CSR活動につながる企業の森づくり活動とは?
- 2022年06月15日
- SDGs・ESG
2002年に和歌山県が初めて「企業の森づくり活動」への取り組みを始めました。企業は『企業の森づくり活動』を始めることで、環境への貢献など様々なメリットを得ることができます。
この記事では企業の森づくり活動の概要や普及状況、多くの企業から注目されている背景、取り組むメリットなど法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介します。
目次
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企業の森づくり活動とは?
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企業の森づくり活動の普及状況と注目される背景
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企業の森づくり活動に取り組むメリットと課題
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まとめ:企業の森づくり活動の実施を検討しよう!
1. 企業の森づくり活動とは?
ここでは企業の森づくり活動の内容や種類、そもそもCSR活動とは何か、企業の活動事例についてご紹介します。
企業の森づくり活動とは?どんな種類がある?
企業の森づくり活動とは、企業や労働組合がCSRや社会・環境貢献活動、地域との交流活動の一環として地域で行う森林環境保全活動を指す用語です。企業の森づくり活動には大きく5つのタイプがあります。
(1)実践的な森づくり活動
借受林または自社が所有する森林を整備または管理するなど実践的に森づくりに取り組みます。
(2)森づくりの普及啓蒙と地域交流を目的とする活動
森づくりの重要性を伝えるイベントや、地域住民参加型のイベントなどを行う取り組みです。
(3)森づくりのための人づくり
子供向けの教育や人材教育により森づくりを活性化させるための取り組みです。
(4)資金や機材などの支援
森づくり活動を行っている団体などに資金や機材などを支援する取り組みです。
(5)本業と一体となったCSR活動
間伐採や地域財などを活用した商品の購入や使用により森づくりに貢献する取り組みです。
そもそもCSR活動とは何か?
CSRはCorporate Social Responsibilityの略称であり、企業の社会的責任と訳されています。CSR活動とは、利益を追求するだけでなく、社会的公正や環境に配慮しながら社会に貢献する取り組みのことで、具体的な活動には環境活動や寄附などがあります。CSR活動への関心の高まりにより、持続可能な企業になるためにはCSRへの取り組みが欠かせません。
環境省が公表している資料によると、企業が公表している環境報告書などを読んでどう変わったかとのアンケートに対して、企業に対する興味や関心、理解が深まったと答えた回答者は59%でした。
出典:経済産業省『「CSR」で会社が変わる、社会が変わる』(p. 5)
企業の森づくり活動の事例:能登建設株式会社
積極的に地域社会に貢献し、環境美化に努めるとの方針のもと、NPO法人と保全活動協定を結び森づくり活動に取り組んでいます。具体的な活動内容としては、地域住民と協力し森林および景観を整備するために必要な保育や草刈り、山菜やキノコの栽培環境の復元、クロマツの植林などを実施しています。
出典:石川県『企業の森づくり 活動事例集2020』(p. 3)
企業の森づくり活動の事例:九州電力株式会社
九州電力グループには大分県と阿蘇に100年以上前から社有林があり、杉やヒノキなどを育て、山林の育成に取り組んでいます。また九州電力株式会社は、九電みらい財団と協同のもと、大分県の社有林での取り組みを九州全域に拡大することを目的とし、九電みらいの森プロジェクトを開始しています。
2. 企業の森づくり活動の普及状況と注目される背景
企業が主体となった森づくり活動の取り組みが広がっています。ここでは企業の森づくり活動が注目される背景と企業の森づくり活動の普及状況についてご紹介します。
企業の森づくり活動が注目される背景
企業の森づくり活動が注目される背景にあるのが、世界に深刻な影響を与えている温暖化とCSRへの関心の高まりです。CSRは「corporate social responsibility」の略語で、日本では企業の社会的責任と訳されています。CSRを経営に取り入れることで以下のような様々なメリットを得られることから、企業の間でCSRへの関心が高まっています。
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社会的イメージの向上
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取引先の拡大
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リスク回避
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職場の活性化
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信頼性の確保 など
出典:経済産業省『CSRで会社が変わる、社会が変わる』(p.4)
企業の森づくり活動の普及状況
日本で企業の森づくり活動が始まったのは2002年のことで、木の国とも呼ばれ豊かな森林に恵まれる和歌山県が取り組みを始めました。その後環境問題やCSRへの関心の高まりから、企業の森づくり活動の輪が広がっています。林野庁などが相談窓口を開設しており、企業を後押ししています。
出典:林野庁『企業による森づくり活動の相談窓口一覧』(2021/10/1)
3. 企業の森づくり活動に取り組むメリット課題
企業は森づくり活動に取り組むことでメリットを得ることができます。ここでは企業が得られるメリットと取り組む上での課題についてご紹介します。
企業の森づくり活動のメリット
林野庁が2019年に国内の企業を対象に実施したアンケート調査によると、企業が得られた効果として1番多かったのが社会貢献で、全体の66.4%を占めています。2番目は54.7%の地域交流、3番目は40.1%の事業活動による環境負荷の低減という結果でした。
出典:林野庁『3.企業の森林に関わる意向と活動 内容』(p. 32)
企業の森づくり活動が抱える課題
森づくり活動に取り組んだ企業は、活動する上で苦労したことについて以下の項目を挙げています。
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予算の確保
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従業員への説明と理解
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地域住民の参加者を集めること
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森林や林業関係の協力者の確保
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活動場所の確保
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木材調達
森づくり活動に関する相談機関などに相談しながらどのような取り組みをするか検討していきましょう。
出典:林野庁『3.企業の森林に関わる意向と活動 内容』(p. 32)
4. まとめ:企業の森づくり活動の実施を検討しよう!
企業の脱炭素化への取り組みが加速する状況下において、森づくり活動への企業の関心が高まっています。危機は森づくり活動を実施することで、企業のイメージ向上や地域住民とのつながりの強化、社会貢献など多くのメリットを得ることができます。企業の森づくり活動についての理解を深め、活動の実施を検討しましょう。