SDGs13番の中身を知ろう!?企業の取り組み事例も紹介
- 2022年06月15日
- SDGs・ESG
SDGsは持続可能な開発目標であり、17のゴールと169のターゲットによってなりたっています。これらの目標の中で今回取り上げるのは目標13番の気候変動に関する内容です。
今回は目標13の内容や目標13達成に向けた各企業の取り組み事例と、目標13を達成する上での課題についてとりあげ、中小企業にとって新たなビジネスチャンスになることを解説します。
目次
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そもそもSDGsとは?
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SDGsの目標13を詳しく知ろう!
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目標13達成に向けた企業の取り組み事例
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SDGs目標13を達成する上での課題
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まとめ:SDGs13を達成するためのCO2排出削減は新ビジネスのチャンス!
1. そもそもSDGsとは?
SDGsとは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(以下、2030アジェンダ)の中核をなす持続可能な開発目標のことです。
出典:国際連合広報センター『ポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン』(2019年8月)
SDGsは、17の目標(ゴール)と169のターゲットによって構成されています。17のゴールのうち、「ゴール6(水)」、「ゴール12(持続可能な生産・消費)」、「ゴール13(気候変動)」、「ゴール14(海洋)」、「ゴール15(生態系・森林)などは特に環境と関わりが深いと考えられます。
出典:環境省『平成29年版環境白書』「第1章 地球環境の限界と持続可能な開発目標(SDGs)」
2. SDGsの目標13を詳しく知ろう!
(1)目標13「気候変動に具体的な対策を」とは?
SDGsの目標13の内容は気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じることを意味します。なぜ、緊急対策が必要なのでしょうか。それは近年続発する異常気象に対処する必要があるからです。
出典:環境省『令和3年版環境白書』「第2節 気候変動問題の影響」
2020年、世界各地で異常気象が相次ぎました。
北極圏の海氷は過去最小となり、北米では森林火災や異常高温、ハリケーンの激甚化、南米の少雨、ヨーロッパの地域的高温と少雨、アジアの大雨や熱帯低気圧の発達、アフリカの大雨など全世界で異常気象が発生しました。
こうした異常気象の原因として考えられているのが地球温暖化です。温暖化の原因とされるのがメタンガスやCO2などの温室効果ガスです。
従って、気候変動を抑えるためには、緊急の具体的な対策として、原因として考えられるCO2などの温室効果ガスの排出量を削減しなければなりません。
(2)目標13に付随する5つのターゲット
目標13には、付随する5つのターゲットがあります。13.1 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
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13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む
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13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
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13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。
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13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。
出典:外務省「JAPAN SDGs Action Platform」
つまり、各国が気候変動災害に備えて準備を整え、対策を政策に盛り込み、対応する人の育成やシステムを構築することや、開発途上国に必要な資金を投入し、もっとも命の危険にさらされている後発発展途上国でも、人々の命を守るための計画を立てるべきだという内容です。
3. 目標13達成に向けた企業の取り組み事例
目標13達成のための動きは既に始まっています。ここでは、企業の具体的な取り組み事例について紹介します。
(1)株式会社アサクラ
株式会社アサクラは不織布製品の企画・製造・卸売りを行っている企業で、環境配慮型製品の開発を通じて、SDGsの達成に取り組んでいます。
たとえば、ポリ乳酸(PLA)不織布は植物由来の原料を使用し、焼却時のCO2排出量と植物が成長する際に光合成で消費するCO2の量がイコールになるカーボンニュートラルな製品です。
再生ペットボトルを原料とする不織布の生産や土に埋めることで分解されるセルロース100%の不織布、繰り返し使えるエコバックなどCO2の排出量を削減できる製品を開発しています。
出典:株式会社アサクラ「環境配慮型商品とSDGsへの取り組み」
(2)NGP日本自動車リサイクル事業協同組合
NGP日本自動車リサイクル事業協同組合は、自動車部品のリサイクルを通じてCO2の排出削減や廃自動車の再資源化、エネルギーの抑制などに努めています。
廃車になった自動車からまだ使える部品を取り出し、リユースすることによりCO2を削減し、削減量に応じた金額を瀬戸内オリーブ基金に寄付しています。
出典:NGP日本自動車リサイクル事業協同組合「NGP SDGs宣言」
(3)株式会社キミカ
株式会社キミカは、日本で唯一のアルギン酸生産メーカーです。アルギン酸は海藻などから抽出される成分で、食品用・医薬品用・工業用として幅広く使われる物質です。
株式会社キミカは、原料の一部を南米のチリで調達していますが、使用する海藻は浜辺に打ち上げられたものを使用しています。そして、それらの海藻はチリの乾燥した気候を生かして自然乾燥させています。電力を消費せずに海藻を乾燥させることで、CO2の排出削減に努めています。
出典:株式会社キミカ「自然と共存する。 キミカの環境活動。」
4. 目標13を達成する上での課題
目標13を達成するためには、まだまだ乗り越えるべき課題があります。その一つがサーキュラーエコノミー実現のための技術開発と低コスト化です。CO2の排出削減が少ない製品を低コストで生み出すための技術革新が今後も必要となるでしょう。
また、製品の製造過程でのCO2の排出削減も同様に技術開発と低コスト化が必要です。特に、カーボンリサイクル技術の開発と低コスト化は目標13を達成するために必要不可欠なのではないでしょうか。
加えて、住環境においても高気密・高断熱住居の開発や太陽光パネル、蓄電池の設置などを普及することでCO2の排出量を減らせる可能性があります。
さらに、最もCO2の排出削減が必要なエネルギー部門における再生可能エネルギーの割合増加と、一般企業による再エネ利用も推し進める必要があります。同時に、FIP制度の導入などにより低コスト化を図る必要もあるでしょう。
出典:経済産業省「2050年80%削減に向けた 機会と課題(案)」(p6~12)
5. まとめ:SDGs13を達成するためのCO2の排出削減は新たなビジネスチャンス
SDGsは2030年までに達成するべき目標で、日本だけではなく世界的にも進められている国際的な目標です。今回取り上げた目標13は、全17の目標の中でも緊急性が高いとされています。昨今の異常気象の原因と考えられる地球温暖化を食い止めるためには、CO2の排出削減を避けて通ることはできません。国も目標達成のために様々な施策を実行していくことが予想されます。
中小企業にとって、この脱炭素化の流れは大きなビジネスチャンスです。自社の持つ強みを再検討し、CO2排出削減に関わる環境ビジネスに参入する機会を伺うべきではないでしょうか。