LCAとScope3はどう違う?わかりやすく解説!

LCA(ライフサイクルアセスメント)とScope3にはどのような違いがあるのでしょうか。共に事業活動からのCO2排出量を算定し、その結果を踏まえてCO2排出量削減に取り組んでいくものですが、算定対象年などいくつか違いが見られます。

この記事では、法人の皆さまが知っておくべきLCAとScope3の定義と算定手順、違いについて分かりやすくご紹介します。

目次 

  1. LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?

  2. Scope3とは?

  3. LCAとScope3の違い

  4. まとめ:LCAとScope3の違いを理解し、算定を進めよう!

1. LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?

LCAとはどのような環境影響評価の手法なのでしょうか。ここではLCAの定義や実施手順を確認しましょう。

LCAとは

LCAは「Life Cycle Assessment」の略語です。製品またはサービスが、資源調達から廃棄に至るまでライフサイクル全体において環境負荷がどれくらいあるのかを評価する手法のことです。

CO2排出量を把握後に、それが環境に与える影響を客観的に評価し、環境改善に向けた意思決定を行うことを目的としています。LCAはISO14040において規格化されていますが、詳細な手法については目的に合わせて設定することになっています。

環境省は、企業が自らの事業をLCAの観点から評価できるようにLCAガイドラインを公表しています。

LCAのイメージ図出典:環境省『再生可能エネルギー及び水素エネルギー等の温室効果ガス削減効果に関するLCAガイドライン』

LCAの実施手順

LCAの標準的な実施の流れから整理していきましょう。

  1. LCAを実施する目的と調査範囲の設定

算定対象を明確にし、算定する目的を設定します。

  1. CO2排出量の算定

CO2排出量の基本的な計算式は、「活動量×排出原単位」です。活動量のデータと排出量原単位データを収集後にCO2排出量を算定します。

  1. レビューの実施

LCAガイドラインとの整合性を取ることを目的とし、算定結果の適切性や妥当性などに関して企業内でレビューを実施します。

  1. CO2排出削減効果などの表示

CO2排出削減効果は、製品カタログに表示したりホームページなどで公表することができます。

出典:環境省『再生可能エネルギー等の温室効果ガス削減効果に関するLCAガイドライン』(2021年7月改訂)(p. 14)

2. Scope3とは?

企業の脱炭素への取り組みが加速する中、注目を集めているのがScope3の算定です。ここではScope3の定義や算定の流れを確認しましょう。

Scope3とは

Scope3は、GHGプロトコルに定められる排出量区分の1つです。サプライヤーを含む事業活動全体を通して排出されるCO2からScope1と2をのぞいたものをScope3として計上します。

  • Scope1:事業者自らによるCO2の直接排出

  • Scope2:他社から供給された電気や熱、蒸気の使用に伴うCO2の間接排出

  • Scope3Scope1と2以外の間接排出量の全て

出典:環境省『サプライチェーン排出量の活用について』(2016/10/18)(p. 3)

Scope3の算定方法

Scope3の基本的な算定の流れを整理しましょう。

  1. 算定目的の設定

なぜScope3を算定しようとしているのか目的を設定します。

  1. 算定対象範囲の設定

Scope3は、事業活動に関係する全てのサプライヤーを含む全体像を算定対象範囲として設定します。

  1. カテゴリの抽出

Scope3は15個のカテゴリから構成されています。事業活動がどこに該当するのか検討しながら、カテゴリに分類します。

  1. データの収集

活動量のデータと排出原単位データを収集します。

  1. CO2排出量の算定

カテゴリごとにCO2排出量の算定を行います。基本的な計算式は、LCAと同様に「活動量×排出原単位」です。

出典:環境省『Scope3 〜算定編〜』(p. 9)

3. LCAとScope3の違い

LCAとScope3は似ている概念であることから、どのような違いがあるのか疑問に感じる人も少なくありません。ここではLCAとScope3の違いをご紹介します。

算定対象年の違い

LCAとScope3では算定対象年に違いがあります。LCAでは製品またはサービスの使用段階におけるCO2排出量を使用年度ごとに算定します。一方、Scope3では販売年度ごとに算定するため経年評価も可能です。

評価対象の違い

Scope3 はライフサイクル評価の思想が継承されていることからLCAと混同されやすいですが、評価対象に違いが見られます。LCAでは製品またはサービスを評価対象としてCO2排出量を算定するのに対して、Scope3 では組織が評価対象とされています。

出典:経済産業省『グローバル・バリューチェーン資料』(2018/2/2)(p. 1)

根拠となる規格の違い

LCAとScope3 では根拠規格に違いがあります。LCAがISO14040やISO14044を根拠規格とするのに対して、Scope3 はGHG SCOPE standardを根拠規格としています。

出典:経済産業省『グローバル・バリューチェーン資料』(2018/2/2)(p. 1)

https://earthene.com/form/download/general

4. まとめ:LCAとScope3の違いを理解し、算定を進めよう!

この記事では、LCAとScope3の定義や算定手順、違いなど法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介しました。LCAとScope3の違いを理解し、企業に合うやり方で算定を進めていきましょう。

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