地球温暖化が止まらない!温暖化の原因や世界各地の気候変動の実態は?

2015年に開かれたパリ協定では、地球温暖化を危惧し、世界規模で早急に対策をするという協定が採択されました。パリ協定発効以降、地球温暖化への対策は進んでいるのでしょうか。

地球温暖化が進むと必ず表面化する気候変動。異常気象に代表される気候変動は収まるどころか日に日に激しさを増しています。地球規模で、気候変動はどのような形で表れているのでしょうか。

目次

  1. 地球温暖化、気候変動についての基礎知識

  2. 地球温暖化の変遷とこれから

  3. 気候変動の実態

  4. 地球温暖化防止経営、脱炭素化経営へ取り組もう

1. 地球温暖化、気候変動についての基礎知識

地球温暖化、気候変動といった言葉は、最近マスコミや誌面などでも多く見られるようになり、皆さんの関心も高まっていると思います。しかし、似たような内容の言葉が多くあり、混乱したり誤解している方もいるかもしれません。ここでは地球温暖化、気候変動についておさらいしておきます。

地球温暖化はなぜ起きるのか

地球の表面温度は太陽光を受けて上昇しますが、その熱を宇宙へ放出して今の気温となっています。

しかし、大気中の温室効果ガスが増加すると、地球の熱を宇宙空間に放出を妨げてしまい、結果として地球の温暖化が進んでしまうのです。

出典:環境省/文部科学省/農林水産省/国土交通省/気象庁『気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018』(p.11)

温室効果ガスは多くの種類があります。代表的なものは「CO2」、「メタン」、「一酸化二窒素」、「各種フロンガス」などです。産業革命以来、人類は多くの温室効果ガスを大気に排出し、その結果、特にCO2の濃度は産業革命前の1750年に比べて約40%増と大幅に上昇しています。IPPCは「過去80万年の間で例がないほどの増加」と警告を鳴らしています。

出典:NHK『温暖化って何?止められるの?(NHK)1からわかる!地球温暖化(3)』

出典:IPCC 『IPCC 第5次評価報告書の概要』

地球温暖化はなぜ止まらないのか

パリ協定では、「気温の上昇を産業革命以前の2℃未満に抑える」という目標を掲げています。しかし、すでに現在、産業革命前と比べて約1℃上昇しており、2050年ごろまでに、更に1度上昇するとも言われています。世界各地の気温上昇は地球温暖化に歯止めがかかっていないことへの裏返しでもあります。

地球温暖化を止めるには、温室効果ガスの排出を止めなくてはなりません。産業革命をきっかけに温室効果ガスの排出が増えた以上、今の産業の形態を抜本的に見直すことが必要です。目の前の個々の改善は重要ですが、革命的に温室効果ガスの排出をストップする、各産業・企業での具体的な行動が必要です。

気候変動は地球にどのような影響を与えるのか

地球温暖化は進んでいて、産業革命前から、すでに約1℃上昇しています。日本で平均気温が1度上昇すると、猛暑日は約1.8倍に増加するということが東京大学の研究でわかりました。

出典:サイエンスポータル『温暖化で平均気温が1度上がると国内の猛暑日は1.8倍に 気象研と東大がスパコンで予測

地球温暖化が進むと、気候変動が顕著になってきます。

世界各地への影響は「海面上昇」、「異常気象(猛暑日が増える・スーパー台風の増加など)」、「山林火災が増える」、「食糧危機の発生」、「生態系への影響」などが考えられます。

海面上昇は、今のままだと、2100年には1メートルの上昇が予想され、世界で10億人の人々が生命の危機にさらされると予想されています。異常気象は日本でも顕著に表れていて、夏は連日の猛暑日、台風の巨大化、集中豪雨の頻発などが実際に起こっています。

自然の生物は住みやすい環境を求めて棲み処を変えており、例えば日本近海でも熱帯魚が見られたりします。順応に間に合わなかった種は絶滅の危機に瀕しています。

出典:NHK『温暖化って何?止められるの?(NHK)1からわかる!地球温暖化(3)』

地球温暖化と気候変動との相関は?

