電気自動車(EV)の普及率と今後の動向は?世界と日本の現状も解説

近年、世界中で開発が加速している電気自動車(EV)。ガソリンを使用しないことから、温室効果ガスであるCO2排出を抑え、地球環境に貢献する次世代自動車として大きく注目が集まっています。国内の大手自動車メーカーも挙って開発を加速しており、世界的にますます普及が促進されることが予想されます。

本記事では、電気自動車の今後の動向、世界と日本での普及率など、企業として知っておくべき電気自動車の現状を、具体的に解説します。

目次

  1. 世界の電気自動車(EV)開発加速の背景

  2. 世界と日本の電気自動車(EV)普及率は?

  3. 電気自動車(EV)の今後の動向

  4. まとめ:世界で急速に進む電気自動車(EV)の普及に企業として取り組む必要性を知る!

1. 世界の電気自動車(EV)開発加速の背景

環境問題対策を促進する世界の自動車産業

電気自動車(以下EV)産業が促進されている背景には、地球温暖化の問題があります。温室効果ガス排出による気温上昇は年々加速しており、このままでは地球の気温は平均1.5度も上昇すると言われています。自動車の排気ガスは、CO2を大量に排出するため、地球温暖化の要因のひとつとして世界的な問題です。

未来的に持続可能な社会を築くためにも、原因の一つであるCO2排出は削減していかなくてはなりません。

世界平均気温の変化

出典:環境省『環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』(2019.6.7)

EV開発が進む背景

(1)電気自動車(EV)のクリーンエネルギーで環境問題に貢献

EVは基本的に電気で走行する車です。そのため、ガソリン車と違い排気ガスを排出しません。しかし、走行中にCO2を排出しなくても、肝心のエネルギー源がCO2を多く輩出しては意味がありません。それでは仮に、EVのエネルギーを「ゼロエミッション電源」で賄うことができたらどうでしょうか。

例えば、クリーンエネルギーとして注目されている、太陽光発電や風力発電、水素発電など。これらを利用できればEVは、CO2ゼロを達成することも夢ではありません。今後、世界でも、EVの「ゼロエミッション電源」への動きが進むことが予想されます。EVにおけるクリーンエネルギーの需要は、ますます高まっていくでしょう。

電源構成におけるゼロエミッション比率とEV化がもたらす二酸化炭素排出量へのインパクト

出典:資源エネルギー庁「電気自動車(EV)は次世代のエネルギー構造を変える?!」(2017.10.12)

(2)電気自動車(EV)は環境ビジネスとして有効

EVは、新たな環境ビジネスとしても非常に有効です。例えば国内でEVのシェアが広がれば、充電設備等の新ビジネスの動きが活発化するでしょう。国内大手の石油会社コスモ石油マーケティングは、系列のガソリンスタンドに充電スタンドを設置し、運営する予定です。また、伊藤忠エネクスでは、自社のレンタカーサービスにEVを加え、EVカーシェアリングサービスを開始。さまざまな企業が、EVに関する新事業を立ち上げています。

今後、EVビジネスは新たな市場として、さらに拡大していくことは間違いありません。

出典:エネルギーフォーラム「動き出したEV充電ビジネス 脱炭素を足掛かりに事業化加速」

2. 世界と日本の電気自動車(EV)普及率は?

アメリカ

現在アメリカでのEV普及率はどのようなものでしょうか。アメリカのEV普及率は、州によっても違いますが、2020年の自動車販売におけるEV販売台数は約1.8%です。米国は、2030年度までには販売台数を50%までに引き上げることを目指しています。しかし、米国でEV販売台数の8割を占めているのはテスラのため、今後、別メーカーのEVの販売台数がどこまで伸びるかにより、状況は変化する可能性があります。

中国

世界全体のEV市場を見てみると、年間販売台数700万代強のうち、半数が中国になっています。2020年度の中国のEV販売台数の割合は4.4%。中国は、2019年にNEV(新エネルギー車)規制法を制定しており、これは、中国の自動車メーカーにEVの販売を義務化するものです。

中国は、今後もさらなるEV車普及に向けて、2023年にはEVの販売台数の割合を、16%まで引き上げる目標を掲げています。

ヨーロッパ

EV先進国のヨーロッパでは、2020年のEUと英国の新車販売台数におけるEVの割合は、約5.6%でした。特にノルウェーは、EVの普及が最も進んでいます。ノルウェーの2020年の新車の販売台数の54%が、EVで占められており、他の国々を圧倒しています。ノルウェーでは、国が補助金制度を打ち出すなど、EV普及を積極的に行っているのも大きな要因でしょう。

日本

それでは、日本のEV普及率はどうでしょうか。日本の2020年の新車の販売台数におけるEVの割合は約0.6%と、他国に比べてかなり低いのが現状です。経産省は、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略のなかで、「2030 年までに新車販売で電動車 20~30%、2040年までには、新車の販売で電動車と合成燃料等の脱炭素燃料の利用に適した車種で、合計100%を目指す」等の枠組みを決めました。

日本でもEVの普及に向けて、本格的な取り組みが始まっています。

出典:経済産業省「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(p.62)(2021.6.18)

出典:EV DAYS「【2021年】電気自動車(EV)の普及率はどのくらい? 「日本で普及しない」は本当?」(2021.09.28)

3. 電気自動車(EV)の今後の動向

電気自動車(EV)普及に向けての課題とは

EV普及に向けての課題はなんといっても、電力の確保でしょう。電気で走行するEVにとって充電を確保するための設備は必須。そのためにも充電ステーションなどのインフラ整備が望まれます。しかし、現在のガソリンスタンドを充電ステーションに切り替えるとしても、時間とコストが膨大なため、国をあげて取り組む必要性があります。

また、どの場合でも発電にCO2発生が伴うような設備では、EV普及の意味が崩れてしまいます。再エネをはじめとした、CO2を発生しないクリーンなエネルギーの確保も重要です。

電気自動車(EV)今後の展望

世界におけるEVの市場規模は、2027年までに2兆4954億米ドルにまで到達すると言われています。市場の促進の要因としては、環境問題対策への世界各国の取り組みや支援策の拡大など。また、新たなビジネスとして有効なため、自動車メーカーへの投資も進むことが予測されます。最大の市場としてヨーロッパが有力であり、今後も更なる成長が見込まれています。

出典:株式会社グローバルインフォメーション「【英文市場調査レポート】電気自動車 (EV) の世界市場」(2021.12.8)

日本での普及率はまだまだ低い状況ですが、国内の自動車メーカーは、次々とEV開発に向けての取り組みを進めています。日産自動車は、「ゼロエミッションリーダーシップ」を掲げ、EVを中心とした自動車の開発に力を入れています。本田技研では、EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)や燃料電池車(FCV)の販売比率を、2030年くらいまでに3分の2にまで高めることを目標としています。

このように、国内のメーカーがEV開発や販売に注力することは、消費者のEVに対するハードルを低くするでしょう。日本ではまだ課題の多いEVではありますが、着実に普及への道を歩んでいるのです。

4.  まとめ:世界で急速に進む電気自動車(EV)の普及に企業として取り組む必要性を知る!

電気自動車(EV)の世界各国の普及率や、市場の動向、そして日本での現状など、あらゆる角度からEVについて解説しました。世界と国内でのEVの状況をご理解いただけたのではないでしょうか。

世界の環境対策が促進されるとともに、EVの需要も間違いなく伸びています。いまやビジネスの世界にあっても環境への問題は無視できなくなりました。EV産業はその実情をよく表していると言えます。企業で、社用車としてEVが活用される未来は遠くありません。自社の環境価値を高めるためにも、EV導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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