CO2だけじゃない?温室効果ガスの種類や削減のための対策とは
- 2023年11月05日
- CO2削減
温室効果ガスは多くの種類があり、その中でも我々はCO2を重点的に削減しようとしています。前半では温室効果ガスにはどのような種類かあるのか、その中で、なぜCO2を重点的にマークするのか。そして後半ではCO2に焦点を当てて、これ以上地球温暖化を進めないための取り組みについて考えていきます。
目次
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温室効果ガスとは
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CO2が増えた原因は化石燃料の大量消費である
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CO2を増やさないための対策
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地球にやさしい環境づくりを
1. 温室効果ガスとは
温室効果ガスとは、大気中に存在し、地球が放射する赤外線を吸収して宇宙への放射を妨げ、熱エネルギーを地球側に閉じ込める効果を持つ気体のことをいいます。
温室効果ガスは多くの気体によって構成され、それぞれに特性がありますが、過去数万年以来続いてきたバランスが、産業革命以来、ここ数百年の間に大きく崩れ、特にCO2が増大し、地球温暖化が進んでいると考えられています。温室効果とは
出典:気象庁「温室効果とは」
温室とは、主に農業用で、農作物を寒さから防ぐためにビニールシートやガラスなどで作られた建物です。ほとんどは温度を上げるのが目的で、冬季の野菜・果物の栽培、また暖かい地域で栽培される植物を、温室内の温度を上げることで、寒い地方でも暖かい時期のもの、暖かい地方のものが栽培できるようになります。
この温室と同様の効果が温室効果ガスにはあるのです。
地球は太陽から光などの電磁波を受けとるという形で熱エネルギーを受け、同時に地球の熱を赤外線で宇宙に放射するという形で熱を逃がし、熱の出入りが平衡して今の気温が定まっています。
地球の熱を赤外線として宇宙に放射し、自己冷却を行っているわけですが、温室効果ガスが大気中に増加すると、本来は放射されるべき赤外線を吸収し、大気が温まってしまうのです。その結果、放射したはずの熱が地球から出られなくなり、地球が温まってしまいます。
温室効果ガスが無い状態だと地球の平均気温は-19℃と試算されますが、最近の地球の平均気温は14℃といわれています。さらに、温室効果ガスが増え始めた産業革命期から、地球の平均気温は今までの変動を遥かに超える勢いで温暖化が進んでいます。おもな温室効果ガス
温室効果ガスは多く存在しますが、その増加に人類が深くかかわっているであろうものは次の4種類です。
・CO2
・メタン(CH4)
枯れた植物が自然分解する際に発生したり家畜のげっぷにも含まれています。天然ガスを採掘する際にもメタンが発生し、温暖化で永久凍土が融け、メタンハイドレートが放出される問題もあります。
・一酸化二窒素(N2O)
主に農業で施肥に伴い発生します。そのほか、燃焼、化学工業、有機物の微生物による分解、地球上の窒素循環のサイクルで発生する場合もあります。
・ハロカーボン類(オゾン、クロロフルオロカーボン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類)
ハロゲン元素(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含んだ炭素化合物の総称で、具体的にはフロンガス類などのことです。多くは本来自然界に存在しない、人工的に作られた物質で、エアコンや冷蔵庫などの冷媒、半導体、化学物質の製造時に使用されます。CO2と比較して温室効果が千倍以上と、非常に高いです。
これら人為的影響による温室効果ガスの地球温暖化への影響力は、以下のグラフのようになっています。
出典:気象庁 「温室効果ガスの種類」
CO2、中でも化石燃料によるものが全体に対して大きく影響していることがいえます。
その中のCO2
このように多くある温室効果ガスですが、なぜCO2がクローズアップされるのでしょうか。
体積当たりの温室効果はCO2を1とした場合、メタン、一酸化二窒素、フロンガスではそれぞれ25、298、1430と、CO2よりも大きな影響があります。しかしCO2は、人類が排出している量が莫大であるため、温暖化の最大の原因となっています。一番影響力の大きいCO2の排出を抑えることで温室効果ガスの排出をコントロールしようということです。
2. CO2が増えた原因は化石燃料の大量消費である
カーボンサイクルという概念があります。「元素である炭素(C)の絶対量は変わらず、地球環境の中で姿を変えて循環している」という意味です。
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Cはエネルギー源として、エネルギーを蓄える(木材、化石燃料など)
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Cは燃焼して、エネルギーを放出してCO2となる
産業革命以前には温室効果ガスの排出はわずかなものでした。しかし産業革命がおこり、急速に産業が発展しました。そして人類は化石燃料を手に入れ、大量のCO2が発生したのです。
本来、化石燃料は地中に深く埋蔵されているもので、人類が手を付けなければ地上に出ることはなく、CO2に変わることはなかったものです。化石燃料の使用は早急にやめ、再生可能エネルギーへ切り替えるなど対策を急がなければなりません。
出典:国土交通省/気象庁「人為起源炭素収支の模式図」
3. CO2を増やさないための対策
人類が排出するCO2の量は今の産業構造と大きな関連があります。例えば自動車の内燃機関、建設関係でのセメント生産、発電関係では石油、コークス、石炭などの燃焼など、産業活動の大部分でCO2を生産してしまう構造となっています。
これらの脱炭素化に向けての改革が必要であり、各業界は改革に取り組んでいます。例えば、自動車関係では電気自動車はすでに市場に投入され、水素エネルギー自動車など、さらに新しい技術が開発されています。
各国は近い将来、ガソリンエンジン車の生産を規制する動きを見せています。また、発電では大規模火力発電設備から小規模分散型再生可能エネルギー型発電設備へシフトしていて、再生可能エネルギーの活用が活かされてきています。また、セメント生産時にも多くのCO2が排出しますが、生産の省エネ化、セメント不使用のコンクリートの開発など、各社改善に取り組んでいます。
CO2を多量に排出する業種は、目先の利害関係にとらわれない、業種を超えた抜本的な改革が必要ですが、そういったことに直接かかわらない業種の企業も改善すべきことは多くあります。例えば、
・企業として使うエネルギーはCO2を排出しないエネルギーを選ぶ
・自社で再生可能エネルギー発電設備を構築する
などです。
そして、自社が携わる商品のプロセスも重要です。「原料を作るときに不要なCO2は出ていないか」、「自社でのプロセスで無駄なCO2は出ないか」、「客先で無駄なCO2は発生しないか」ということに気を付けてみてください。
4. 地球にやさしい環境創りを
菅総理は2020年10月26日の所信表明演説で、温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を宣言し、脱炭素社会への取り組みを示しました。
国際世論の流れから脱炭素化社会への再編成は喫緊の課題だということは分かっていても、国が具体的に示さないと国内の社会は路頭に迷うことになります。そういった意味で、この菅総理の発言には重要な意味があります。
国を挙げて地球の環境保全に取り組む。教育は子供たちに自然の大切さ、現状の厳しさ、今後の暮らし方を教育し、企業は産業面において、各家庭は個人個人の生活面において改革を進め、大学など研究機関は研究開発で現状分析と新技術を開発する。子供たち、孫たちに辛い思いをさせないために、美しい大自然を守るために、全員参加型の一大地球保全プロジェクトの一員として、企業も、社員の皆さんもぜひ参加してください。