カーボンニュートラルが進み、蓄電池市場に大きな動きが!
- 2022年06月15日
- 発電・エネルギー
脱炭素化への取り組みが加速する中、蓄電池市場が大きく動いています。蓄電池は乾電池と異なり繰り返し使用できることから、脱炭素実現の鍵を握る再生可能エネルギーシステムやEVに活用され、近年市場が拡大しています。この記事では蓄電池に関心のある法人の皆さまが知っておくべき、蓄電池の基本的な知識や国内外における蓄電池市場の動向についてご紹介します。
目次
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蓄電池とは?種類やなぜ市場が拡大?
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蓄電池市場拡大を目指す国の歩み
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各蓄電池市場の推移
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国内外における蓄電池市場の動向
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まとめ:蓄電池と脱炭素化は結びつきが強い!蓄電池についての理解を深めよう。
1. 蓄電池とは?
脱炭素化で太陽光発電やEVの普及が拡大していますが、同時に蓄電池の普及も拡大しています。ここでは蓄電池の主な種類と蓄電池が注目を集めている背景にある要因をご紹介します。
蓄電池の種類
蓄電池は乾電池とは異なり、繰り返し使用することができます。蓄電池は主に以下の3種類に分類されています。
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鉛蓄電池
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アルカリ蓄電池
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リチウムイオン蓄電池
蓄電池拡大にある背景
2003年度以降、電池の生産金額における蓄電池が占める割合は増加し続け、2019年度における割合は蓄電池が約92%、乾電池が約8%です。このように蓄電池が拡大している背景にあるのが、太陽光発電などの蓄電池の利用や災害対策としての蓄電池の活用、EV市場の拡大による蓄電池の技術革新です。
出典:経済産業省『現代の生活に欠かせない電池の生産;乾電池は縮小、繰り返し使える蓄電池が成長をけん引』
2. 蓄電池市場拡大を目指す国の歩み
2003年度以降、日本において蓄電池市場が拡大しています。その過程において国が蓄電池市場を拡大するために策定した政策や実施している補助金事業をご紹介します。
目標価格の設定
蓄電システムの価格低減の実現が、蓄電池普及拡大の鍵を握っています。2016年に国は家庭用蓄電システムと業務・産業用蓄電システムの目標価格を設定し、目標価格を下回った製品を補助対象とすることで蓄電池市場の拡大を図りました。
出典:経済産業省『蓄電池システムをめぐる現状認識』(2020/11/19)(p.3)
グリーン成長戦略
日本は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、再生可能エネルギーを最大限に導入するための方針としてコスト低減と地域と共生可能な適地の確保、蓄電池の活用をあげています。蓄電池市場を拡大させるために以下の方針を示しています。
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技術開発・実証
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軽自動車・商用車等の電動化支援
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大規模投資支援 など
経済と環境の好循環を目的とするグリーン成長戦略は、日本のカーボンニュートラル宣言(2020年10月)を受けて策定されたものであるため、蓄電池が脱炭素に欠かせないものであることが改めて共通認識として掲げられたことになります。
出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』(2021/6/18)(p.63)
災害等に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金
2018年9月に発生した北海道胆振東部地震で北海道全域が停電したことを受け、災害時にも活用可能な家庭用蓄電システム導入を目的とし、家庭用蓄電システム導入
時にかかる費用の一部を補助金として交付する事業が実施されました。
出典:資源エネルギー庁『災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進』
3. 各蓄電池市場の推移
蓄電池の主な種類であるアルカリ蓄電池、リチウムイオン蓄電池別に市場の推移についてご紹介します。
アルカリ蓄電池
アルカリ蓄電池にはいくつか種類がありますが、生産金額のほとんどを占めているのはニッケル・水素電池です。2013年以降生産金額は緩やかに減少していきましたが、2015年以降生産金額は増加しています。
出典:経済産業省『現代の生活に欠かせない電池の生産;乾電池は縮小、繰り返し使える蓄電池が成長をけん引』
リチウムイオン蓄電池
リチウムイオン蓄電池は、軽くて大きな電力を持つことからビデオカメラや携帯電話の小型化に貢献し、市場を拡大させてきました。近年は脱炭素化でEV化が加速する中、車載用のリチウムイオン蓄電池の市場が急激に増加しています。
出典:経済産業省『現代の生活に欠かせない電池の生産;乾電池は縮小、繰り返し使える蓄電池が成長をけん引』
4. 国内外における蓄電池市場の動向
日本を含め、蓄電システムの導入が進んでいる国の導入規模や生産能力の比較をご紹介します。
蓄電システムの導入が進んでいる国の比較
蓄電池の導入が進んでいる各国の2019年度における蓄電システムの累積導入量は以下の通りです。
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中国 25.5GWh
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日本 9.6GWh
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米・カリフォルニア州 2.53GWh
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ドイツ 2.4GWh
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オーストラリア 1.47GWh
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イギリス 0.9GWh
セグメント別に見ると、ドイツでは家庭用蓄電システム、中国と日本は業務・産業用、カリフォルニア州は再エネ併設・系統用の導入が先行するなど各国により特徴があります。
出典:経済産業省『蓄電システムをめぐる現状認識』(2020/11/19)(p.14.15)
蓄電池の生産能力比較
各国の蓄電池の生産能力は、以下のように推移しています。
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日本
2018年度 5GWh
2019年度 7GWh
2020年度 8GWh
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欧州
2018年度 12GWh
2019年度 16GWh
2020年度 55GWh
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アメリカ
2018年度 46GWh
2019年度 49GWh
2020年度 49GWh
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中国
2018年度 67GWh
2019年度 93GWh
2020年度 148GWh
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韓国
2018年度 12GWh
2019年度 15GWh
2020年度 15GWh
日本が他国と比較して蓄電池の生産能力が低い原因は、大型の設備投資を予定していないことにあります。一方、中国が世界的に見て蓄電池の生産能力が突出して高い背景にあるのは、CATLやBYDによる工場の増設です。CATL(寧徳時代新能源科技)は、中国の世界最大手のEV用電池メーカーで、BYD(比亜油)は中国の大手EV用電池メーカーです。
出典:経済産業省『蓄電システムをめぐる現状認識』(2020/11/19)(p.16)
5. まとめ:蓄電池と脱炭素化は結びつきが強い!蓄電池についての理解を深めよう。
この記事では、近年拡大している蓄電池の基本的な知識や蓄電池市場の動向についてご紹介しました。企業が脱炭素に取り組む中、蓄電池に関する知識は欠かせません。蓄電池と脱炭素化は非常に結びつきが強いものです。蓄電池や蓄電池市場への理解を深め、蓄電池の活用の検討につなげていただければと思います。