製造業におけるカーボンニュートラルへの取り組みとは?|企業事例紹介!
- 2023年06月02日
- CO2削減
世界的に脱炭素に向かう中、日本でもカーボンニュートラルへの取り組みが重要となっています。特に日本の産業を大きく担う製造業は、工場での大量のエネルギー消費などもあり、業界別にみてCO2排出の占める割合は高くなっています。今後、サプライチェーンを含む製造業界のカーボンニュートラル化の促進は必須と言えるでしょう。
この記事では、製造業界におけるカーボンニュートラル化の必要性と、取り組みによるメリットを企業事例と併せて、詳しく解説していきます。
目次
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製造業のカーボンニュートラルはなぜ必要なのか
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製造業のカーボンニュートラル取り組みのメリット
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製造業のカーボンニュートラル取り組み事例を各業種ごとに紹介
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まとめ:製造業のカーボンニュートラルを達成し持続可能な社会の構築へ貢献!
1. 製造業のカーボンニュートラルはなぜ必要なのか
カーボンニュートラル2050への取り組み
日本は、2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指すことを「カーボンニュートラル2050」で宣言しました。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡を意味し、温室効果ガスを全体でゼロにするという取り組みです。日本は、2030年度までに温室効果ガスの発生を、2013年度と比較して46%削減し、2050年までにはゼロにすることを目指しています。
出典:環境省「脱炭素ポータル」
製造業におけるCO2排出量
日本における温室効果ガスでもっとも排出量が多いのがCO2です。ここで産業部門別にCO2排出量がどうなっているかを確認してみましょう。約4割が電力部門の火力発電によるものですが、産業部門におけるCO2排出量も約2割を占めています。製造業界では、製造プロセスにおいてどうしても大量のエネルギーを使用するため、それらのCO2の削減が必要です。
出典:資源エネルギー庁「1. 2050年カーボンニュートラル宣言と現状の評価」(2019)
特に紙加工業、鉄鋼業、化学工業、セメント業などのCO2排出削減が重要な課題です。産業部門のCO2排出の半分が鉄鋼業のため、火力に代わるエネルギーでの鉄鋼生産の技術開発も求められます。
出典:資源エネルギー庁「1. 2050年カーボンニュートラル宣言と現状の評価」(2019)
2. 製造業のカーボンニュートラル取り組みのメリット
新ビジネス・顧客確保
製造業界がカーボンニュートラルに取り組むことには、多くのメリットがあります。その一つが新規ビジネスの開拓と顧客の確保です。脱炭素や環境問題に取り組むことは困難も伴いますが、言い換えれば新たなビジネス開拓のチャンスとも言えます。国際的に脱炭素に向けた動きが加速する中、環境ビジネスの市場は拡大しており、新たな技術の開発が促進されビジネスチャンスを生み出しています。
またカーボンニュートラルに取り組み、企業の環境価値を高めることは、消費者や投資家に対して信頼感を与えます。結果的に顧客確保につながるという大きなメリットをもたらすでしょう。
省エネによるコスト削減
温室効果ガスの削減を実現するためには、省エネを推し進めていかなくてはなりません。製造過程におけるエネルギー消費量の把握や、無駄なエネルギーの使用はないかなどの確認が必要です。そのためには「エネルギーの見える化」を行うことも一つの方法。「エネルギーの見える化」による徹底したエネルギー管理で、消費量を削減することが可能です。
自社の環境価値アップ
地球温暖化をはじめとした数々の環境問題は、いまや他人事ではありません。国連が定めたSDGsにおいても、環境や気候変動への取り組みが定められています。脱炭素に取り組み、持続可能な社会を構築することは、もはや企業の責任であると言えるでしょう。消費者は社会の動向に非常に敏感です。いち早く環境問題や社会問題に対して取り組みをはじめる企業は、消費者の好感を勝ち取り、自社のイメージアップが可能です。
具体的な取り組みとしては、自社の電力を再エネで賄う、プラスチック製品の製造を減らす等、企業が取り組めることは多くあります。
3. 製造業のカーボンニュートラル取り組み事例を各業種ごとに紹介
鉄鋼業界
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日本製鉄株式会社
日本製鉄株式会社は、ゼロカーボン・スチールにおいてCO2排出削減シナリオを打ち立てています。2030年までに2013年度対比で30%のCO2削減を掲げ、そのための施策として、大型電炉での高級鋼の量産製造、水素還元製鉄やCCUSの開発など、積極的な技術開発でカーボンニュートラルを目指しています。
出典:日本製鉄株式会社「サスティナビリティ日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」
自動車業界
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本田技研工業
