非FIT電気とは?FIT電気との違いやメリットも
- 2023年12月15日
- 発電・エネルギー
FIT制度(固定価格買取制度)が2019年11月以降、順次終了している中、FIT制度に頼らない非FIT電気に注目が集まっています。非FIT電気とはどのような電気なのでしょうか。
この記事では非FIT電気に関心のある法人の皆さまが知っておくべき非FIT電気に関する基本的な知識についてご紹介します。
目次
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非FIT電気とは?
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非FIT電気のメリット
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すでに始まっている!非FIT電気導入の事例
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まとめ:非FIT電気への理解を深め、再生可能エネルギー由来の電力の導入方法を検討しよう!
1. 非FIT電気とは?
FIT制度(固定価格買取制度)が2019年11月以降、順次終了している中、FIT制度に頼らない非FIT電気に注目が集まっています。ここでは非FIT電気とはどのようなものであり、なぜ注目されているのか背景についてご紹介します。
非FIT電気とは|FIT電気との違い
非FIT電気とFIT電気には大きく3つの違いがあります。
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電気の買い取り金額の決め方
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売電方法
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再生可能エネルギー由来100%の電力であるか
非FIT電気とは、FIT制度の認定を必要としない再生可能エネルギー由来の電気を指す用語です。これまで日本ではFIT制度のもとで再生可能エネルギー由来の電気が売電されるのが一般的でした。
FIT制度とは、再生可能エネルギー由来の電気を、国が定めた一定の価格で一定期間電力会社が買い取ることを義務づけたものです。電力会社が買い取る際に発生する費用の一部を、国民が再エネ賦課金という形で負担し、再生可能エネルギー設備導入を支えてきました。FIT電気はこのように国民が費用の一部を負担していることから国民に環境価値が付与され、その結果再生可能エネルギー由来100%の電力であるとは認められていません。
一方、非FIT電気はFIT制度に頼らないため、電気の買い取りの流れは特に定められておらず、電力会社が買い取らなければならないという義務もありません。また、非FIT電気ならではの特徴として、FIT電気とは異なり国民負担がないことから再生可能エネルギー由来100%の電力であると認められています。
出典:資源エネルギー庁『制度の概要 固定価格買取制度 なっとく!再生可能エネルギー』
非FIT電気が注目される背景
2012年7月にFIT制度がスタートしたことで、日本における再生可能エネルギー設備の設置件数は順調に増加しています。2011年度の水力発電を除く再生可能エネルギーが発電電力量に占める割合はわずか2.6%でしたが、2019年度には10.3%にまで増加しています。
一方で、国民の再エネ賦課金の負担が増えたことが課題とされてきました。そのような状況下において、国民負担が発生しない非FIT電気に注目が集まっています。
政府もFITやFIP制度に頼らずに非FIT再生可能エネルギーを促進させることは、国民負担を軽減しつつ再生可能エネルギーの導入拡大につながるとの見解を示しています。
出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギー固定価格買取制度等ガイドブック2021年度版』(p. 6)
出典:資源エネルギー庁『需要家による再エネ活用推進のための環境整備(事務局資料)』(2021/3/22)(p.10
2. 非FIT電気のメリット
卒FITや再エネ賦課金による国民負担が増大していることを受け、非FIT電気の導入事例が増えています。ここでは、非FIT電気ならではのメリットについてご紹介します。
100%再生可能エネルギーと認められる
FIT制度により売電される電気は、国民が一部費用を再エネ賦課金という形で負担していることから環境価値が国民に付与されるため、再生可能エネルギー100%の電力であるとは認められていません。一方、非FIT電気においては環境価値が発電所や電力供給先に付与されるため、再生可能エネルギー100%の電力として売電することができます。
出典:自然エネルギー財団『企業・自治体向け 電力調達ガイドブック 第4版 2021年版』(2021年1月)(p. 20)
FIT制度よりも高い価格で売電できる可能性がある
再生可能エネルギー設備の普及に伴い発電コストが低減したことから、FIT制度よりも高い価格で売電見込みがある非FIT電気を導入する事例が増えてきました。非FIT電気はFIT制度のように一定の価格で一定期間買い取られるものではなく、市場価格の変動に影響されます。そのためFIT制度での買い取り価格よりも高い価格で売電できる可能性があります。
出典:自然エネルギー財団『先進企業の自然エネルギー利用計画(第20回)ヒューリック 2025年までに自然エネルギー100%へ 非FIT太陽光発電所を自社で開発・利用』(2021/3/25)
3. すでに始まっている!非FIT電気導入の事例
日本ではすでに非FIT発電所が建設され、運用を開始しています。日本における非FIT電気の導入事例をご紹介します。
ヒューリック株式会社
ヒューリック株式会社は、非FIT太陽光発電所を埼玉県加須市に建設し、2020年10月から運転を開始しています。非FIT電気は、グループ会社の小売電気事業者を通してヒューリックの本社ビルに供給しています。
ヒューリックは千葉市でも非FIT太陽光発電所の運転を開始しており、福島県に2ヶ所建設を進めています。全ての非FIT太陽光発電所が稼働した場合、2025年までにグループ全体が使用する電力を再生可能エネルギー由来100%の電力で供給できる見込みを示しています。
出典:自然エネルギー財団『先進企業の自然エネルギー利用計画(第20回)ヒューリック 2025年までに自然エネルギー100%へ 非FIT太陽光発電所を自社で開発・利用』(2021/3/25)
新潟県
新潟県では2020年4月1日時点までに13の水力発電所が建設されており、最大で136,500kWの発電を行っています。収益の増加を目的とし、2015年度からFIT制度の適用を受ける発電所を除く水力発電所における売電を一般競争入札により実施しています。
出典:新潟県企業局『新潟県企業局経営戦略(電気事業・工業用水道事業・工業用地造成事業)』(2021年3月)(p.4.6)
出典:新潟県『三面発電所【新潟県企業局】』(2019/3/29)
4. まとめ:非FIT電気への理解を深め、再生可能エネルギー由来の電力の導入方法を検討しよう!
この記事では、法人の皆さまが知っておくべき非FIT電気に関する基本的な知識についてご紹介しました。これまで日本における再生可能エネルギーの普及に大きく貢献してきたFIT制度ですが、制度そのものが順次終了していることや発電コストが低減したことなどにより、非FIT電気への関心が高まっています。非FIT電気への理解を深め、再生可能エネルギー由来の電力をどのように導入するかの検討につなげていただければと思います。