再エネ賦課金は今後も高くなる!知っておくべき基礎知識を徹底解説!

2012年7月に制定された再エネ賦課金の1kWhあたりの単価は毎年高くなり続けており、今後も2030年度まで高くなる見通しです。企業が電気代を節約するためには、省エネ設備の導入や再生可能エネルギー発電の取り組みが欠かせません。再エネ賦課金についての理解を深めることで、節電の取り組みにつなげていただければと思います。この記事では、月々にかかる電気料金を節約したいとお考えの法人の皆さまが知っておくべき、再エネ賦課金についての基礎知識やこれまでの推移、今後についてご紹介します。

目次

  1. 再エネ賦課金に関する基礎知識

  2. 再エネ賦課金のkWhあたりの単価FIT法の概要と買取価格の推移

  3. 再エネ賦課金の今後

  4. まとめ:再エネ賦課金の現在と今後を理解し、節電に取り組もう!

1. 再エネ賦課金に関する基礎知識

再エネ賦課金は、2012年7月にスタートした固定価格買取制度(FIT法)と密接な関係にある制度です。ここでは再エネ賦課金とは何のために使われるお金なのかや、計算の仕方などについてご紹介します。

再エネ賦課金とは何のためのお金?

再エネ賦課金は、固定価格買取制度(FIT法)とセットで考えます。固定価格買取制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が定められた料金で、定められた期間買い取ることを国が定めたものです。電力会社が電気を買い取る時に発生する費用を電気を使う国民が出し合うというのが、再エネ賦課金の基本的な考え方です。資源エネルギー庁は、再エネ賦課金の役割を、コストの高い再生可能エネルギーの導入を支え、普及を推進するものであると位置づけています。

出典:資源エネルギー庁『固定価格買取制度とは』

再エネ賦課金の計算方法

資源エネルギー庁は、再エネ賦課金は電気を使う全ての人が負担するものであり、負担額は電気の使用量に比例すると説明しています。再エネ賦課金の単価に、電力使用量を乗じることで再エネ賦課金が決定します。再エネ賦課金の単価は、経済産業大臣が再生可能エネルギーの導入を予測し、毎年度決定しています。企業は、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーを活用することで、再エネ賦課金を含めた毎月の電気料金を節約することができます。

出典:資源エネルギー庁『固定価格買取制度とは』

2. 再エネ賦課金のkWhあたりの単価

例年3月下旬頃、経済産業大臣が、調達価格等算定委員会の意見を尊重した上で1kWhあたりの再エネ賦課金の単価を決定し、発表しています。ここでは、再エネ賦課金の2021年度の単価とこれまでの価格推移についてご紹介します。

2021年度の再エネ賦課金単価

経済産業省が毎年度、再生可能エネルギーの導入を予測し、固定買取価格制度における買取価格と再エネ賦課金を決定しています。2021年度の買取価格を踏まえ、2021年度の1kWhあたりの再エネ賦課金の単価は3.36円に決定しました。

出典:資源エネルギー庁『FIT制度における2021年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました』(2021/3/24)

再エネ賦課金の推移

再エネ賦課金がスタートした2012年から2021年までの単価の推移は以下のようになっています。

東京電力ホールディングス『再生可能エネルギー発電促進賦課金単価
電気新聞『FIT総額、2030年に4.5兆円へ。電中研が推計』を元にアスエネが作成

再生可能エネルギー発電による電力の買取量の増加に伴い、国民の負担も増えます。資源エネルギー庁によると、2012年度から2017年度において再エネ比率を10%から16%拡大させるために、約2兆円の再エネ賦課金が投じられています。

また2017年度から2019年度には、買取費用総額が2.7兆円から3.6兆円に、再エネ賦課金総額は2.1兆円から2.4兆円に増加しています。

出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギー政策の再構築に向けた当面の対応』(2019/5/30)(p.3)

3. FIT法の概要と再エネ導入量の推移

再エネ賦課金は、FIT法と呼ばれる固定買取価格制度と密接な関係にあります。FIT法とは、電力会社が再生可能エネルギーにより発電された電気を一定期間、定められた料金で買い取ることを定めた制度です。

再エネ賦課金は、電気を使う国民が負担するもので、電力会社が再生可能エネルギーによる電力を買い取る時の費用として使われています。再生可能エネルギーの買い取り量が多いほど、再エネ賦課金単価は高くなります。

2012年から2018年において、日本は水力を除く再生可能エネルギーの発電量が309kWhから963kWhに増加しています。2050年に脱炭素社会の実現を目指す日本では、再生可能エネルギーの導入量は今後も増加する見込みです。

出典:資源エネルギー庁『第3節 再生可能エネルギーの主力電源化に向けて』

4. 再エネ賦課金の今後

再エネ賦課金の1kWhあたりの単価は2012年度の0.22円から2021年度には3.36円にまで高くなっています。電力を多く使用する企業ほど再エネ賦課金を含めて電気料金が高くなります。ここでは、再エネ賦課金はいつまで続くのか、今後の単価の推移予測をご紹介します。

再エネ賦課金はいつまで続くのか?

再エネ賦課金が今後いつまで続くのかについて、国からの正式な発表はありません。再エネ賦課金は、固定価格買取制度と密接なつながりがあります。そのため固定価格買取制度が終了するまでは、再エネ賦課金も続く見込みです。例えば、家庭用太陽光発電は10年間、事業用の場合は20年間の買取期間が保証されているためこの仕組みが変わらなければ、再エネ賦課金は2040年頃まで続きます。

出典:資源エネルギー庁『どうする?ソーラー』

再エネ賦課金の今後の単価の推移

「再エネ賦課金の推移」で先述したように、2030年度における国民の負担は増加する見通しです。1月あたりの電力量使用量を5000kWhで計算した場合、中小企業の電気代は2021年度の16800円から2030年度には19000円まで高くなることが予想されています。

このように電気代が高くなるのは、再生可能エネルギーの買取総額が増えるためです。電力中央研究所によると、再生可能エネルギーの買取総額は2019年度の3.58兆円から2030年度には4.57兆円になる見通しです。

出典:電力中央研究所『2030年における太陽光発電導入量・買取総額の推計と今後の制度設計のあり方』(2021/3/8)(p.11)

5. まとめ:再エネ賦課金の現在と今後を理解し、節電に取り組もう!

この記事では、法人の皆さまが知っておくべき再エネ賦課金とはどのようなものかや、これまでの単価の推移と今後についてお伝えしました。2030年頃までは再エネ賦課金は続き、単価は現在よりも高くなる見通しです。再エネ賦課金についての理解を深め省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用などの取り組みで電気代を節約しましょう!

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