企業によるCSR活動が生み出す価値について解説

企業によるCSR活動が生み出す価値について解説

今や多くの有名企業が取り組んでいるCSR活動。非財務的な取り組みでも企業価値を高めると言われていますが、具体的にどのような効果があるのでしょうか。

今回は企業によるCSR活動が生み出す価値について紹介します。どのような活動があるのか、どのような価値があるのかなど、企業の事例を交えて解説していきます。

目次

  1. CSR活動の概要とは

  2. CSR活動が与える価値とは

  3. CSR活動の代表例

  4. 企業価値を上げるためにCSR活動を導入しよう

1. CSR活動の概要とは

CSR活動とは、企業が社会と共に発展するための活動で、企業の社会的責任でもあります。同時に、企業自体の価値向上にもつながります。CSR活動が広まった背景としては、企業の不祥事が世界で相次いだこと、企業によって生み出される地球環境問題などがあります。

会社の安心安全や環境問題、地域課題への取り組みなど活動内容は企業によってさまざまで、最近ではSDGs活動や発展途上国支援などもしている企業もあります。

出典:日経ビジネス『社会貢献で儲かって、何が悪い!』2019年9月

企業の発展と価値につながる

CSR活動は、企業の発展と価値につながる重要な活動です。

例えばキリンホールディングス株式会社は、健康面や乳酸菌に特化した商品を展開しており、医薬やバイオケミカル事業にも取り組んでいます。CSR活動を通してイメージアップを実現し、2017年は第2四半期純利益は834億0800円と146%の増加で年々売上を上げています。

出典:商人舎流通スーパーニュース『17年上半期は売上高9617億円の4.6%減収・営業35.7%減益』

具体的に何をしているのか

CSR活動の内容は、環境問題や社会問題、発展途上国など多岐に渡ります。

ファッションブランドのTOMS Japanは、発展途上国の国に靴を寄付するなどの取り組みをしています。

ビールで有名なアサヒビール株式会社は、スーパードライが1本売れたら、1円を地域の文化や環境の保全活動のために寄付しています。

カメラで有名なキヤノン株式会社は、トナーカートリッジのリサイクルや回収をCSR活動にしており、2012年には世界で30.5万tも回収しています。サイトに活動状況を周知することで、一人一人の環境活動への意欲を高めています。お金や物の寄付ではなく、キヤノンのようにリサイクルなどもCSR活動になります。

以上のように、CSR活動は企業の利益だけでなく、社会や環境に対して責任を果たすことを目的としているのです。

出典:TOMS Japan『Sustainability at TOMS』
出典:アサヒビール株式会社『CSR・環境活動サイト編集方針』
出店:キヤノン株式会社『CSR・環境』

2. CSR活動が与える価値とは

CSR活動が企業に与える価値には、安定した資材の調達や企業のイメージ向上、採用活動の活性化などがあります。

味の素株式会社は、小中学校でCSR活動を行い、42%の生徒が企業に対して好感を持ったというデータがあります。どれも世間の企業に対する評価が上がることで生まれる価値です。

CSR活動をして社会に責任を果たすことで、金銭的な利益とは異なった形でメリットが企業にもたらされます。

出典:Brand Strategy Journal『第27回:企業のCSR活動事例に対するイメージ調査』2009年2月

企業イメージの向上

CSR活動によって企業イメージが向上するケースがあります。環境問題や社会問題に取り組んでいる企業とそうでない企業では前者の方が好印象です。

さらに、CSR活動の内容に共感して購買や利用してくれる消費者も多くいます。どのようなサービスを提供しているかも重要ですが、どのようなCSR活動をしているのかをポイントにしている人も少なくありません。

実際に、ソニーグループ株式会社は「ソニー・クリエイティブサイエンスアウォード」という活動で、子供の科学に対する関心を高めるためのコンテストを実施しています。全国の18〜59歳男女のアンケートの回答では、35%の人がソニーグループ株式会社に好感を持ったと、イメージの向上につながりました。

企業のブランディングにもCSR活動は役立つなど効果があります。

出典:Brand Strategy Journal『第27回:企業のCSR活動事例に対するイメージ調査』2009年2月

採用活動の活性化

採用活動で優秀な人材の確保に課題を抱えている企業は少なくありません。そのような企業のブランディング施策として、CSR活動は有効です。

事業内容や待遇、企業理念だけでなく、CSR活動の内容も企業選びの基準にしている就職希望者は一定数存在します。

実際、現役の大学生92人に対して、29.3%の人が企業のCSR活動を「考慮している」。「意識したことはないが、今後考慮していく」という人は55.4%という結果があり、8割の学生が企業のCSRの内容を就職活動の判断基準と考えていることがわかります。

また、CSR活動をしていることで、メディアへの露出や話題になることも多いので、ブランディング施策としても有効な手段となっています。

出典:豪田ヨシオ部TOP『大学生就活アンケート「CSRや環境に配慮した企業を考慮」8割超え!』

3. CSR活動の代表例

日本企業をはじめ世界で活躍している企業の多くがCSR活動に取り組んでいます。活動内容はお金や物の寄付だけでなく、地域・環境への慈善活動や事業内容の向上などさまざまです。

株式会社パソナグループ

株式会社パソナグループは環境保全やスポーツ、食品などのさまざまなカテゴリーでCSR活動に取り組んでいます。

4月をアースデー月間という環境美化・保全活動をする月に設定して、グループ社員だけでなく、クライアントも巻き込んで全国各地で清掃活動を行っています。

出典:株式会社パソナグループ『社会貢献活動』

富士フイルム株式会社

富士フイルム株式会社は、写真フィルムの製造で使われている資源や消費者に与えるサービスの品質にこだわっています。

その他にも医療機関との連携を強化したり、透明性にこだわった情報開示などで安全性も提供しています。

出典:富士フイルム株式会社『サステナビリティ』

TOMS Japan

TOMS Japanはアメリカのカリフォルニア発祥のブランドでシューズが売れるごとに1足のシューズを発展途上国に寄付するというのが特徴です。

また、シューズの他にもコーヒー豆の販売もしており、このコーヒー豆の購入に合わせて水を発展途上国に寄付するなど、CSR活動がビジネスモデルに組み込まれています。

出典:TOMS Japan『Sustainability at TOMS』

4. 企業価値を上げるためにCSR活動を導入しよう

CSR活動が企業にどのような価値を与えるのかという内容でまとめました。

CSR活動とは企業が果たすべき社会的責任であり、環境課題や社会課題、慈善活動など内容はさまざまです。

CSR活動をすることで企業にもメリットがあり、企業イメージのアップや今後の発展につながります。

CSR活動をして企業の価値を高めていきましょう。

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