2022年エジプトでCOP27開催!COPの意味、重要COPも解説!
- 2022年09月13日
- その他
2021年11月、エジプト政府は2022年のCOP27をエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催すると発表しました。そもそも、COPとはどのような会議なのでしょうか。今回はCOPとは何か、過去に開催された重要なCOP、COPに関連した日本政府の動き、エジプトで開かれるCOP27についてまとめます。
目次
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COPとは何か
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過去の重要なCOP
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COPに関連した日本政府の動き
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エジプトで2022年にcop27を開催
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まとめ:中小企業もCOPを理解し脱炭素を進める必要がある
1. COPとは何か
COPとは「Conference of the Parties」の略称で、日本語では「締約国会議」と訳されます。締約国会議とは条約を結んだ国々による会議という意味です。
COPのもとになっている条約は1992年に採択された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)で、大気中の二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標としています。
全締約国に温室効果ガスの削減計画策定などを求め、先進国には途上国に対する資金援助などの追加義務を課しました。COPは1995年から毎年開催され、日本政府からは環境大臣が出席しています。
出典:資源エネルギー庁「あらためて振り返る、「COP26」(前編)~「COP」ってそもそもどんな会議?」(2022/3/3)
2. 過去の重要なCOP
1995年以来、COPは毎年のように開催されてきました。中でもCOP3とCOP15、COP21はCOPの流れに影響を与えた重要なものです。それぞれの内容を確認しておきましょう。
(1)COP3(京都議定書)
1997年、京都で開催されたCOP3において2022年までの枠組みとして「京都議定書」が採択されました。京都議定書ではCO2の排出削減義務を先進国だけに課しました。条約に調印した国々(特に先進国)にはCO2排出削減の数値目標が課されます。
京都議定書における削減目標は以下のとおりです。
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第一約束期間(2008〜2012年)の例:日本-6%、米国-7%、EU-8%の削減。
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第二約束期間(2013〜2020年)の例:EU-20%の削減、日本は参加していません。
京都議定書には世界の国々がはじめてCO2の排出削減で合意したというプラスの面がある半面、削減義務は一部の先進国のみで負うという不平等な点もありました。また、アメリカやカナダが離脱・脱退してしまうなど、先進国間での意見の食い違いも目立ちました。
(2)COP15(対立による国際合意の後退)
2009年、デンマークのコペンハーゲンでCOP15が開催されました。COP15では京都議定書にかわる新たな枠組みが検討されましたが、先進国と中国・インドなどの途上国の意見が真っ向から対立します。
途上国にも応分の負担を求める先進国に対し、途上国は京都議定書の延長を主張。これに対して日本やEUが猛反発するなど会議は紛糾しました。結局、新たな枠組み作りは先送りされ、各国の利害調整の難しさが浮き彫りとなります。
(3)COP21(パリ協定)
2015年、フランスのパリでCOP21が開催されパリ協定が採択されました。パリ協定の主な内容は次の2点です。
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世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
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そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
パリ協定では世界全体の数値目標を提示する一方で、途上国を含む全ての国々に温室効果ガス排出削減の努力を求めています。先進国のみに排出削減義務を課した京都議定書と比べ、途上国にも排出削減を求めている点で画期的といえるでしょう。
出典:資源エネルギー庁「今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」
3. COPに関連した日本政府の動き
COPに関連し日本政府はどのような動きを見せたのでしょうか。COP26で日本が果たした役割やカーボンニュートラルについてまとめます。
(1)2050年までのカーボンニュートラル化の表明
2020年10月、日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成すると表明しました。カーボンニュートラルはCO2の排出量と削減量を等しくすることでCO2の排出量を全体としてゼロにすることです。
出典:資源エネルギー庁「あらためて振り返る、「COP26」(後編)~交渉ポイントと日本が果たした役割」(2022/3/11)
2021年11月の段階で年限付きのカーボンニュートラルを表明した国は150ヵ国以上に上り、CO2排出量に占める割合は88.2%に及びました。もはや、CO2排出削減は世界的な潮流とみなさざるを得ず、日本も積極的にカーボンニュートラル達成を目指すことが求められています。
(2)COP26で日本が果たした役割
イギリスのグラスゴーで開かれたCOP26に日本の岸田首相が出席しました。首相はアジア地域の脱炭素化を支えるため、最大100億ドルの追加支援を行うことや途上国での気候変動対策の支援、アジアにおけるゼロ・エミッション火力への転換等を表明しました。
出典:資源エネルギー庁「あらためて振り返る、「COP26」(後編)~交渉ポイントと日本が果たした役割」(2022/3/11)
4. エジプトで2022年にcop27を開催
2022年11月にエジプトのシャルム・エル・シェイクでCOP27が開催されます。世界食糧基金(WFP)はCOP27で以下の点に注目していることを公表しています。
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気候変動の影響を緩和し、適応するための途上国支援として、年間1,000億米ドルを提供すること
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損失と損害の基金の創設と資金動員
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今世紀末までに世界の気温上昇を2℃以下に抑えるための新たなコミットメントと、既存の公約の実行
WFPがCOP27に期待している理由は、アフリカを中心に世界の食糧危機が深刻化しているからです。COP27では先進国と途上国が互いの利害を調整し、気候変動に関して一致した行動をとれるかどうかが注目されています。
出典:WFP「気候危機: 国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)など2022年に注目すべきこと 」
5. まとめ:中小企業もCOPを理解し脱炭素を進める必要がある
CO2排出削減を求める世界的な潮流は京都議定書やパリ協定の締結などを生み出したCOPによってつくられたものでした。この流れはもはや止められないものであり、企業は規模の大小を問わずCO2の排出削減に取り組まなければなりません。
となれば、CO2の排出削減を義務ととらえるのではなく、新たなビジネスチャンスや財務改善の好機と捉えるべきではないでしょうか。
CO2の排出削減アピールは新たな顧客の獲得につながり、省エネ器具の導入や太陽光発電の導入は光熱費削減の効果をもたらします。中小企業も「守り」のCO2排出削減から今後10年を見据えた「攻め」のCO2排出削減をするべきではないでしょうか。