企業が知っておくべき日本・世界のCO2排出量の推移と今後

CO2排出量削減に向けた取り組みにより、先進国のCO2排出量は減少傾向にあります。しかしながら世界全体で見ると、途上国の排出量が増加しているためCO2排出量は増加しています。

日本はCO2排出量削減に成功していますが、2030年度の目標として新たに掲げた2013年度比で46%削減という数字は簡単に達成できるものではありません。目標を達成するためには、CO2の排出量が多い企業の取り組みが欠かせません。

この記事では、企業が知っておくべきCO2排出量の推移と、削減のためにできることをご紹介します。

目次

  1. 世界のCO2排出量の推移

  2. 日本のCO2排出量の推移

  3. 世界と日本の今後のCO2排出量

  4. 中小企業のCO2排出量削減の取り組み事例

  5. まとめ:CO2の排出量の推移を理解してCO2排出量削減に取り組もう!

1. 世界のCO2排出量の推移

産業革命が始まった1850年頃から増え始めたCO2により、世界各国で竜巻や豪雨被害が深刻化しています。2015年12月にパリ協定が採択され、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という目標のもと、世界はCO2排出量削減に向けた取り組みを始めています。ここでは、世界のCO2排出量がどのように推移しているのかについてご紹介します。

出典:外務省『2020年以降の枠組み:パリ協定』(2020/4/2)

世界のCO2排出量の推移

経済産業省によると、1990年〜2016年にかけ先進国のCO2排出量はゆるやかに減少傾向にあるのに対して、途上国では経済成長に伴いCO2排出量が3倍近くに増加しています。

国別で見ると2017年度に最も多くCO2を排出したのは中国で、29.5%を占めています。世界全体のCO2排出量を削減するためには、先進国だけでなく新興国や途上国の積極的な削減に対する取り組みが欠かせません。

出典:経済産業省『気候変動対策の現状及び新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について』(2020/9)(p.21)

国別CO2排出量

経済産業省によると、CO2排出量の多い国に変化が起きています。1990年度における世界のCO2排出量は205億トンで、CO2排出量が多い順にアメリカ23.4%、EU28国19.6%、ロシア10.5%、中国10.2%、日本5.1%、インド2.6%、ブラジル0.9%です。2018年度のCO2排出量は335億トンで、中国24.8%、アメリカ14.7%、EU28国9.4%、インド9.6%、ロシア4.7%、日本3.2%、ブラジル1.2%です。

出典:経済産業省『気候変動対策の現状及び新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について』(2020/9)(p.20)

2. 日本のCO2排出量の推移

日本では、国や自治体、企業などの取り組みによりCO2排出量は減少傾向にあります。ここでは、具体的にどのようにCO2排出量が推移しているのかや部門別のCO2排出量についてご紹介します。

日本のCO2排出量の推移

環境省によると、日本は2014年度から連続6年CO2排出量が減少しています。これは、製造業における生産量の減少や再生可能エネルギーの拡大などに起因するものです。

出典:環境省『2019年度(令和元年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について』

部門別CO2排出量

経済産業省によると、2018年度の日本におけるCO2排出量は11億3,800万トンです。CO2排出量が多い順に、エネルギー転換部門4億5,600万トン、産業部門2億8,500万トン、運輸部門2億300万トン、業務その他部門6,400万トン、そして家庭部門が5,200万トンです。

このように、日本におけるCO2の多くが企業の活動により排出されているため、企業がCO2排出量削減に向けて取り組みをすることなく、日本の目標を達成することはできません。

出典:経済産業省『2018年度温室効果ガス排出量分析(CO2全体)』(p.2)

3. 世界と日本の今後のCO2排出量

世界と日本におけるこれまでのCO2排出量の推移について見てきました。ここでは、2030年度における今後の世界と日本のCO2排出量をご紹介します。

今後の世界のCO2排出量

経済産業省は、2030年度のCO2排出量の予想を349億トンであると発表しています。2018年度と比べて14億トンの増加で、中国の占める割合が0.1%、インドが3.5%増加する見込みを示しています。

経済産業省は、今後世界がどのような方針で進むかによってCO2排出量が大幅に変わる見解も示しています。現行政策維持シナリオの場合、2017年度の32,500Mtから2040年度は42,475Mt、新政策シナリオだと35,811Mt、持続可能な開発シナリオでは17,647Mtにまで激減する見通しです。

出典:経済産業省『気候変動対策の現状及び新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について』(2020/9)(p.20)

出典:資源エネルギー庁『3.どのくらい温室効果ガスを排出していますか?』

今後の日本のCO2排出量

環境省によると、対策ありシナリオが実行された場合の2030年度におけるCO2排出量は約10億7,900万トンであると予測されています。2030年度における部門別のCO2排出量は、2013年度比で産業部門が−6.6%、業務その他部門が−39.7%、運輸部門が−27.4%、エネルギー転換部門が−27.5%、家庭部門が−39.4%になる見通しです。

出典:環境省『第4章 将来予測』(p.149,150)

4. 中小企業のCO2排出量削減の取り組み事例

CO2排出量を削減するために、企業の取り組みは欠かせません。ここでは、日本における中小企業のCO2排出量削減の取り組み事例をご紹介します。

(1)ネミー株式会社

ネミー株式会社は、太陽光発電事業やスマートホーム事業などの再生可能エネルギーインフラサービスを主力とする事業です。ネミー株式会社の御殿場工場で使用する電力を全て再生可能エネルギーで賄い、二酸化炭素排出量削減に向けた取り組みをしています。

出典:日刊工業新聞『ネミー株式会社が自社御殿場工場にてアスエネから再エネ100%の電力調達を開始、脱炭素社会の実現を主導 』(2020/12/4)

(2)株式会社マツナガ

株式会社マツナガは、東京都に本社を置く建築設備メーカーです。SDGs目標13番を含め、7つのSDGs目標を達成するための取り組みを行っています。

SDGs目標13番に対しては、冷暖房の使用を最小限に抑え、自然エネルギーを最大限に活用できる住宅を開発することで、二酸化炭素排出量削減に取り組んでいます。

出典:株式会社マツナガ『マツナガの理念・想い』

5. まとめ:CO2の排出量の推移を理解してCO2排出量削減に取り組もう!

世界と日本におけるCO2排出量と今後の予測についてお伝えしました。現在世界各地で深刻化している異常気象などの課題を解決するためには、CO2排出量を削減することが必須です。

CO2を多く排出している企業の取り組みなくして、目標を達成することはできません。日本では、使用電力を再生可能エネルギーにすることで二酸化炭素排出量削減に取り組む中小企業が増えています。世界と日本のCO2排出量の現状と今後についての理解を深め、企業での取り組みについて考えていただければと思います。

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