日本のCO2排出量内訳と部門別CO2削減の取り組み

日本のCO2排出量の内訳は?2030年度以降の石油を燃料とする自動車の販売廃止や2050年度におけるCO2排出量実質ゼロ表明など、日本はCO2排出量削減に向けて積極的な姿勢を見せています。

この記事では、日本のCO2排出量の推移と部門別・電源別のCO2排出量の内訳、CO2排出量削減に向けた具体的な取り組みについてご紹介します。日本の現状を知ることで、企業がCO2排出量削減に向けてどのように取り組むかを考えていただければと思います!

目次

  1. 日本全体のCO2排出量の推移

  2. 日本の各部門のCO2排出量内訳

  3. 日本の電源別CO2排出量の内訳

  4. 日本のCO2排出量削減の取り組み

  5. まとめ:日本のCO2排出量の内訳と取り組みを理解し、できることを考えよう!

1. 日本全体のCO2排出量の推移

日本はCO2排出量が最も多かった2013年度以降、CO2排出量削減に向けた本格的な取り組みを始めています。実際に、日本ではどのようにCO2排出量が推移しているかを世界や主要国の推移と比較しながらご紹介します。

世界のCO2排出量の推移

環境省の発表によると世界全体のCO2排出量は1990年から緩やかに増加しています。先進国ではCO2排出量削減が進んでいるのですが、新興国においてCO2排出量が増加していることが原因です。

2017年度におけるCO2の総排出量は約328億t-CO2で、排出量が多い順に中国の28.2%、アメリカ14.5%、インド6.6%、ロシア4.7%、日本3.4%、ドイツ2.2%となっています。

出典:資源エネルギー庁『日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」』

日本のCO2排出量の推移

東日本大震災後に原発がほぼ停止し、石炭火力が増設されたことで、日本は2013年にCO2排出量がピークに達しています。環境省の発表によると2013年度以降、日本におけるCO2排出量は減少しており、次のように推移しています。

  • 2013年/14億1000万t-CO2

  • 2014年/13億6100万t-CO2 

  • 2015年/13億2200万t-CO2

  • 2016年/13億500万t-CO2

  • 2017年/12億9100万t-CO2

  • 2018年/12億4000万t-CO2

  • 2019年/12億1300万t-CO2

出典:資源エネルギー庁『日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」』
出典:環境省『2019年度(令和元年度)温室効果ガス排出量』

2. 日本の各部門のCO2排出量内訳

環境省の発表によると、日本は2013年以降CO2排出量が減少しており、2019年度の日本におけるCO2排出量は12億1300万t-CO2でした。2018年度と比較すると2.7%のマイナスです。ここでは日本の主な部門別にCO2排出量をご紹介します。

エネルギー転換部門

環境省の発表によると、エネルギー転換部門における2019年度のCO2排出量は8560万t-CO2です。電気熱配分統計誤差を除く製油所・発電所等では390万t減少しており、2018年度比で4.2%のマイナスです。

産業部門

環境省の発表によると、産業部門における2019年度のCO2排出量は3億8600万t-CO2です。2013年度と比較すると16.5%の減少、2018年度比で3%減少しています。この減少は、製造業における生産量の減少によるものです。

運輸部門

環境省の発表によると、2019年度の運輸部門のCO2排出量は2億700万t-CO2で2018年度比で3.9%のマイナスです。運輸部門での減少は、燃費の改善や輸送量の減少によるものです。

業務その他部門

環境省の発表によると、商業・サービス・事業所など業務その他部門における2019年度のCO2排出量は1億9200万t-CO2です。2018年度比で9.5%の減少です。業務その他部門における減少は電力のCO2排出原単位やエネルギー消費原単位の改善によるものです。

家庭部門

環境省の発表によると、2019年度の家庭部門におけるCO2排出量は1億5900万t-CO2で、2018年度比で7.1%の減少です。家庭部門における減少は、電力のCO2排出原単位の改善や暖冬によるエネルギー消費量の減少によるものです。

