二酸化炭素の排出量削減に向けた日本と世界の動向は?

二酸化炭素の排出量を削減するために、企業でどのような取り組みをするべきかお悩みではないでしょうか。この記事では、日本の二酸化炭素排出量削減に向けた動向について、世界の歩みとともに詳しくご紹介します。日本や世界の二酸化炭素排出量削減の取り組みについての理解を深め、企業がどのように取り組むべきかを決定していただけたらと思います。

目次

  1. 世界と日本の二酸化炭素排出量削減に向けた動向

  2. 日本の二酸化炭素排出量は着実に減少

  3. 部門別・日本の二酸化炭素排出量の推移

  4. まとめ:二酸化炭素排出量の理解を深め、企業も取り組もう!

1. 世界と日本の二酸化炭素排出量削減に向けた動向

日本の新リーダーとなった菅首相が、温室効果ガスの排出量を2030年までに2013年度比で46%削減することを宣言するなど、二酸化炭素排出量を削減する取り組みが、日本でも活発化しています。

ここでは、世界と日本が二酸化炭素排出量削減に向け、どのような取り組みを行ってきたのか、その歩みをご紹介します。

出典:首相官邸『温室効果ガスの削減目標及び緊急事態宣言等についての会見』(2021/4/22)

国際的な取り組み

二酸化炭素の排出量は、産業革命以降世界で増加しています。環境省の発表によると、1975年〜2014年の間に40%も増加しています。

二酸化炭素による温暖化が、世界共通の深刻な問題として議論されるようになったのは、フィラハ会議以降です。フィラハ会議とは、1985年にオーストリアで開催された、地球温暖化に関する初めての世界会議です。

その後1988年にスイスに、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が設立されています。IPCCは、地球温暖化とそれに伴う気候変動に関する最新の知見などを報告書にまとめることを主な仕事としています。2021年4月から3回に分けて、第6次評価報告書が発表される予定です。

出典:環境省『第2章 地球温暖化の実態 科学は何を明らかにしたか』(p.6)

世界では日本も含めて具体的に、企業を中心にして次のような二酸化炭素排出量削減に向けた取り組みが行われています。

(1)カーボンフットプリント

イギリスで誕生した二酸化炭素排出量削減を目指す取り組みです。商品のライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素量に換算し、商品に表示します。二酸化炭素排出量を見える化することで、消費者の意識を高めることを目的としています。

(2)カーボン・オフセット

イギリスで誕生した二酸化炭素排出量削減を目指す取り組みです。企業は、努力では削減することができない分の二酸化炭素排出量を、削減活動に投資することなどで埋め合わせることができます。

(3)SDGsの認定の取得

SDGsとは、2015年に国連のサミットで採択された、世界が共通に掲げる目標です。世界では多くの企業が、二酸化炭素排出量削減目標を設定しSDGsの認定を取得しています。

(4)Bコーポレーション認証の取得

Bコーポレーションは、SDGsと同様に環境や社会への配慮が認められた、持続可能な企業だけが取得することができます。日本において、Bコーポレーション認証を取得している企業は6社にとどまっていますが、世界では3200社以上が取得しています。

出典:毎日新聞『世界71カ国3200社以上が認定「Bコープ」とは何か?』(2020/3/14)

日本の取り組み

日本でも2013年以降、二酸化炭素排出量が着実に減少していますが、菅政権の誕生により、二酸化炭素排出量削減に向けた取り組みがさらに活発化しています。菅首相は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする2050年カーボンニュートラル宣言をし、温暖化問題に全閣僚が一丸となり取り組むよう支持しています。

日本では、上記の国際的な取り組みでご紹介した取り組みをもとに、国や各自治体が主体となり、次のような独自の取り組みも行っています。

(1)カーボンゼロチャレンジ

川崎市は、2050年の脱炭素社会の実現に向け、地域の市民や企業、団体を巻き込み、二酸化炭素排出量削減に向けた取り組みを加速させる目的で、2020年11月12日に「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」を策定しています。