日本では地球温暖化と気候変動とは同じ意味で使われることが多くありますが、厳密には地球温暖化と気候変動は因果の関係にあります。

気候変動として現れる「海面上昇」、「異常気象」、「山林火災が増える」、「食糧危機の発生」などは、地球温暖化の影響として、頻度、程度を増して我々に襲い掛かってくるのです。これら気候変動の対策の鍵は、地球温暖化を防ぐことにあるのです。

2. 地球温暖化の変遷とこれから

19世紀終盤以降、地球の平均気温は約0.85℃上昇しました。この変化のスピードは、過去1万年間で例を見ないほど急激な変化です。なかでも1950年代以降はさらに急激な上昇となり、100年間あたり1.2℃という大きな変化率となります。

出典:地球環境研究センター『温暖化の科学Q7地球全体の平均気温の求め方-ここが知りたい地球温暖化

産業革命期~現在まで

1705年にイギリスで蒸気機関が発明されて以来、産業の生産技術は大幅に改善され、莫大な量の化石燃料が消費されるようになりました。

18世紀初めから始まった産業革命の当初は、産業が排出した莫大な余剰エネルギーを大自然が受け止めてくれていましたが、20世紀も後半になると、大自然をしても耐え切れなくなり、地球温暖化のスピードは100年あたり0.85℃から1.2℃へ上昇してしまっています。

現在~未来

この状況を打破すべく、国際的な気候変動に関する枠組み「パリ協定」が発効しました。パリ協定に至るまでに、1997年に京都で開催された「京都議定書」、さらには1992年にリオデジャネイロで採択された「リオ宣言」、「アジェンダ21」が、さらに、多くの科学者、各国の政府関係者が科学的根拠に基づいた共通認識を共有できるように「IPCC」が設立されました。

出典:環境省/文部科学省/農林水産省/国土交通省/気象庁『気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018』(p.32)

IPCCは、21世紀末における地球の年平均気温は、最も効果がある場合には0.3℃~1.7℃の気温上昇となり(RCP2.6)、非常に高い温室効果ガスを排出し続けた場合、2.6℃~4.8℃の気温上昇となる(RCP8.5)と報告しています。

出典:環境省/文部科学省/農林水産省/国土交通省/気象庁『気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018』(p.32)
出典:IPCC『IPCC 第5次評価報告書の概要』

3. 気候変動の実態

気候変動が表面化し、下記のような問題が起こっています。

  • 地球全体の気温上昇は100年あたり0.75℃のペースで進んでおり、最近は1.2℃と、さらに温暖化が進んでいます。

  • 気温の上昇により地表の氷が解け、海水量が増えます。その結果、海面が上昇し、国土全体が海に沈んでしまう、といった危機も懸念されています。

このように、各地の平均気温は上昇し、海面上昇、更には異常気象などが世界各国で起こっています。

出典:環境省/文部科学省/農林水産省/国土交通省/気象庁『気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018

今後の気候変動の予測

「現在~未来」で述べたとおり、IPCCは今後の気候変動を2つのケースでとらえ、その間で推移していくと予想しています。

脱炭素化社会への取り組みなど、地球温暖化への対策が総て計画通りに進んだときの試算(RCP2.6)では、平均気温の上昇は0.3℃~1.7℃。

対策がうまく機能せず、多くの温室効果ガスを出し続けた場合(RCP8.5)の平均気温の上昇は2.6℃~4.8℃とされており、この2つの数値の間となることが予想されています。

4. 地球温暖化防止経営、脱炭素化経営へ取り組もう

最近の地球の平均気温は14℃程ですが、温室効果ガスが無いと、-19℃くらいと言われています。しかし、温室効果ガスによって地球の気温が上昇し、気候変動が頻発するようになっています。

地球上のすべての生き物のためにも、明日の地球を守らなければなりません。人類が取るべき行動は「地球温暖化を今すぐ止めること」であり、そのためには「化石燃料を使わない」、「CO2を排出しない」ことが必要です。

政府も学校も、家庭の人々も地球温暖化を防ぐための行動が求められています。社会を構成する一員として、企業にも改革を進める責任があります。個人個人では小さなことでも、企業という一つの組織が一丸となることで大きな効果となります。

ぜひ企業には「地球温暖化防止経営」、「脱炭素経営」へ方針を改めていただき、社員の皆さんへの教育も含め、対策を実行していただきたいと思います。社会一丸となって、この難しい局面を乗り切っていきましょう。

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