病院はSDGsにどう取り組む?医療機関の事例紹介
- 2022年06月15日
- SDGs・ESG
近年、世界中でカーボンニュートラルへの動きが高まっている中、持続可能な企業として社会に貢献するためには、SDGsへの取り組みは欠かせないものとなっています。病院にとっても例外ではなく、高い意識を持つ病院はすでにSDGsへの取り組みを始めています。SDGsへの取り組みが評価されている病院の事例をみていきましょう。
目次
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SDGsに関する基礎知識とは?
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病院も取り組める!SDGsの一般的な例
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SDGsに取り組む病院の事例
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まとめ:病院のSDGs事例を参考に、取り組み方を検討しよう!
1. SDGsに関する基礎知識とは?
企業を中心に取り組みの輪が広がっているSDGsとはどのようなものなのでしょうか。ここではSDGsの内容や病院が取り組む必要性についてご紹介します。
SDGsとは?
SDGsはSustainable Development Goalsの頭文字から成る造語で、持続可能な開発目標と呼ばれています。2015年9月に開催された国連サミットにおいて加盟国の全会一致により採択されています。SDGsの大きな目標は2030年までに世界を持続可能でよりよいものにすることで、17の目標と619のターゲットから構成されています。
出典:国際連合広報センター『SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン』
出典:外務省『SDGsとは?』
病院もSDGsに取り組む必要があるのか
SDGsは国連により採択されましたが、企業経営においても様々なメリットをもたらすため、ビジネスの共通言語になりつつあります。製造業や介護施設、飲食店、IT企業などあらゆる業種の企業が、持続可能な企業へと成長するためにSDGsに取り組んでいます。
大企業がサプライヤーにSDGsへの取り組みを求める動きも強まっています。病院も例外ではありません。SDGsに取り組まなければ社会が抱える課題に関心がない組織であるとみなされ、取り残されるリスクがあります。
出典:環境省『すべての企業が持続的に発展するために』(p.2)
2. 病院も取り組める!SDGsの一般的な例
病院は、以下にあげるようなSDGsに取り組むことができます。
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地域住民に密着した医療の提供
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質が高い医療の提供を目的とした人材教育
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ジェンダーに配慮した労務環境の提供
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障害者の積極的な雇用
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情報管理など電子化によるペーパーレス
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EV車の導入 など
病院が取り組むことができるSDGsは、医療に関連するものだけではありません。病院関係者が業務中に使用する車をEV車にしたり、紙を用いて行っていた情報管理などの電子化を進めることで、環境問題に取り組むことができます。また、病院内における職場環境を整えることも病院が取り組むべき重要な課題です。
3. SDGsに取り組む病院の事例
東京北医療センター
センター内にSDGs部会を設立し、組織のトップである管理者が先頭に立ちSDGsに取り組んでいます。東京北医療センターは、以下のようなSDGs目標を設定し、課題解決に向け取り組んでいます。
東京北医療センターが設定するSDGs目標の例
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3番:すべての人に健康と福祉を
病院の業務である診察や治療の他にも、糖尿病の予防やアルコール依存症の対策や予防など、地域住民への啓蒙活動も実施しています。
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10番:人や国の不平等をなくそう
雇用機会において、年齢、性別、身体的障がいに関わらず、一切の偏見を無くし、平等、公平に対応しています。東京北医療センターは障害者雇用に特に力を入れています。
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11番:住み続けられるまちづくりを
「都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する」という目標の下、プラスチックごみの削減や、病院内の掲示物を紙ではなく、デジタルで表示することで紙の削減に取り組んでいます。この他に環境問題対策として、病院で保有する移動車としてEV車を活用しています。
出典:北区赤羽の総合病院 東京北医療センター『東京北医療センター SDGsへの取り組み』
社会福祉法人 恩賜財団 済生会
済生会は、40都道府県で約6万人の従業員を雇用しています。全従業員がSDGsの精神を理解し、目標達成に務めることを推進しています。
済生会が設定するSDGs目標の例
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1番:貧困をなくそう
全国にある全ての済生会の医療機関は無料低額診療を実施するなど、生活困窮者への支援に積極的に取り組んでいます。
大阪府済生会の8つの病院が協同し、生活困窮者向けに検査や検診、生活指導などを無料で実施しており、毎年約800人が受診しています。
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13番:気候変動に具体的な対策を
気候変動がもたらす災害に対処するために、BCPマニュアルを整備し、複数病院で連携する広域災害を想定した災害医療訓練を実施しています。
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7番:エネルギーをクリーンに そしてみんなに
全ての利用者が、安価かつ信頼できる持続可能なエネルギーにアクセスできるよう、施設・設備の近代化や省エネルギーへの取り組み、再生可能エネルギーの活用を推進しています。
出典:済生会熊本病院『2030年までの国際目標 - SDGsと済生会』(p.4.8.10)
社会医療法人 博愛会グループ
博愛会グループは、高齢になっても病気になっても住み慣れた地域で安心して暮らすことができる医療と介護、福祉が連携した街づくりをテーマに様々なSDGsに取り組んでいます。
博愛会グループが設定するSDGs目標の例
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12番:つくる責任 つかう責任/1番:貧困をなくそう など
博愛会グループはプラスチックごみによる生態系の害を懸念し、プラスチックごみの削減に取り組んでいます。従業員全員がエコバッグを使用するだけでなく、販売も行い収益の一部を子供の孤食対策などに活用しています。
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3番:すべての人に健康と福祉を
博愛会は地域住民の安全のために、反射材用品(リフレクター)を配布しています。この取り組みは、SDGs目標3番ターゲット6の『2020年までに世界の道路交通事故による死傷者数を半減させる。』に該当します。
4. まとめ:病院のSDGs事例を参考に、取り組み方を検討しよう!
時代に敏感な病院は、すでにSDGsへの取り組みを始めています。SDGsへの取り組みを病院のホームページなどに掲載することで、病院としての価値も高めることができます。今回ご紹介した事例を参考に、SDGsへの取り組みを始めましょう。