【2022年版】太陽光発電のメリットとデメリットとは

この記事では、太陽光発電について興味はあったけれど、太陽光発電を設置することでどのような変化があるのかわからないという方に、具体的なメリットとデメリットをご紹介します。

さらに、いま日本が抱えている課題や、目指している社会の姿についても理解を深めていただきたいと思います。

目次

  1. 太陽光発電とは?

  2. 太陽光発電のメリット

  3. 太陽光発電のデメリット

  4. まとめ:再エネを導入して持続可能な社会を目指そう

1. 太陽光発電とは?

日本のエネルギー問題 

まず、日本が抱えるエネルギー問題から見ていきましょう。経済産業省の資源エネルギー庁によると、2018年の日本のエネルギー自給率は11.8%であり、OECD諸国と比較して低水準となっています。

主要国の一次エネルギー自給率比較(2018年)

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「2020年日本が抱えているエネルギー問題(前編)」

自給率が低い大きな原因は、国内に化石燃料などのエネルギー資源が乏しく、他国にエネルギー資源を依存しているためです。

海外にエネルギー源を依存していると、国際情勢に影響されたり、今後高騰すると予想されている世界のエネルギー価格に日本も大きな打撃を受けることになります。日本が他国に依存せずにエネルギーを自給すること、さらに環境に配慮した再生エネルギーに切り替えていくことが、いま求められています。

太陽光発電の導入量|世界と日本

IEAの調査によると、日本における太陽光発電の導入量は、2020年時点で中国、アメリカに次いで4位。また、これまでの累計導入量でみると、世界第3位となっています。

2020年 世界の太陽光発電の年間導入量と累計導入量

出典:IEA PVPS『Snapshot of Global PV Markets - 2020(p10)』よりアスエネ作成

日本は、世界と比較しても高い導入率を誇っていますが、その理由の1つとして、2012年の固定価格買取制度(FIT)の導入があります。これは電気会社が固定の価格で電気を買い取る制度です。また、自然災害への不安感、電気代の上昇、オール電化住宅の増加なども理由として考えられています。

しかし、太陽光発電の導入にかかる費用は、他先進国と比較すると高く、2014年の国際エネルギー機関の資料によるとドイツ、イタリアと比較すると2倍近い価格差があります。高額になっている費用の内訳は、工事費とモジュール(ソーラーパネル部分)でした。国産の安価なモジュールが開発されれば、さらに普及が進むことが予想されます。

太陽光発電の最新技術を紹介

太陽光発電は基本的に、「太陽電池(ソーラーパネル)」「接続箱」「パワーコンディショナ」の3つからできています。さらに、発電した電力をためておきたい場合は、「蓄電池」が追加されます。電気の変換効率は、ソーラーパネルの種類によって変わります。

パワーコンディショナに自立機能があると、災害などで停電になっても電力を自給することができ、さらに蓄電池があれば、電力をためておくことができるため、災害時に強い対策となります。

ソーラーパネルの素材として、市場で最も高いシェアを誇っているのが、結晶シリコンパネルです。

日本のシリコンパネルの変換効率は26.6%で最高性能といわれています。

現在、パネルの重さ、初期費用の高さの問題を克服するために開発されているのが「塗る太陽電池」ともいわれる「ペロブスカイト太陽電池」です。塗る基盤をフィルム状にすると、従来のものよりも軽量化でき、建物への負担が大幅に軽減されます。費用もかなりの安価になるといわれています。さらに従来のシリコン系太陽電池にも匹敵する変換効率も実現できます。しかし、5年から10年で劣化してしまうため、実用化まで研究が継続されています。

出典::環境省 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/green_innovation/green_power/pdf/001_06_00.pdf

2. 太陽光発電のメリット

(1)再生可能エネルギーで環境にやさしい

太陽光発電は、温暖化の原因となる二酸化炭素をまったく排出しないクリーンな発電方法です。環境に優しいだけでなく、化石燃料のように枯渇する心配は必要ありません。

(2)企業価値の向上

日本として、カーボンニュートラルな社会を目指している今、企業が再生可能エネルギーの利用を積極的に取り入れ、脱炭素に向けた目標を設定する姿勢は、企業の価値や評価を向上させることにつながります。

(3)コストの削減

太陽光発電の利用によって、光熱費を大幅に削減できるメリットがあります。

電気代が高い昼間は、太陽光発電で自給した電気を利用し、夜間は蓄電機にためた電力を利用することができます。余った電力は、電気会社に「売電」することも可能です。

さらに、「再生可能エネルギー賦課金」の負担が減るという利点もあります。

再生可能エネルギー賦課金とは、太陽光発電の普及を目的につくられた、「再生可能エネルギー固定価格買取」に要する費用を、電力会社から電気を買う全ての人が負担するというものです。金額は、電気使用量に応じて決まります。よって、電気を自給している場合は、この再生可能エネルギー賦課金の負担を抑えられます。

(4)場所に合わせて設置可能

太陽光発電は、屋根や敷地の形や大きさに合わせて設置が可能です。

標準的な太陽光発電のパネルの重さは1枚当たり大体15kgです。20枚程度乗せた場合は300kgになるため、屋根への負荷がかかることになります。しかし、パネルの荷重は一点に集中するわけではなく分散されるため、一般的な構造の建物であればパネルの重さが建物の耐久性に影響を及ぼすことはないとされています。

しかしながら、築年数が古い建物、日当たりが悪い建物は、建物の耐久性、発電効率の点から、太陽光発電パネルの設置は向いていないので注意が必要です。

太陽光発電パネルの設置があらかじめ決まっている場合は、それを見越した建築計画をすることでより建物の耐久性と発電効率を上げることができます。

3. 太陽光発電のデメリット

(1)天候に左右されやすい

太陽光の量によって発電量が変化しますが、一般的に雨の日や曇りの日は、晴れの日の5~30%程度まで発電することが可能です。ただし、雪の日や夜間は発電できないため、降雪時期が長い地域や、日照時間が短い地域はデメリットになります。

(2)設置にコストがかかる

初期費用に大きく影響するのが、ソーラーパネルの枚数です。経済産業省のデータによると、太陽光発電の設置費用は2021年が1kWあたり平均28.0万円(新築の場合)となっています。

ただし、容量1kWあたりの設置費用は年々低下傾向になっており、太陽光発電設備への補助を行っている自治体もありますので確認してみてください。

(3)ソーラーパネルの寿命と廃棄問題

ソーラーパネルの寿命は一般的に20~30年と言われています。

全国に設置されたソーラーパネルが、大量に寿命を迎え、廃棄が追いつかなくなるのではないかという問題が懸念されています。資源エネルギー庁はこれを受けて、事業者に廃棄費用の確保のため積立金を義務付ける制度を設け対策をとっています。

また、ソーラーパネルの一部を、再資源化する技術が開発され実用化されています。少しでも劣化を防ぐために、適切なメンテナンスを行ったり、廃棄の際にはリユース、リサイクルの対応をとってくれる業者を探しておくなど準備が必要です。

4. まとめ:再エネを導入して持続可能な社会を目指そう

SDGsやカーボンニュートラルな社会を目指している今、再生可能エネルギーを取り入れることを後押しする動きが強まっています。

また、再生可能エネルギーに関する技術は日進月歩で進化しているため、積極的に情報を集めることも大切です。最適な設備や方法を見つけ、取り入れていきましょう。

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