事業活動の新常識?グリーン購入法の概要とメリットを解説!

みなさまは事業活動で必要な商品や備品を調達する際、何を意識していますか?昨今、直接的な事業活動のみならず調達にも持続可能性が求められます。そこで、この記事ではグリーン購入法とその概要とメリットを紹介します。企業の調達担当者様は必読の内容となっておりますので是非最後までお読み下さい。

目次

  1. グリーン購入法とは?成立の背景と概要

  2. グリーン購入法において大切な3つの考え方
  3. グリーン購入法の核!特定調達物とは?

  4. グリーン購入のメリットと具体例

  5. まとめ

1. グリーン購入法とは?成立の背景と概要

グリーン購入法とは端的に言うと、環境負荷低減に貢献する環境物品の需要を促進する法律です。始まりは2001年と古いですが、昨今の環境意識の高まりでグリーン購入法の重要性が再認識され促進されています

実は世界がSDGsに取り組むずっと前から持続可能な取り組みが日本ではなされていました。1994年滋賀県で国内で初めてグリーン購入の取り組み指針が策定され、その7年後の2001年に国がグリーン購入法を制定しました

グリーン購入法は環境負荷の少ない持続可能な社会の構築が目的です。調達の際は購入の必要性を十分に考えて必要な場合は品質や価格だけでなく環境負荷が少ない製品サービスを、環境負荷低減に勤める事業者から優先的に購入する事で、持続可能な社会を構築できると言えます。この取り組みを国はグリーン購入法として推進しています。

出典:環境省『グリーン購入法』(2017年)

2. グリーン購入法において大切な3つの考え方

グリーン購入法の概要を説明した所で、この法において大切な3つの考え方を紹介したいと思います。組織での調達においてこの3つの考え方は非常に重要ですので是非おさえておきましょう

(1)環境負荷の少ない事業者を選ぼう

価格と品質だけではなく環境負荷の少ない物品の積極的な調達が必要です。さらに、物品そのものの環境負荷だけでなく、設計・製造・販売等を行う業者の環境に対するの取り組みにも配慮しなければなりません。環境負荷の少ない商品の購入でグリーン購入が促進されます。

(2)ライフサイクルも考慮に入れて物品を調達しよう

物品を調達する際は資源採取から廃棄に至るまでのライフサイクルも考慮する必要があります。つい安さや品質に目がいきがちですが持続可能な社会にするうえで必要な考え方です。

(3)最優先されるべきはリデュース

リデュースとはごみの発生を減らす事です。いくら環境負荷が低いといっても、必要以上の調達や在庫を抱える事は持続可能とは言えません。調達物品を増やすことよりも、環境物品を長期的かつ適正に使用して、環境負荷を確実に低減させることが重要です

3. グリーン購入法の核!特定調達物品とは?

グリーン購入法では重点的に調達を推進すべき物品を特定調達品目として定めています。品目及び調達の判断基準は定期的に見直しが行われ常にアップデートされています。このセクションでは特定調達物品の概要や判断基準、動向を解説します。

特定調達物品の概要

2023年現在は下記の22分野が特定調達品目となっています。この22分野からさらに細分化され282品もの品目があります。より詳しい品目をご覧になりたい方は、『エコマーク『2023年度版 エコマークとグリーン購入法特定調達品』』をご参照下さい。

1.紙類

7.移動電話等

13.消火器

19.災害備蓄用品

2.文具類

8.家電製品

14.制服・作業服等

20.公共工事(資材)

3.オフィス家具等

9.エアーコンディショナー等

15.インテリア・寝装寝具

21.役務

4.画像機器等

10.温水器等

16.作業手袋

22.ゴミ袋等

5.電子計算機等

11.照明

17.その他繊維製品

 

6.オフィス機器等

12.自動車等

18.設備

 

出典:エコマーク『2023年度版 エコマークとグリーン購入法特定調達品』を基に表を作成

特定調達物品である為の判断基準

判断基準は前述した3つの考え方に沿うもので、多様な視点で環境負荷低減が実現出来るかと言うのが大きな基準となります。適合するか否かは事業者自らが国のガイドラインに沿って判断します。22分野282品目でかなり詳細な適合ガイドラインがありますので是非ご確認下さい。

参考:環境省『環境物品等の調達の推進に関する基本方針』(2021年2月)

特定調達物品判断基準の最新動向

コロナ禍での生活様式の変貌や脱炭素社会に向けた昨今の状況を踏まえて令和2年度にグリーン購入法に改定がありました。主にプラスチックごみ問題への対応、テレワーク品目の追加、次世代車および電動車への対応です。

特に自動車分野に関しては、2030年度までに(代替出来ない場合を除いて)公用車をハイブリッド車をはじめとする次世代自動車と電気自動車とする目標を掲げています。

調達に関しては、乗用車・小型バス・小型貨物車・バス等・トラック等・トラクタで最低でも次世代自動車最高で電動車へ切り替えという基準が設けられる事となります。さらに、車内エアコンや使用部材や燃費においても基準が設けられるので是非ご確認下さい。

参考:環境省『環境物品等の調達の推進に関する基本方針の変更について』(2021年)

4. グリーン購入のメリットと具体例

今まででグリーン購入法の成立背景や概要等を説明してきました。このセクションではグリーン購入のメリットや企業の取り組みの具体例を紹介します。どの企業も各々の強みをグリーン購入に繋げ一丸となって持続可能な世の中を目指しています

グリーン購入のメリット

グリーン購入のメリットは、調達先を工夫するだけで環境・社会・経済面でいい影響が期待できるという点です。実際、2004年の1680人に行ったグリーン購入の目安であるエコマークに関する調査では1600人以上の消費者が好印象を持つというデータもあり、優れた事業者に対する表彰もあります。

参考:公益財団法人 日本環境界 エコマーク事務局『エコマークを使う

グリーン購入の取り組み事例~(有)生活アートクラブ~

生活アートクラブは自然素材の企画販売等を手掛ける企業で、2012年から継続してカタログチラシに木になる紙放置竹林を利用した竹紙を販売して環境負荷低減に勤めています。また、生協等を通して情報提供や学習会を実施し幅広くグリーン購入を推し進めています

参考:『(有)生活アートクラブ

グリーン購入の取り組み事例~カルネコ(株)~ 

カルネコは販促物の製作および販売をする企業です。「いるとき、いる数、いる場所へ」という方針で無駄がなく環境負荷も少ない企業活動を行っています。具体的には無在庫のオペレーション販促物製造で発生するCO2の全量をクレジットで相殺する取り組みを実施しています。

参考:『カルネコ(株)

5. 強みを生かしてグリーン購入の輪を広げよう

グリーン購入法の施行は古いですが昨今の状況を鑑みると非常に重要です。環境負荷低減に貢献するために調達の際は注意したいです逆も然りで製造者も環境負荷を意識したモノづくりが求められます。製造にかかわる全ての人がグリーン購入を意識して持続可能な社会がグッと近づくことを願っています。

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