企業が取り組むべきリサイクルの必要性とは?有名企業の事例を紹介

現在、SDGsへの取り組みが世界各国で始まり、人が生活を続ける上での「ルール」として定着してきています。中でも「環境問題」に関する項目が注目され、CO2の排出削減などの対策が求められています。

これは国家レベルでの取り組みとなり、経済活動において、大きな社会的責任を負うべき「企業」にとっても「大きな課題」となります。ここでは企業が行うべき環境問題への取り組みについて、特に話題性の高い「リサイクル」という点で解説いたします。

目次

  1. 企業のCSRへの取り組みと3R(リデュース・リユース・リサイクル)活動について
  2. 企業がリサイクルに取り組むメリット
  3. 有名企業のリサイクルへの取り組み例
  4. 中小企業のリサイクルへの取り組み例
  5. 【まとめ】企業が取り組むべきリサイクルの必要性とは

1. 企業のCSRへの取り組みと3R(リデュース・リユース・リサイクル)活動について

CSRとは

企業が環境問題に取り組む際に「CSR」という言葉が使われます。このCSRとは、

  • 企業の社会的責任(CorporateSocialResponsibilyty)

の略で、従業員・消費者・投資者・環境などに向けて、企業が行うべき適切な意思決定と責任という意味です。SDGsにより、企業の環境問題に対する姿勢は、このCSRの観点からも特に注目されているところになるわけです。

リサイクルとは

環境問題への取り組みとして、もっとも浸透しているキーワードは「3R活動」ではないでしょうか。これは、

  • リデュース(reduse)排出抑制
  • リユース(reuse)再利用
  • リサイクル(recycle)再使用・再資源化

の3つの頭文字からきています。

元々日本では、この全てを「リサイクル」に含めた形で表現していたことから、リサイクルが一番私たちに身近な言葉として定着しているのでしょう。

リサイクルとは排出される廃棄物を見直し、「再使用、または再資源化を図る」ことです。

政府の実態調査結果では、ごみの焼却処分が課題に

環境省が発表する「一般廃棄物処理事業実態調査結果」に現状の廃棄物に関する調査結果が出ていますが、ごみの総排出量は減少傾向にあります。これは環境問題が叫ばれる中、3R活動が社会活動として定着している結果と言えるでしょう。

しかし、ごみの処理方法としてはその80%が焼却処理されているという状況はほとんど変わっていません。焼却に伴うCO2の排出はいまだに問題とされているのです。

以上のことから今後もリサイクル(再利用・再資源化)への取り組みはさらに加速していくことでしょう。そしてごみ総出量の約30%は事業系ごみとなっていますので企業によるリサイクルの取り組みも消費者が企業を判断する上で重要なファクターになることは間違いありません。この観点から、企業がリサイクルに取り組むメリットについても解説していきます。

出典:環境省『一般廃棄物処理事業実態調査結果/一般廃棄物の排出及び処理状況等について』(2020.04.17)

2. 企業がリサイクルに取り組むメリット

  • 企業イメージのアップ

まず、メリットとしてあげられる点は「環境問題に真剣に取り組んでいる企業」としてのイメージアップが図れるということです。同業種で同じような経営スタイルの会社であれば、環境問題に対する意識は消費者が企業をランクづけする際の判断材料となるでしょう。

日経BPでは2000年よりスタートした「環境ブランド調査」を、2020年には「環境(E)」だけでなく、「社会(S)」、「ガバナンス(G)」を加え、「ESGブランド調査」とし、ESGに取り組む企業にESG指数という指標を設けて評価しています。

2020年の結果での上位企業は、環境部門でサントリー(スコア127)、社会部門でトヨタ自動車(スコア110.2)、ガバナンス部門でトヨタ自動車(スコア120)となっており、総合でもトヨタ自動車(スコア117.9)がトップとなり、サントリー(スコア97)、イオン(スコア88.1)と続いています。このような調査で上位に入ることは、競合他社への大きなアドバンテージになります。

出典:日経BP『ESGブランド調査2020』(2020年10月)

  • 有価物化に伴うコスト削減

リサイクルというと、「ごみの分別作業」などコストアップを懸念する企業も多いと思います。実際回収業者に全てを依頼すれば処理コストもあがり、経費を圧迫することもあるでしょう。しかし、廃棄物について見直すことにより有価物化(経済上、他人に有償で売却できる価値のあるもの)することができる場合もあります。金属くず・廃油・廃プラスチックなど他業種では資源となるものがないか、検討してみると良いでしょう。

