SDGsとアパレル業界の関係とは?企業の取り組み事例を紹介!

SDGsという言葉は、近年あらゆる業界で耳にするようになりました。アパレル業界も同様で、特にSDGs の目標12「つくる責任つかう責任」は、アパレル業界に深い関係があります。SDGsとは、持続可能でより良い世界を目指すために国連総会によって定められた目標です。

ファストファッションを代表する衣類の大量生産・大量消費は、環境の面からも大きな問題となっています。この記事では、アパレル業界とSDGsの関係を具体的に解説し、さらに実際に取り組みを行っている企業事例をご紹介します。

目次

  1. アパレル業界とSDGsの関係とは

  2. サステナブルファッションへの取り組み

  3. SDGsに取り組むアパレル業界の企業事例紹介9選

  4. まとめ:中小企業だからこそSDGsに取り組める!

1. アパレル業界とSDGsの関係とは

アパレル業界にも関わるSDGs「目標12」

SDGsには17つの目標があり、それぞれが密接に関係して構成されています。17つの目標には、「貧困をなくそう」「平和と公正をすべての人に」などの内容が掲げられており、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現を目指しています。

この中の「12.つくる責任つかう責任」では、資源の無駄遣いを見直し、持続可能な生産消費形態を確保することを目標としています。大量生産・大量廃棄問題を抱えるアパレル業界にとって、取り組まねばならない重要な課題であると言えます。

SDGs17の目標

出典:外務省「SDGsとは? 持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」(2021.8)(p.2)

ファストファッションが抱える環境問題

ファストファッションとは、最新トレンドファッションを短期間で安価に大量販売する業務形態のことです。しかし、安い衣類を大量に製造販売するということは、多大なエネルギー消費によるCO2排出や、低賃金での労働問題が背景に潜んでいます。国内の小売り市場で販売されている衣類は、低価格にするために海外からの輸入品がメインになり、大量生産と大量消費がくり返されています。

また、衣類を製造する際に排出される化学物質に関しても海洋汚染などを招いており、アパレル業界の抱える環境問題は複雑で深刻と言えます。

国内アパレル供給量・市場規模・衣類の購入単価の推移

出典:環境省「サステナブルファッション」

2. サステナブルファッションへの取り組み

持続可能なサステナブルファッション

このような環境に負荷を与える業界の在り方を見直し、サステナブルファッションへ取り組むアパレルメーカーも増えています。サステナブルファッションとは、衣類の生産から販売、消費までのプロセスに対して、環境に対する配慮を最大限行うことです。SDGsやサステナブルファッションに取り組むことで、環境に対する負荷を軽減します。

スローファッションやエシカルファッションに変わるアパレル業界

サステナブルファッションと同じように環境問題に取り組むアパレル業界が推し進めているのが、スローファッションやエシカルファッションです。これらはすべてSDGsの考え方に深く根ざしています。

ファストファッションに対して、一枚の服を長く大切に使用するスローな考え方や、服が作られた背景に思いを馳せ、フェアトレードな服を購入するエシカル(倫理的)な消費を行うなど、アパレルメーカーは多角的にSDGsへの取り組みを始めています。

3. SDGsに取り組むアパレル業界の企業事例紹介9選

フェアトレードやオーガニックでSDGs

「シサム工房」

シサム工房は、「フェアトレードの現場に商品開発力と販売力を」を社内スローガンとして、ファッションアイテムを販売するお店です。フェアトレード事業に取り組むほかに、廃棄される包装紙を「配送袋」として再利用するワンプ袋プロジェクトも行っています。

出展:シサム工房「social action」

「hap株式会社」

hap株式会社は、「COVEROSS®︎(カバロス)」という、サステナブルを意識したオリジナルの次世代快適多機能性素材を開発しました。また、コットンUSAというサステナブル農法で綿花を栽培する協会(本部・ワシントン)から、日本企業として初の認定を受けています。

出展:hap株式会社「coveross」

「株式会社マイトデザインワークス」

日本の伝統や職人の技術、自然を大切にするという理念のもとに、ものづくりを行う企業です。化学物質を使用しない天然の草木染を用い、メイドインジャパンをコンセプトに服や生活用品を生産しています。

出展:株式会社マイトデザインワークス「Natural Ⅾye」

リサイクル素材でSDGs

「ECOALF/エコアルフ」

ECOALF(エコアルフ)は、ヨーロッパ発の環境負荷の低い天然素材や、再生素材でアイテムを製造している企業です。ペットボトルや漁網、タイヤなどの廃棄された材料を独自の技術でリサイクルした生地を使用して、ファッションアイテムを製造しています。

出展:ECOALF/エコアルフ「recycledmaterials」

「株式会社フクシン」

サステナブルブランド「ecuvo,」(エクボ)は再生素材、天然素材を使用したブランドです。再生ウールと再生ポリエステルを紡ぎ合わせた糸を使用した商品や、捨て糸や編み捨てのゴミを出さずに仕立てられるように、独自の製法を開発。また、自社の電力を再生可能エネルギーで賄うなどさまざまな取り組みを行っています。

出展:株式会社フクシン「商品紹介」

株式会社クロスロード

「株式会社クロスロード」は、革を中心とした婦人靴の販売を40年手がけてきた老舗企業です。廃棄される食品に着目し、米のもみ殻から抽出される油や、ワインを製造する過程で排出するブドウの搾りかすを利用し、なめしたレザーで靴業界初のサステナブルシューズを完成させました。

出展:株式会社クロスロード「食品廃棄物を再活用した取り組み」

エシカルファッションでSDGs

「tennen」

「ゴミにならず、土に還る服であること」をコンセプトに天然素材のコットンやウールを使用し、ボタンに至るまで、服全般を可能な限りリサイクルや自然分解できるようにする開発や取り組みを行っています。

出展:tennen「天撚について」

「NAGI/ナギ」

NAGIは、女性の体に必要なサイクルをもっと快適に過ごせるようにという思いから生まれたブランド。捨てるしかなかった紙ナプキンではなく、くり返し洗って何度でも使用できる環境にも配慮したエコフレンドリーな下着です。ひとつひとつが日本の職人の手により縫製されています。

出典:NAGI/ナギ「our story」

「株式会社ヒューマンフォーラム」

株式会社ヒューマンフォーラムは、アパレル事業を展開する中で「リペア&リメイク」サービスを開始。USED(使用済み)には価値がある、という理念のもと進化型の古着屋『森』を運営し、一枚の服を長く使用することの大切さを伝えます。

出典:株式会社ヒューマンフォーラム「進化型古着屋''森"」

4. まとめ:中小企業だからこそSDGsに取り組める!

アパレル業界のSDGsに対しての関係や取り組みを解説しました。中小企業は、アパレル業界に限らずSDGsに積極的に取り組めるという利点があります。中小規模だからこそ、末端の社員にいたるまで思いを共有し、環境問題に対してしっかりと取り組むことが可能だからです。

身近なアパレル業界の事例を参考に、ぜひ、SDGsの取り組みを開始し企業の環境価値を高めていきましょう!

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