Hondaは「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」の3つの柱を掲げて、環境負荷ゼロの社会を目指しています。具体的には内燃機関のCO2排出削減、再エネの使用によるマネジメント製品のCO2排出ゼロ化等の多様な取り組みを行っています。
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スズキ株式会社
「スズキ環境ビジョン2050」では、Well to Wheelで新車四輪車のCO2排出量を、2010年度と比較して90%削減することを目指しています。また、事業活動から排出されるCO2を車の販売台数あたり原単位で、2016年度と比較し、80%削減する目標を掲げています。
建設業界
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清水建設株式会社
清水建設は「エコロジー・ミッション」を策定し、省エネやCO2排出削減の対応を目指しています。具体的には、「事業活動により自社が排出するCO2」と、顧客への設計・施工物件の運用時において「顧客が排出するCO2」排出量を、2050年度までにゼロにするという目標を掲げて取り組んでいます。
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株式会社大林組
大林グループは、脱炭素社会を目指すために積極的な技術開発に取り組んでおり、低炭素型のコンクリートの普及・促進を図り、国内初のJIS適合低炭素型混合セメントの実用化を実現しました。また大型建築における、CO2固定効果が認められる木材使用の「木造・木質化建築プロジェクト」も推進しています。
化学製品業
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積水化学工業株式会社
積水化学グループは、化学製品業界では世界初となるSBTイニシアチブの認証を取得しています。「サステナブルなまちづくりプロジェクト」では、戸建住宅に太陽光発電や蓄電池を設置し、エネルギー自給自足を促進することでCO2排出抑制する省エネ住宅建設を展開しています。
出典:積水化学工業株式会社「積水化学グループのESG・環境」
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エア・ウォーター
「気候変動への対応」を経営の最重要課題と掲げ、「NEXT-2020 Final」で温室効果ガスの総排出量削減目標を定めています。スコープ3において、CO2排出量を算定するなどサプライチェーン全体での排出抑制に勤めており、2030年には2020年度と比較して30%のCO2排出削減を目標にしています。
繊維産業
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旭化成株式会社
旭化成は「世界の人びとの "いのち”と“くらし”への貢献」を理念とし、カーボンニュートラルへの取り組みを行っています。2030年までに2013年度と比較して、温室効果ガスの排出を30%削減する目標を掲げており、具体的な取り組みとして再エネの活用やスコープ3による排出量算定等を行っています。
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東レ株式会社
東レグループは、「グリーンイノベーション事業(GR)プロジェクト」で「省エネルギー」「新エネルギー」「バイオマス由来」「水処理」「空気浄化」「環境低負荷」「リサイクル」「プロセス革新」の8つを掲げています。衣料・ファッション分野では保湿機能の向上で省エネを実現、また、東レグループ全製造会社・工場でのエネルギーの原単位年率2%低減に取り組んでいます。
食品業界
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山崎製パン
ヤマザキのパン製造工場では、製造過程で使用する電気やガスを効率的に利用することで、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。エネルギー効率の高いコージェネレーションシステムを導入したり、クリーンエネルギーの利用を促進したりしています。また物流におけるエコドライブ普及に、いすゞ自動車とEVトラックの共同実験を行うなど、サプライチェーン全体でのCO2削減に取り組んでいます。
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株式会社ニチレイフーズ
ニチレイグループでは、サプライチェーン全体でのさまざまな関りから広く環境負荷低減に取り組み、自社だけではなく消費者に対しても環境活動へのアクションを促しています。例えば「お弁当にGood!森にGood!」プログラムでは、「お弁当にGood!」シリーズの売り上げで、森の整備保全をサポートし、エビの調達販売ではインドネシアのマングローブ林を広げる活動を行っています。
4. まとめ:製造業のカーボンニュートラルを達成し持続可能な社会の構築へ貢献!
製造業界でのカーボンニュートラルへの取り組みを、さまざまな角度から企業事例も含めて解説しました。多くの大企業が、すでにこれだけの環境負荷への取り組みを行っていることは、サプライチェーンの輪の中に存在する中小企業にとっても看過することはできません。製造業界において、中小企業が果たす役割は大きなものです。
カーボンニュートラルへ取り組み環境負荷軽減を行うことは中小企業こそ重要と言えるでしょう。脱炭素に向けての取り組みをはじめ、持続可能な社会の構築に貢献してみませんか。
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