地球温暖化防止に貢献!森林によるCO2吸収について解説

森林が地球温暖化防止の役割を果たしていることをご存知ですか?森林は大気中のCO2を吸収することで、地球温暖化の原因である温室効果ガス抑制のはたらきを担っています。

この記事では、森林とCO2の関係について詳しく解説します。また、森林を守るための取り組みについてもご紹介します。

目次

  1. CO2吸収源として注目される森林

  2. 森林がCO2を吸収する仕組みと吸収量

  3. 森林を守る取り組み

  4. まとめ:CO2を吸収する森林を守り、地球温暖化対策に貢献しよう!

1. CO2吸収源として注目される森林

まずは、地球温暖化とCO2の関係について整理し、そのうえで森林が地球温暖化対策で注目されている理由について解説します。

地球温暖化とCO2の関係

地球温暖化には、太陽からの熱を地球に閉じ込め、地表を温める作用をもつ「温室効果ガス」の増加が関係しています。温室効果ガスには、CO2(二酸化炭素)やCH4(メタン)、N2O(一酸化二窒素)などの種類があります。なかでも、CO2の排出割合は高く、地球温暖化に与える影響がもっとも大きいとされています。つまり、地球温暖化を防止するためには、大気中のCO2濃度を増加させない取り組みが重要になります。

人為起源の温室効果ガスの総排出量に占めるガスの種類別の割合

 

出典:気象庁『温室効果ガスの種類』(2022/03/21)

地球温暖化防止に貢献する森林

大気中のCO2濃度の増加を抑制し、地球温暖化防止を実現するには、電気自動車や自然エネルギーの活用といったCO2の排出自体を削減するアプローチがあります。さらに、それらに加えて重要になるのが、すでに大気中に排出されたCO2を吸収するアプローチです。大気中のCO2の吸収源として注目されているのが森林です。樹木は、大気中のCO2を吸収しながら成長をしています。そのはたらきによって、森林は地球温暖化防止に貢献しているのです。

出典:林野庁『森林は二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の防止に貢献しています』(2022/03/21)

2. 森林がCO2を吸収する仕組みと吸収量

つづいて、森林がCO2を吸収する仕組みと、どのくらいのCO2を吸収するのかについて見ていきましょう。

森林がCO2を吸収する仕組み

樹木は、光合成を行い成長します。光合成では、大気中のCO2と地中の水(H2O)をもとに、酸素(O2)とC(炭素)を作りだしています。このとき、発生した酸素(O2)は外に放出され、C(炭素)は樹木の中に貯蔵されます。このように、樹木1本1本の光合成のはたらきによって、森林は大気中のCO2の吸収を行うのです。

光合成のしくみ

出典:林野庁『森林は二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の防止に貢献しています』(2022/03/21)

森林のCO2吸収量

森林のCO2吸収量は、樹木の種類によって差があります。ここでは、スギの人工林が吸収するCO2の量について見てみましょう。きちんと整備された36年〜40年生のスギ人工林は、これまでに、1ヘクタール(100m×100m)あたり、約302トンのCO2を蓄えていると推定されます。また、このスギ人工林1ヘクタールが、1年間に吸収するCO2の量は、約8.8トンと推定されます。

つぎに、森林のCO2吸収量と私たちの生活で排出されるCO2の量を比べてみましょう。環境省が行った「家庭部門の CO2排出実態統計調査」によると、令和2年度の1世帯当たりの年間CO2排出量は、約2.9トンと発表されています。1ヘクタールに1,000本のスギの木があるとした場合、1世帯の年間CO2排出量は、36年〜40年生のスギ約10本が蓄えているCO2量に相当します。また、スギの1年間の吸収量と比較すると、約330本の吸収量に相当します。このように、森林を守り、育てることは、カーボンニュートラルの社会の実現につながります。

出典:林野庁『森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?』(2022/03/21)

出典:環境省『家庭部門のCO2排出実態統計調査(家庭CO2統計)』(2022/03/21)

3. 森林を守る取り組み

最後に、森林を守る取り組みについて、事例を2つご紹介します。

美しい森林づくり推進国民運動

1つ目は、「伝えたい木の文化、残したい美しい森」を合言葉とし、2007年にスタートした「美しい森林(もり)づくり推進国民運動」です。この運動は、京都議定書目標達成計画に定められた森林吸収量の目標達成や、生物多様性保全などの国民のニーズに応えた森林の形成を目指して、官民が協力しながら、森林の整備・保全、国産材利用、担い手・地域づくり等に総合的に取り組む運動です。

また、林業に携わる人や山村に住む人だけでなく、都市に住む人々や企業などの協力の促進を図るため、2008年から「フォレスト・サポーターズ」の登録が開始されました。フォレスト・サポーターズは、森林に関するイベントの開催や、ボランティアの呼びかけなど森林に関する様々な活動に積極的に取り組んでいます。2022年3月時点で、約7万件の個人や団体が登録しています。

出典:林野庁『美しい森林づくり推進国民運動』(2022/03/21)

出典:フォレスト・サポーターズ『フォレスト・サポーターズとは』(2022/03/21)

緑の募金

2つ目は、「緑の募金」です。緑の募金では、企業、地域、学校、職場などから善意の寄付を募り、森林に関する様々な取り組みを行っています。森林整備や森林教育、災害復旧支援などがその活動例です。また、活動範囲は国内に限らず、海外にも展開されています。毎年20億円前後の寄付がなされ、令和2年には約19億円の寄付が集まりました。

出典:緑の募金『数字で見る緑の募金』(2022/03/21)

4. まとめ:CO2を吸収する森林を守り、地球温暖化防止に貢献しよう!

この記事では、森林とCO2の関係や森林を守る取り組みについて解説しました。

森林は大気中のCO2を吸収することで、地球温暖化防止において重要な役割を果たしています。森林に関して、直接私たちにできることは多くはないのかもしれません。しかし、この記事で紹介した「美しい森林づくり推進国民運動」や「緑の募金」などを通じて、間接的に貢献することはできます。

今回の記事を参考に、地球温暖化防止という観点で、森林を守る取り組みへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

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