出典:環境省『2019年度(令和元年度)の温室効果ガス排出量(速報値)〈概要〉』(p.3)

3. 日本の電源別CO2排出量の内訳

日本では2013年以降CO2排出量は減少していますが、化石燃料依存度は依然として高い水準にあります。ここでは

日本における発電電力比率の推移と、電源別のCO2排出量についてご紹介します。

日本の発電電力量比率の推移

経済産業省・資源エネルギー庁の発表によると、日本の発電電力量の比率は次のように推移しています。

  • 1973年度:石油75.5%、石炭16.9%、水力4.4%、LNG1.6%、再エネ等1.0%、原子力0.6%

  • 2010年度:石油40.3%、石炭22.7%、LNG18.2%、原子力11.2%、再エネ等4.4%、水力3.3%

  • 2018年度:石油37.6%、石炭25.1%、LNG22.9%、再エネ等8.2%、水力3.5%、原子力が2.8%

CO2排出量が多い化石燃料依存度は減少しているものの、依然として高い水準にあります。

出典:資源エネルギー庁『2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)』(2020/11/18)

日本の電源別CO2排出量

2010年度と比較すると、日本では石油と原子力の発電電力比率が減少し、石炭とLNG、再エネ等、水力の比率が増加しています。電源別にCO2の排出量をご紹介します。

  • 石油火力/738g-CO2/kWh

  • 石炭火力/942.7g-CO2/kWh

  • LNG火力/473.5g-CO2/kWh

  • 水力/10.9g-CO2/kWh

  • 原子力/19.4

  • 事業用太陽光/58.6g-CO2/kWh

  • 風力/25.7g-CO2/kWh

再生可能エネルギーは発電時にはCO2を排出せず、発電所を建設する時や廃棄する時に排出されるCO2の量です。

燃焼時にCO2を排出する石油と石炭、LNGは他の電源と比べてCO2排出量が多いですが、天候などに発電量を左右される再生可能エネルギーを補うという点において重要な電源であることは忘れてはなりません。

出典:資源エネルギー庁『「CO2排出量」を考える上でおさえておきたい2つの視点』(2019/6/27)

4. 日本のCO2排出量削減の取り組み

日本は、2050年度までにCO2排出量実質ゼロ社会を実現するという目標を掲げています。この目標は野心的であると言われるように簡単に実現できるものではありません。ここでは、日本が掲げるCO2排出量削減に向けた目標と具体的な取り組みについてご紹介します。

日本が掲げるCO2排出量削減目標

1988年に設置されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、2014年11月に発表した「第5次評価報告書統合報告書」の中で、日本のCO2削減目標が発表されました。2050年までに2010年度比でCO2排出量を40〜70%削減するという内容でした。

菅新政権が誕生したことにより、日本の目標が修正され、2050年度にCO2排出量実質ゼロを目指すことが発表されました。

出典:環境省『2050年を見据えた温室効果ガスの大幅削減に向けて』(2015/10)(p.2)
出典:資源エネルギー庁『2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討』(2020/11/17)(p.2)

CO2削減目標を達成するための日本の取り組み

2050年度におけるCO2排出量実質ゼロの目標を達成するためには、企業や自治体、地域住民の脱炭素の取り組みが不可欠です。脱炭素社会の実現の鍵を握るのが再生可能エネルギーです。

菅首相は、CO2排出量実質ゼロの目標を達成するための具体的な取り組みとして、再生可能エネルギーを最大限に導入すると同時に、安全最優先で原子力政策を進め、安定したエネルギーを供給することを発表しています。

出典:資源エネルギー庁『2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討』(2020/11/17)(p.2)

5. まとめ:日本のCO2排出量の内訳と取り組みを理解し、できることを考えよう!

この記事では、現在の日本のCO2排出量の内訳を部門別・電源別にお伝えしました。日本が掲げる2050年度のCO2排出量実質ゼロ社会実現のためには、企業の取り組みは不可欠です。日本のCO2排出量の現状を知り、企業がどのような取り組みを始めるかを検討いただけたらと思います。

 

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