プラスチックのリサイクルを促す補助金事業について詳しく
- 2022年06月24日
- 補助金
国はプラスチックのリサイクルを推進するために、補助金事業などを実施しています。プラスチックごみが海洋環境に与える影響は年々深刻化しています。リサイクルできないプラスチックごみは焼却されることから、プラスチックリサイクルは脱炭素とも深く関係しています。
この記事では、海洋環境の保護や脱炭素への取り組みに関心がある法人の皆さまが知っておくべき、プラスチックリサイクルに関する基本的な知識についてご紹介します。
目次
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なぜプラスチックをリサイクルするのか?
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プラスチックのリサイクルを促す補助金とは?
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プラスチック補助金活用事例
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まとめ:補助金を活用して脱炭素化へ取り組もう!
1. なぜプラスチックをリサイクルするのか?
なぜ日本は、プラスチックごみのリサイクルを推進しているのでしょうか。ここではプラスチックごみをリサイクルする意味や、日本におけるプラスチックごみの状況についてご紹介します。
なぜプラスチックごみをリサイクルするのか?
プラスチックごみのリサイクルが推進される背景にあるのが、海洋汚染やCO2排出量の増加です。
海に廃棄されたプラスチックごみを食べた海の生き物が死亡するなどプラスチックごみは様々な問題を引き起こしています。毎年約800万tのプラスチックごみが海洋に流れており、このペースが続くと2050年には海の中の魚よりもプラスチックごみの重量の方が重くなるとの予測が発表されています。
プラスチックごみをリサイクルしない場合は焼却されることになります。プラスチックごみをリサイクルした場合、焼却した場合より2倍程度CO2排出量を削減することができます。
出典:環境省『第3章 プラスチックを取り巻く状況と資源循環体制の構築に向けて』
出典:『プラスチックを取り巻く国内外の状況』(2021/8/2)(p.23)』
日本のプラスチックごみの量はどれくらい?
プラスチック生産量の中で最も多くを占めるのが、容器包装セクターにおけるプラスチックです。日本は過剰包装の国だと言われていますが、日本の人口1人あたりのプラスチックごみの排出量はアメリカに次ぐ世界第二位と非常に高い水準にあります。
出典:環境省『プラスチックを取り巻く国内外の状況』(p.9 )
プラスチックのリサイクル率は増加している?
日本では、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法などによりプラスチックごみが回収され、リサイクルまたは熱回収ができなかった分が、焼却または埋立てにより処分されます。プラスチックのリサイクルは3種類あります。
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マテリアルリサイクル
廃プラスチックを原料としてプラスチック製品に再生します。
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ケミカルリサイクル
廃プラスチックを科学的に分解し、化学原料に再生します。
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サーマルリサイクル
廃プラスチックを固定燃料にしたり燃焼することで熱エネルギーを回収します。
2013年度におけるプラスチックごみのリサイクル率は82%です。リサイクル率が高いように見えますが、これはサーマルリサイクル率を含んでいるためです。欧州ではサーマルリサイクルはリサイクル率には含めません。日本でサーマルリサイクル率を含めないで考えた場合は、リサイクル率はわずか25%しかありません。
出典:環境省『プラスチックを取り巻く国内外の状況』(2021/8/23)(p.4)
2. プラスチックのリサイクルを促す補助金とは?
プラスチックリサイクルを推進することを目的として、環境省や経済産業省が主体となり補助金事業を実施しています。ここでは2種類の補助金事業についてご紹介します。
脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業
「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」は、環境省が主体となり実施している補助金事業です。プラスチックのリサイクルに関する技術的課題の解消やCO2削減を目的とする実証事業を行う企業を公募し、採用された企業に補助金を交付します。
出典:環境省『令和4年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業(補助事業)の公募について』(2022/4/15)
廃プラスチックの資源循環高度化事業
「廃プラスチックの資源循環高度化事業」は、経済産業省が主体となり実施している補助金事業です。企業は2022年4月から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づいて、設計からリサイクルまでを行うことになりました。この取り組みを実施するために必要な機器または設備の導入費用の一部が補助金として交付されます。
出典:経済産業省『令和3年度補正「廃プラスチックの資源循環高度化事業」に係る補助事業者(執行団体)の公募について』(2022/2/26)
3. 補助金活用事例
「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に選定された企業はどのような実証実験を実施する計画なのでしょうか。ここでは選定された企業事例をご紹介します。
アスクル株式会社
アスクル株式会社は2020年度に応募し、審査の結果実証事業を行う企業に選定されています。オフィスから回収した使用済みのプラスチック製品を再製品化するための資源循環バリューチェーンの構築を目指しています。
株式会社リコー
株式会社リコーは2020年度に応募し、審査の結果選定されています。リサイクルが困難とされている化石資源由来の素材から生分解性プラスチックや紙、バイオマスへの再生の実現を目指します。
出典:株式会社リコー『プレスリリース』(2020/9/23)
4. まとめ:補助金を活用して脱炭素化へ取り組もう!
もしもプラスチックごみのリサイクルに取り組まなければ、プラスチックごみが世界に与える影響はさらに深刻なものとなります。企業でも事業活動においてプラスチックごみが排出されます。国が実施する補助金事業などをこまめに確認しながら、プラスチックリサイクルに取り組みましょう!