【次世代の発電】期待される次世代の発電にはどんな方法がある?
- 2022年06月15日
- 発電・エネルギー
日本で期待されている次世代発電にはどのような方法があるのでしょうか。日本は、2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指し、再生可能エネルギーや原子力など実用化されている脱炭素技術を用いて着実に脱炭素化に取り組むことに加え、新たな脱炭素技術の実用化に向け、取り組んでいます。
この記事では、新たな脱炭素技術として期待されている次世代発電について、法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介します。
目次
-
日本の電源構成と今後の方針
-
水素エネルギー
-
燃料アンモニア
-
CCS・CCUS技術
-
まとめ:期待される次世代発電方法を理解し、今後の取り組みを検討しよう!
1. 日本の電源構成と今後の方針
日本は脱炭素社会を実現させるために、今後どのような方針を固めているのでしょうか。ここでは、日本の電源構成と今後の方針についてご紹介します。
日本の電源構成の割合は?
2020年度における日本の電源構成の割合は、以下の通りです。
-
石炭 27.6%
-
LNG 35.4%
-
石油 2.0%
-
その他火力 9.9%
-
原子力 4.3%
-
水力 7.9%
-
太陽光 8.5%
-
風力 0.9%
-
地熱 0.3%
-
バイオマス 3.2%
出典:isep『【速報】国内の2020年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況』よりアスエネ作成(2021/7/27)
日本が脱炭素化社会を実現させるためには?
脱炭素化社会を2050年までに実現させるためには、CO2排出量の8割以上を占めているエネルギー分野の取り組みが特に重要です。電力部門においては、再生可能エネルギーや原子力など脱炭素電源を着実に普及させるだけでなく、水素やアンモニア、CCS・CCUSなどのイノベーションを追求し脱炭素化を進めていく方針を固めています。
出典:資源エネルギー庁『2050年カーボンニュートラルを目指す日本の新たな「エネルギー基本計画」』(2022/1/14)
2. 水素エネルギー
第6次エネルギー基本計画において、水素は脱炭素社会実現のために重要なエネルギーであると位置づけられています。ここでは、水素エネルギーが注目される理由や水素エネルギーの活用例、企業の取り組み事例をご紹介します。
水素エネルギーが注目される理由
水素エネルギーは、以下のようなメリットがあることから、脱炭素社会実現の鍵を握る次世代発電として注目を集めています。
-
環境に配慮したエネルギーである。
水素は大きくグレー水素・ブルー水素・グリーン水素に分類されます。化石燃料ではなく再生可能エネルギーで製造された水素はグリーン水素と呼ばれており、発電時にCO2を排出しません。化石燃料で製造された水素は発電時にCO2を排出しますが、CCS・CCUS技術などにより実質ゼロにすることができます。
出典:資源エネルギー庁『次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?』(2021/10/12)
-
様々な資源から製造することができる。
水素は石油や天然ガス、メタノールやエタノール、下水汚泥、廃プラスチックなど様々な資源から製造することができます。輸入に頼らずに国内で資源を調達し水素を製造することができます。
出典:資源エネルギー庁『「水素エネルギー」は何がどのようにすごいのか?』(2018/1/23)
企業の取り組み事例
-
パナソニック株式会社
パナソニックが開発・販売している『H2 KIBOU』は、5kWの家庭用燃料電池エネファームです。業界最高の発電効率を誇り、停電時にも水素だけで発電できることから、災害時にも活用することができます。
-
トヨタ自動車株式会社
トヨタは燃料電池自動車の開発を積極的に続けており、『MIRAI』を販売しています。燃料電池自動車は、酸素と水素を燃料電池に取り込むことで発電し、車を走らせます。エネルギー効率が良く、補充に時間がかからない、空気を汚さないなどのメリットがあります。
出典:トヨタ自動車株式会社『トヨタの燃料電池自動車(FCEV) MIRAIと水素のFAQ』
3. 燃料アンモニア
第6次エネルギー基本計画において、燃料アンモニアも水素と同様に、脱炭素社会実現のために重要なエネルギーであると位置づけられています。燃料アンモニアが注目される理由や活用例、企業の取り組み事例をみていきましょう。
燃料アンモニアが注目される理由
燃料アンモニアは、燃焼した時にCO2を排出しません。燃料アンモニアの生産・運搬・貯蔵などの技術やサプライチェーンも確立されていることから、実用化しやすい次世代エネルギーとして注目を集めています。
出典:資源エネルギー庁『「燃料アンモニアサプライチェーンの構築」プロジェクトの研究開発・社会実装の方向性』(2021年8月)(p.3)
出典:資源エネルギー庁『アンモニアが“燃料”になる?!(前編)~身近だけど実は知らないアンモニアの利用先』(2021/1/15)
企業の取り組み事例
日本では燃料アンモニアの実用化に向けて企業が中心となり実証実験が行われています。
・JERA
国内最大の火力発電会社・JERAは、2021年度に愛知県にある碧南火力発電所において、石炭とアンモニア混焼の実証試験を開始しています。2024年までに20%の混焼を目指す計画です。
出典:日本経済新聞『JERAがアンモニア混焼実証を初公開、石炭火力発電所で』(2021/10/18)
・東北電力グループ
LNG火力の脱炭素化を目指し、東北電力グループは新潟火力発電所において水素およびアンモニア混焼実証を進める計画を策定しています。実証は2024〜2025年度に実施される予定です。
出典:東北電力グループ『「2030年度におけるCO2削減目標」および「カーボンニュートラルに向けた具体的な取り組み】」について』(2021/7/30)(p.5)
4. CCS・CCUS技術
工場などから排出されるCO2を回収・貯留・再利用により実質ゼロにするというのがCCS・CCUS技術です。CCS・CCUS技術が注目される理由や活用例、企業の取り組み事例をみていきましょう。
CCS・CCUS技術が注目される理由
CCS・CCUS技術はCO2を回収・貯留・再利用することから、大気中のCO2を削減できる技術として注目されています。
CCSは、工場などから排出されたCO2を回収し、地中深くに貯留することで大気中のCO2を削減します。CCUSは、分離・貯留したCO2を資源として再利用することで大気中のCO2を削減します。
出典:資源エネルギー庁『知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」』(2017/11/14)
5. まとめ:期待される次世代発電方法を理解し、今後の取り組みを検討しよう!
次世代発電方法として期待されている水素エネルギーと燃料アンモニア、火力発電などで排出されてしまうCO2を回収することで実質ゼロにする技術であるCCS・CCUS技術についてご紹介しました。脱炭素化への取り組みが加速する中、エネルギーのあり方にも変化が出てくることが予想されます。注目の次世代発電方法への理解を深め、今後の取り組みの検討につなげていただければと思います。