書においてはCO2排出量削減義務が先進国のみに課せられていたのに対して、パリ協定では途上国も含まれています。これにより世界各国で脱炭素化が加速しています。カーボンニュートラルを宣言している国は、125ヶ国1地域(2021年4月時点)あります。

2050年までのカーボンニュートラルを表明した国

出典:資源エネルギー庁『第2節 諸外国における脱炭素化の動向』

出典:資源エネルギー庁『今さら聞けない「パリ協定」 〜何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~』(2017/8/17)

なぜ銀行業が脱炭素に取り組むのか?

企業の脱炭素化の促進を目的とした動きが活発化している状況下において、あらゆる業種の企業が何らかの形で脱炭素に取り組んでおり、銀行業も例外ではありません。脱炭素への取り組みは、環境問題への貢献だけでなく、社会的信用を高めたりビジネスチャンスを得るために欠かせないものとなっています。

2. 企業の脱炭素を後押しする銀行業の取り組み事例

企業の脱炭素を後押しする事業は、銀行業の脱炭素の重要な取り組みになります。ここでは、銀行が資金提供などにより企業を後押しする取り組みをご紹介します。

サステナビリティ・リンク・ローン

サステナビリティ・リンク・ローンとは、企業の野心的なサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲットの達成を後押しすることを目的とするローンのことです。日本におけるサステナビリティ・リンク・ローンの融資件数と融資額は、以下のように推移しています。

  • 2019年 2件 550億円

  • 2020年 9件 695億円 

  • 2021年 56件 3573億9千万円

  • 2022年 54件 2501億6200万円

貸し手側にも様々なメリットがあることから、多くの銀行が賛同し融資を行っています。貸し手側には具体的に以下のようなメリットがあります。

  • 融資を通して、脱炭素に貢献できる。

  • 社会的信用や企業のイメージ向上

  • 新たなビジネスチャンスの獲得

サステナビリティ・リンク・ローンの組成額の推移

出典:環境省『グリーンファイナンスポータル』

出典:環境省『サステナビリティ・リンク・ローン概要』

グリーンボンド

グリーンボンドとは、グリーンプロジェクトを実行するために必要となる資金を調達するための枠組みです。サステナビリティ・リンク・ローンと同様に貸し手にメリットがあることから、出資する銀行が増えています。日本におけるグリーンボンドの発行件数と発行総額は、以下のように推移しています。

  • 2014年 1件 337億5千万円

  • 2015年 2件 565億5千万円

  • 2016年 4件 748億1千万円

  • 2017年 11件 2223億円

  • 2018年 34件 5363億7千万円

  • 2019年 58件 8238億3千万円

  • 2020年 79件 10330億2千万円

  • 2021年 99件 18650億9千万円

  • 2022年 27件 8470億3千万円

国内企業等によるグリーンボンドの発行実績

出典:環境省『グリーンファイナンスポータル』

トランジション・ローン

企業の脱炭素を後押しする新たな融資として大きな注目を集めているのが、トランジション・ローンです。トランジション・ローンは、脱炭素社会の実現を目的にCO2排出量削減に取り組む企業を支援する金融手法です。

出典:三井住友銀行『トランジション・ローン』

3. 銀行業のCO2排出量削減の取り組み例

工場ではなくオフィスにおいてもCO2排出量を削減するためにできることはたくさんあります。ここでは、銀行業のCO2排出量削減の取り組みの例をご紹介します。

エコ対応重視型の店舗づくり

環境に配慮した店舗づくりをすることは脱炭素の取り組みになります。

  • 電源の脱炭素化

銀行で使う電力を再生可能エネルギーに切り替えることで、電源を脱炭素化することができます。敷地内に太陽光発電システムを設置する、再生可能エネルギーを購入するなどいくつか選択肢があります。

出典:環境省『「再エネ スタート」はじめてみませんか 再エネ活用』

  • LED照明への切り替え

オフィスなどから排出されるCO2の中で大きい割合を占めているのが照明です。銀行内で使用する照明をLED照明に切り替えることで、エネルギーを削減することができます。電球型LEDランプは一般電球と比較すると約85%の省エネ、寿命は約40倍とされています。LEDランプを使用することで、CO2排出量を削減し、電気料金も節約することができます。

消費電力・寿命比較例

出典:環境省『LED照明って、何がお得なの?あかり未来計画』

  • 事業で使う自動車をエコカーにする。

営業や取引先を訪問する時に使用する自動車をエコカーにすることで、自動車から排出されるCO2を削減することができます。国や自治体がエコカーの推進を目的に補助金事業や免税事業を実施しているため、活用するとエコカーをお得に利用することができます。

クールビズ・ウォームビズの実施

環境省が主体となり、オフィスでのクールビズやウォームビズが推奨されています。エアコンの温度設定を1度変えるだけでも省エネルギーになり、CO2排出量削減や電気料金の節約につながります。

出典:環境省『令和4年度クールビズについて』(2022/4/22)

ペーパーレス化

業務で使用する紙類の量を削減することで、ごみの量を減らすことができます。ごみの量が減ることで焼却量も減り、その結果CO2排出量を削減することができます。

4. まとめ:銀行業も脱炭素に取り組む時代、銀行業の取り組みを理解しよう!

この記事では、銀行業が脱炭素に取り組む必要性や、銀行業ができる脱炭素の取り組みの例などをご紹介しました。銀行の脱炭素のメインとなる取り組みは、融資により企業の脱炭素を後押しすることです。その他に環境に配慮した店舗づくりなどが独自に行われています。銀行業も脱炭素に取り組む時代になりました。銀行業への脱炭素の取り組みについての理解を深めましょう!

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