温室効果ガスの削減方法は?企業の取り組むべきポイントをご紹介
- 2022年10月11日
- CO2削減
現在、SDGs制定により、環境問題に向けた取り組みが注目されています。これは各国の首脳により、全世界で共通の施策となっており、企業としても取り組み方により企業価値が評価されるポイントとされています。
特に注目されるのが温室効果ガス削減に向けての取り組み方ではないでしょうか。
それでは、温室効果ガスとは何か?削減に向けてどのように取り組んでいけば良いか?具体的にわかりやすく解説します。
目次
- 温室効果ガスとは?
- 政府の温室効果ガス削減に向けた動き
- 現在の企業の温室効果ガス削減への取り組み状況
- 温室効果ガス削減に向けて取り組むべきポイントは?
- 【まとめ】温室効果ガス削減について企業が取り組むべきポイントとは
1. 温室効果ガスとは?
先ず、「温室効果」とは地球の表面から、地球外へ向かう赤外線が他の物質の影響により大気中にとどまることにより、熱として蓄積され地表に戻り、それが地球表面の大気を緩め、気温を上昇させることです。この赤外線に影響を及ぼすものが「温室効果ガス」となります。
温室効果ガスというと大気汚染のイメージが強いですが、現在の平均気温である14℃を保っているのはこの温室効果ガスで、もしこの温室効果ガスが全くなくなると地上の気温はマイナス19℃となり、生物は生存できなくなります。
温室効果ガスは二酸化炭素・メタン・フロンなどで構成されています。それぞれの特徴をみていきましょう。
- 二酸化炭素
温室効果ガスのうち、全体の76%を占めるガスとなっています。石化燃料の生産による発生が65%となり、二酸化炭素の吸収を行う森林伐採により11%が発生しています。
- メタン
全体の16%を占めるメタンは有機物の腐敗や発酵によって発生します。ごみの埋立処分場やバイオマスの燃焼、下水汚泥や家畜のふん尿の分解過程などによって発生し、温室効果は二酸化炭素の10倍以上となっています。
近年ではエルニーニョ現象やラニーニャ現象などの影響で、大気濃度が産業革命以前より2.5倍を超えています。その反面、バイオマス発電などエネルギー源としての活用も見直されています。
- フロン
フロンガスは冷蔵庫やエアコンの冷媒に使用される人工の物質となり、温室効果ガスに占める割合は2%ほどと多くはありませんが、その温室効果は二酸化炭素の数千倍と言われています。塩素を含む「特定フロン」はオゾン層の破壊にもつながることで問題になりましたが、塩素を含まない「代替フロン」についても温室効果は高く、各国で削減目標が定められています。
これらの温室効果ガスの排出が、産業革命以降増えたことにより、大気の温度の上昇がおこり、気候変動に伴う災害や、温暖化による海面上昇など、様々な問題が発生しているのです。これは地球上の生物すべてに影響を与えることになり、現在の生態系は大きく崩れることになります。
IPCC(IntergovernmentalPanelonClimateChange)の報告では、異常気象による経済的損失は、1950年年代の年間39億ドルから1990年代には399億ドルと10倍になっており、さらにこのまま温暖化が進めば、2050年には年間3000億ドル(35兆円)という規模になるとしています。
2. 政府の温室効果ガス削減に向けた動き
環境省は、2020年の削減目標を2005年度比で3.8%減としています。これは当初25%減としていた目標から原子力発電利用時の削減効果見込みを修正した目標となっています。
出典:環境省『2020年に向けた我が国の新たな温室効果ガス削減目標』
また、2050年までの目標として、90年比で80%削減を目指すと発表しています。その対策として、
- 革新的技術開発
- エネルギー源の転換
- 省エネ・再エネの推進
- 炭素価格上昇の抑制によるCO2の排出削減
などがあげられており、気候変動防止にむけた国民への具体的な協力内容の提示をおこなっていくとしています。
出典:環境省『温室効果ガス削減目標及び対策』
