FIT買取の価格は?基礎知識と発電方法別・規模別の買取価格をご紹介

FIT買取価格は、どの再生可能エネルギーを使って発電したかや、どれくらいの量の電気を売るかにより、1kWhあたりの買取価格が異なります。

この記事では、再生可能エネルギーの導入をご検討されている法人の皆さまが、知っておくべきFIT買取価格の基礎知識や、発電方法別・規模別に買取価格、2022年度にFIT制度に新たに加わるFIP制度に出てくる用語をFIT制度関連用語としてご紹介します。

目次

  1. FIT買取価格に関する基礎知識
  2. 発電方別・規模別FIT買取価格
  3. FIT買取価格に関して押さえておくべき関連用語
  4. まとめ

1. FIT買取価格に関する基礎知識

2012年7月に、再生可能エネルギーの普及を目的として、固定価格買取制度(FIT法)が施行されました。FIT買取価格が定められ、一定期間電気を安定して売ることができるようになり、再生可能エネルギーを導入した企業の数が急増しています。

出典:資源エネルギー庁『調達価格等に関する報告』2022年4月

FIT買取価格は1kWhの電気買取価格である

FIT買取価格とは、電気事業者が再生可能エネルギーにより発電した電気を買い取る時の1kWhあたりの料金です。調達価格等算定委員会がとりまとめた意見案をもとに、毎年経済産業大臣が買取価格を決定しています。

FIT買取価格とほぼ同じ意味で使用されている用語がいくつかあります。たとえば「買取価格・買取単価・売電価格・売電単価・調達価格」などが該当します。一般的に、買取は電気を買い取る側、売電は電気を売る側が使用します。

出典:経済産業省『再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2022年度以降の買取価格・賦課金単価等を決定します』

調達期間は電気買取価格が保証される期間である

FIT買取価格に関連する用語として、押さえておきたいのが調達期間です。調達期間とは、買取価格が保証される期間のことです。調達期間は買取価格と同様に、経済産業大臣が決定し、例年3月末に公表されています。

調達期間があることで、その期間は一定の価格で発電した電気を買い取ってもらうことができます。価格の下落に左右されないことが、再生可能エネルギーの普及につながっています。

出典:資源エネルギー庁『よくある質問 固定価格買取制度 なっとく!再生可能エネルギー』

2. 発電方法・規模別FIT買取価格

固定価格買取制度(FIT法)において、買取価格が定められている再生可能エネルギーは全5種類あります。(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス)

買取価格は、発電方法や売電する規模により異なります。ここでは発電方法と規模別に、経済産業省が公表している、2023年度のFIT買取価格の一部をご紹介します。バイオマス発電や地熱発電、中小水力発電などにつきましては経済産業省『再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2022年度以降の買取

価格・賦課金単価等を決定します』をご参考ください。

太陽光発電

  • 住宅用太陽光発電(10kW未満)16円
  • 事業用太陽光発電(10kW以上50kW未満)10円
  • 事業用太陽光発電(50kW以上入札対象外)9.5円

風力発電

  • 陸上風力発電(50kW未満)15円(2024年度:14円)
  • 陸上風力発電(全規模)14円(2022年度)

出典:経済産業省『再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2022年度以降の買取価格・賦課金単価等を決定します』

3. FIT買取価格に関して押さえておくべき関連用語

FIT買取価格について調べていると、特定調達対象区分等や交付対象区分等といった関連用語がでてきます。ここでは、再生可能エネルギーにより発電した電気の売却を考えている皆さまが知っておくべき、基本的なFIT価格の関連用語を整理しました。

特定調達対象区分等・交付対象区分等の違い

10kW未満と10kW以上50kW未満の小規模の太陽光発電に関して、「2022年度は、特定調達対象区分等のみの対象とし、交付対象区分等の対象としない。」と記載されています。

特定調達対象区分等とは、FIT制度の対象区分等のことで、交付対象区分等は、FIP制度の対象区分等のことです。つまり2022年度は、10kW未満と10kW以上50kW未満の太陽光発電に関しては、FIT制度のみが対象となりFIP制度は対象ではないことになります。

FIP制度は、2022年度からFIT制度に加えて新たに導入される制度です。競争力が高まる見込みがある大規模な太陽光発電や風力発電は、2022年度からFIT制度からFIP制度に移行予定です。

資源エネルギー庁は、FIP制度とは市場価格に一定のプレミアムを上乗せして交付する制度であると説明しています。FIT制度とは異なり、発電事業者は自分で市場で電気を売ることになります。

出典:資源エネルギー庁『FIP制度の詳細設計とアグリゲーションビジネスの更なる活性化(2020/8/31)』

基準価額と参照価額

基準価格と参照価格は、ともにFIP制度で出てくる新しい用語です。

基準価格は、FIP制度における発電事業者の収入の基準となる価格で、FIT価格に呼び方を合わせて、FIP価格と呼ばれることもあります。価格については、FIT価格と同水準の金額が設定されています。

一方参照価格は、参照期間の市場価格の平均をもとに、季節や時間帯ごとに決められた価格のことです。基準価格から参照価格を差し引いて、プレミアム単価を加えた金額が発電事業者の収入になります。

出典:資源エネルギー庁『FIP制度の詳細設計とアグリゲーションビジネスの更なる活性化(2020/8/31)』

4. まとめ

再生可能エネルギーによる売電をご検討中の法人の皆さまが、知っておくべきFIT買取価格に関する基礎知識や、関連用語としてFIP制度に出てくる新しい用語についてご紹介しました。FIT制度に関する基本的な知識や理解を深め、2022年度から新たにスタートするFIP制度にも備えていただければと思います!

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