  • 業務内容の見直しの材料になる

廃棄物=不要品という考え方をもつことで、リサイクルへの取り組みにより、廃棄物の削減ができ、業務内容のスリム化につながるケースも考えられます。また不要なオフィス用品の削減やリサイクル化をおこなえば経費の削減にもつなげることが可能となります。

デメリットとしては「初期投資の経費圧迫」などが考えられますが、今後はリサイクル活動の取り組みは企業経営として必須の項目となることを考えると、「企業イメージの低下」というリスクをみてもデメリットと呼べるものではないでしょう。

では、ここからは実際に企業が行っている取り組み事例をご紹介致します。有名企業はこの問題に対してどのように取り組んでいるのでしょうか。参考になる部分もあると思います。

3. 有名企業のリサイクルへの取り組み例

  • おもちゃをトレーにリサイクル!<日本マクドナルド株式会社>

マクドナルドでは使わなくなったハッピーセットに付属するおもちゃのリサイクルを行っています。店頭にある回収BOXにおもちゃを入れると、店舗で使用するトレーとしてリサイクルされるのです。このトレーが緑色になっていて、他のトレーと一目で違いがわかるところも上手くアピールされているポイントです。

出典:日本マクドナルド株式会社『おもちゃリサイクルプロジェクト

  • 服のリユース・リサイクル!<株式会社ユニクロ>

日本衣料販売の最大手、ユニクロでは使用した衣料の回収を行っています。これは、着なくなった服を難民キャンプなどに支援品として寄贈したり、ダウン(羽毛)の再利用や素材の再加工により固形燃料や自動車防音材へのリサイクルをおこなっています。再利用化だけでなく、貧困の問題にも取り組んでいる所はよく考えられているシステムだと思います。

出典:株式会社ユニクロ『RE・UNIQLO』

  • 清掃用品リサイクルのパイオニア!<株式会社ダスキン>

清掃用品のリサイクル企業として有名なダスキンは3R活動を「ものを大切に繰り返し使う・みんなで使う、減らす、捨てない」という発想で取り組んでいます。まさにリサイクルの本道を貫く企業であるといえるでしょう。

出典:株式会社ダスキン『循環型社会への取り組み』

  • リサイクルPET樹脂使用率が28%に!<日本コカ・コーラ株式会社>

飲料メーカーのコカ・コーラでは2020年にPETボトルのリサイクルPET樹脂の使用率が28%になったと発表しました。今後は2022年にリサイクルPET樹脂使用率を50%に、2030年には石油由来原料の使用を0にするとしています。非常に大きな割合を占めるPETボトルのリサイクル問題に取り組んでいる企業として評価価値は高いと考えられます。

出典:日本コカ・コーラ株式会社『ボトルtoボトル』

4. 中小企業のリサイクルへの取り組み例

政府は平成29年に循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰受賞者を発表しています。ここでリサイクルに取り組む優良な中小企業の事例をご紹介します。

  • 廃棄物の徹底的な細分化<山崎製パン株式会社 札幌工場>

こちらでは廃棄物は市の埋め立てを使用していましたが、廃棄物の細分化とリサイクル化に取り組んでいます。これにより紙類の有償化、プラスチックの再資源化をすすめています。

  • 緑のリサイクルセンター設立<有限会社 日野環境>

グループ会社と廃棄物処理の施設を新設し、廃棄物の再資源化に取り組んでいます。市の焼却施設と連携し、剪定枝や刈草をチップやたい肥へとリサイクルをおこない、焼却量の削減や、高齢者の雇用にも寄与しています。

出典:環境省『3R活動先進事例集2017』(平成30年3月)

5. 【まとめ】企業が取り組むべきリサイクルの必要性とは

  • CSRとは「企業の社会的責任」という意味で、SDGsの観点から環境問題に対する姿勢が求められている。
  • リサイクルとは3R活動のひとつで「再利用」「再資源化」を表している。
  • 政府の実態調査によると、近年ごみの総排出量は減少傾向にあるが、処理方法としては80%が焼却処理されている。
  • ごみの排出量の30%が事業系ごみで企業のリサイクルに対する取り組みが注目されている。
  • 企業がリサイクルに取り組むメリットには「企業イメージの向上」・「有価物化に伴うコスト削減」・「業務内容の見直しの材料」などが考えられる」

大手企業の多くが取り組んでいるリサイクル活動ですが、今後は中小企業にも浸透して行くでしょう。リサイクルへの取り組みは企業の継続には欠かせない要素となっていきます。先ず現状を把握し、会社として何をするべきなのか考えてみてはいかがでしょうか。

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