そして直近では、2021年4月におこなわれた気候変動サミットにて、2030年までの削減目標を菅首相が発表し、2013年比で26%減としていた削減目標を46%減まで引き上げ、さらに「50%減の高みにチャレンジする」としています。
出典:産業経済新聞『気候変動サミット菅首相発言全文』(2021.04.23)
ここまでの内容から、経済活動による温室効果ガスの排出について、企業としても削減にむけた取り組みは必要不可欠となるのです。では現在の各企業の取り組み状況はどのようになっているのでしょうか。
3. 現在の企業の温室効果ガス削減への取り組み状況
帝国データバンクのアンケートによると、温室効果ガス削減に取り組んでいると答えた企業は82.6%となっており、大規模企業では88.8%と高く、小規模になるにつれ、少なくなっている。
また業種別では、「製造業」が87.1%で最も多く、「金融業」、「建設業」と続いています。最も低かった「サービス業」においても78.6%が取り組んでいると回答し、業種別での格差は少なく、どのような業種でもこの問題を重要視していることがわかります。
しかし、2050年カーボンニュートラル目標達成可能と答えた企業はわずか18%で、61%の企業が困難・達成出来ないと回答。取り組んではいるものの、政府指針に対して具体的なロードマップが不鮮明で目標がわかりにくいとの声があるようです。
出典:帝国データバンク『温室効果ガス排出抑制に対する企業の意識調査』(2021.01.19)
では、実際にどのような取り組みを行っているのでしょうか。各企業がおこなっている温室効果ガス削減にむけた行動内容をみていきましょう。
4. 温室効果ガス削減に向けて取り組むべきポイントは?
まず、目標についてはできるだけ数値化することを考えましょう。現在の状況を把握し、目標をどこまでに設定するかを明確にすることが重要となります。行動内容の決定が先でも問題ありません。その内容についてどこまで落とし込めるか考えてみましょう。
現在大手企業が行っている温室効果ガス削減への取り組みとしては、
- 節電・節水・クールビズ・ウォームビズなどの省エネ対策
- ハイブリッド・電気自動車の導入によるCO2の排出削減
- 太陽光・風力などのクリーンエネルギーの導入によるCO2排出削減
- 廃棄物の抑制・再資源化
などがあげられます。電気自動車や、クリーンエネルギーの導入などは政府の資金援助が受けられる場合もあります。自社ではどの取り組みが効果的なのか考えてみてはいかがでしょうか。
出典:PRTIMES『環境省による「EV購入補助事業における再エネ100%電力メニュー」にアスエネ Earth 100プランが採択』(2021.03.18)
5.【まとめ】温室効果ガス削減について企業が取り組むべきポイントとは
- 温室効果ガスとは、赤外線に影響を与え、気温の上昇を招く物質で、二酸化炭素・メタン・フロンなどがあげられる。
- 温室効果ガスの増加により、年々地表の気温が上昇し、生物の生態系の変化や、気候変動による災害などの影響が出ている。
- 異常気象による経済的損失も起こっており、このまま温暖化がすすめば2050年には年間3000億ドルになると予想されている。
- 政府は2021年の気候変動サミットで、温室効果ガスの排出を2030年までに2013年比で46%減にする目標を発表した。
- アンケートでは温室効果ガス削減に取り組んでいる企業は82.6%で大規模企業では88.8%という結果が出ている。
- 2050年のカーボンニュートラル目標達成可能と答えた企業は18%にとどまった。
- 企業での温室効果ガス削減への取り組みには目標の数値化が重要となる。
- 具体的な取り組み内容としては、省エネ・電気自動車の導入・クリーンエネルギーの導入・廃棄物の抑制などがあげられる。
すでに多くの企業が取り組んでいる温室効果ガス削減ですので、今後も大規模、中小に関係なく企業の存続には必須の条件と言えるでしょう。地球環境の維持の為に、企業として何ができるのか考えていきましょう。