(2)J-クレジット

J-クレジットは、中小企業や自治体などが、省エネルギー機器の導入や適切な森林経営などにより削減または吸収することができた温室効果ガスの排出量を、国がクレジットとして認証する制度です。

(3)どんぐり事業

どんぐり事業は経済産業省が主体となり実施している制度です。J-クレジットなどのクレジットにより、カーボン・オフセットされた商品にどんぐりマークを表示することで、二酸化炭素排出量削減に取り組んでいる商品であることを消費者に知ってもらうことができます。

出典:環境省『2050年カーボンニュートラルの実現に向けて』

出典:川崎市『脱炭素戦略「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」策定』(2020年11月16)

出典:Jクレジット制度『J-クレジット制度とは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度です。』

出典:経済産業省『CFPを活用したカーボン・オフセット制度(どんぐり事業)及び我が国のカーボン・オフセットの現状について』(2016年9月)

2. 日本の二酸化炭素排出量は着実に減少

2013年以降、日本における二酸化炭素排出量は、着実に減少しています。ここでは、世界の二酸化炭素排出量と日本の二酸化炭素排出量の推移をご紹介します。

世界の二酸化炭素排出量の推移

経済産業省の発表によると、主要先進国では二酸化炭素排出量が着実に減少していますが、その中でもイギリスと日本が、2013年〜2018年にかけ大幅な削減に成功しています。日本の削減率は11.8%で、イギリスは19.3%です。

一方、G20各国では新興国において二酸化炭素排出量が増加しています。最も増加しているのはトルコで増加率は32.8%、その後にインドネシア、インド、サウジアラビアが続きます。

出典:経済産業省『地球温暖化対策と環境ファイナンスの現状について』(2020/2/17)(p.5.6)

日本の二酸化炭素排出量の推移

農林水産省の発表によると、日本は、2013年度の14億1000万t-CO2をピークに、2018年度まで連続5年二酸化炭素排出量は減少しており、2018年度の排出量は、12億4000万t-CO2です。

さらに2019年においても、二酸化炭素排出量は減少しており、環境省と国立環境研究所は、2019年度の日本の二酸化炭素排出量が12億1300万t-CO2であったことを発表しています。

出典:農林水産省『気候変動に対する農林水産省の取組』(2020/11/20)

出典:国立環境研究所『2019年度(令和元年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について』(2020/12/8)

3. 部門別・日本の二酸化炭素排出量の推移

世界各国と比較して、2013年以降二酸化炭素排出量の大幅な削減に成功している日本ですが、具体的に部門別にどのように推移しているのかについてご紹介します。

産業部門

環境省の発表によると、産業部門において2010年以降二酸化炭素排出量が増加していましたが、2013年から減少しており、2017年度の排出量は4億1300万t-CO2で、2013年度比で11.2%の減少です。

運輸部門

環境省の発表によると、運輸部門においては、2001年度にピークに達しており、それ以降は緩やかながら減少傾向にあります。2017年度の排出量は2億1300万円t-CO2で、2013年度比で4.9%の減少です。

家庭部門

環境省の発表によると、家庭部門における二酸化炭素排出量は、産業部門と同様に2010年以降増加していましたが、2013年から減少しています。2017年度の排出量は1億8600万t-CO2で、2013年度比で10.7%減少しています。

出典:環境省『2.1 CO2排出量全体』

4. まとめ:二酸化炭素排出量の理解を深め、企業も取り組もう!

この記事では、日本における二酸化炭素排出量削減に向けた取り組みや、二酸化炭素排出量の状況についてお伝えしました。日本は、世界各国と比較すると、2013年以降順調に二酸化炭素排出量の削減に成功しています。

 

今回お伝えした二酸化炭素排出量に関する基礎的な知識への理解を深めて、2050年のカーボンゼロの目標を達成するために企業も二酸化炭素排出量削減の取り組みを始めてみるのはいかがでしょうか。

 

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