Scope3 カテゴリ1の算定方法や事例紹介
- 2023年12月04日
- CO2算定
サプライチェーン全体での脱炭素化が加速する中、Scope3という用語をよく耳にするようになりました。
この記事では、脱炭素化に取り組む企業にとって欠かせない知識であるScope3のうちカテゴリ1に注目し、定義や算定方法、企業事例などについてご紹介します!
目次
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Scope3とは
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Scope3「カテゴリ1」とは?
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Scope3「カテゴリ1」の算定方法
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Scope3「カテゴリ1」の企業事例
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まとめ:Scope3 カテゴリ1のCO2排出量を把握し、削減に取り組もう!
1. Scope3とは
企業の脱炭素化が加速する中、Scope3という用語をよく耳にするようになりました。ここではそもそもScopeとはどのような概念なのかや、Scope3の算定が重視される背景についてご紹介します。
そもそもScopeとは?
Scopeとは、1998年に設立された温室効果ガスプロトコルにおいて定められている排出量の区分のことで、Scope1・2・3があります。加えて、Scope3は15のカテゴリに分類されています。
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Scope1:事業者自らによるCO2の直接排出量
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Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出量
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Scope3:Scope1・2以外の間接排出量
Scope3はサプライチェーン排出量とも呼ばれており、事業者の活動に関連する他社からのCO2排出量を指しています。
出典:環境省『温室効果ガス(GHG)プロトコル』(p. 2)
Scope3の算定が重視される背景
自社からのCO2排出量よりもサプライチェーンからのCO2排出量の方が多いです。企業が脱炭素化を実現させるためには、Scope3を算定することにより全体のCO2排出量を把握し、どのように削減するかを検討することが求められます。
2. Scope3「カテゴリ1」とは?
Scope3 カテゴリ1は、どの事業活動から排出されるCO2排出量を指しているのでしょうか。ここではScope3 カテゴリ1の定義やScope3 カテゴリ1のCO2排出量を削減するためにできることについてご紹介します。
Scope3 カテゴリ1とは?
Scope3 カテゴリ1は、購入した製品やサービスが製造されるまでの活動において排出されるCO2排出量のことです。Scope3 カテゴリ1に関連する活動には、原材料の調達やパッケージングの外部委託、消耗品の調達などがあります。
Scope3 カテゴリ1のCO2排出量を削減するためにできること
Scope3を算定することで、Scope3 カテゴリ1が全体でどれくらいの割合を占めているかを客観的に把握し、どのように削減に取り組んでいくかを検討できます。たとえばScope3 カテゴリ1の活動にパッケージングの外部委託がありますが、取引先の事業者にフィルムやトレイなどの軽量化を要請することでCO2排出量を削減することができます。
出典:環境省『サプライチェーン排出量算定の考え方』(p. 1)
3. Scope3「カテゴリ1」の算定方法
ここではScope3 カテゴリごとの算定方法と簡易なScope3の算定方法についてご紹介します。
Scope3 カテゴリごとの算定方法
CO2排出量を算定するための基本式は、活動量×排出原単位です。活動量は社内のデータや文献データ、業界平均データ、製品の設計値などから収集します。排出原単位とは活動量あたりのCO2排出量のことで、既存のデータベースから収集するのが一般的です。
Scope3の簡易な算定方法
Scope3 カテゴリ1の算定方法には、調達量をもとに算定する方法と調達金額をもとに算定する方法などがあります。調達量をもとに算定する場合は、活動量が調達量で排出原単位が物量あたりの排出原単位になります。調達金額をもとに算定する場合は、活動量が調達金額で排出原単位が金額あたりの排出原単位になります。
出典:環境省『サプライチェーン排出量算定の考え方』(p. 13)
4. Scope3「カテゴリ1」の企業事例
Scope3 カテゴリ1を算定している企業の事例を見ていきましょう。
カルビー株式会社(製造業・食料品)
カルビー株式会社が公表している2019年度のScope3のデータによると、カテゴリ1が全体の48%と最も大きい割合を占めています。この算定結果を受け、カルビー株式会社はサプライヤーとの協働による取り組みが必要であるとし、研究開発により容器包装の減容化および軽量化を図る方針を示しています。
株式会社丸井グループ(小売業)
株式会社丸井グループが発表した2020年度のScope3において最も大きい割合を占めているのがカテゴリ1の38%です。プライベートブランドのカーボンフットプリントを算定し、特に原材料の調達においてサプライヤーとの協力のもとで取り組みを推進していく方針を示しています。
株式会社ファミリーマート(小売業)
株式会社ファミリーマートが発表した2019年度のSBT成果報告によると、Scope3 カテゴリ1が占める割合は91.7%と非常に大きい割合でした。2030年までに2018年比で15%削減し、サプライヤーとの協働により包装容器の軽量化や環境配慮型の素材の導入を推進していく方針を示しています。
5. まとめ:Scope3 カテゴリ1のCO2排出量を把握し、削減に取り組もう!
この記事では、Scope3 カテゴリ1の概念や算定方法、企業の算定事例などをご紹介しました。カテゴリ1がScope3を占める割合は非常に高いです。Scope3 カテゴリ1を算定し、どのようにCO2排出量を削減するか検討につなげていただければと思います。
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