政府のサポートが充実!再エネ導入に補助金制度を活用しよう

再生可能エネルギー(再エネ)の導入を検討しているが、政府はどのような補助金制度を実施しているのだろうかとお悩みではありませんか。この記事では、政府が実施している再生可能エネルギーに関連する様々な補助金制度をご紹介します。

再生可能エネルギーの導入をご検討中の法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識として、再生可能エネルギーの概要や中小企業が導入するメリットについてもご紹介します。

目次

  1. 再エネとは?中小企業が導入するメリット

  2. 再エネ活用を推進する事業と補助金の詳細

  3. 補助金制度を活用した再エネ導入事例

  4. まとめ:補助金制度への理解を深め、再エネ導入につなげよう!

1. 再エネとは?中小企業が導入するメリット

世界各地で脱炭素化への取り組みが加速する中で、再生可能エネルギーを導入する地方自治体や民間事業者が増加しています。そもそも再生可能エネルギーとはどのような電源なのか、中小企業が導入するメリットについてご紹介します。

再エネとは?

再生可能エネルギーには以下の5種類があります。

  • 太陽光

  • 風力

  • 地熱

  • 中小水力

  • バイオマス

再生可能エネルギーは発電時に温室効果ガスを排出しない脱炭素電源であり、国内で生産可能なことから、エネルギー自給率の向上に寄与することができます。

日本の2018年度におけるエネルギー自給率は11.8%で、他のOECD諸国と比較すると低い水準にあります。化石燃料の輸入率が高い日本にとって、エネルギー自給率の低さは改善すべき課題とされています。

出典:資源エネルギー庁『総論 再エネとは なっとく!再生可能エネルギー』

主要国の一次エネルギー自給率のランキングを示しています。1位はノルウェーの700.3%、2位はオーストラリアの320.0%、日本は11.8%で34位となっています。

出典:資源エネルギー庁『2020日本が抱えているエネルギー問題(前編)』(2020/11/18)

再エネを導入するメリット

中小企業は再生可能エネルギーを導入することで、以下にあげるメリットを得ることができます。

  • 環境への意識が高い大企業へのアピール

  • 光熱費や燃料費のコスト削減

  • 企業のイメージ向上

  • 優秀な人材の獲得

  • 投資家へのアピール など

出典:環境省『小規模事業者のための 脱炭素経営ハンドブック』(2021/10/24)(p.5〜7)

2. 再エネ活用を推進する事業と補助金の詳細

政府は地方自治体や民間事業者などを対象とし、再生可能エネルギーの活用を推進することを目的とし、様々な補助金制度を実施しています。ここでは政府が実施する事業と補助金制度にはどのようなものがあるか、一部をご紹介します。

エネルギー対策特別会計

エネルギー対策特別会計は、石油石炭税や電源開発促進税を財源としています。環境省はエネルギー対策特別会計を活用し、太陽光パネルなど再生可能エネルギー設備の導入補助やEVカーシェアリングの導入支援など様々な補助金制度を実施しています。

出典:環境省『エネ特(エネルギー対策特別会計)とは』

PPA活用など再エネ価格低減等を通じた地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業

政府が実施している再生可能エネルギーの活用を推進する事業です。事業内容は5種類に分かれており、中小企業が取り組めるものの1つが、再エネの価格低減に向けた新手法による再エネ導入事業です。補助金は定額1,000万円で、以下の3つを事業目的としています。

  • 長期かつ低廉な価格の太陽光発電の供給の促進

  • 建物屋根上や空き地以外の場所を活用した需給一体型の太陽光発電設備の設置促進

  • 再生可能エネルギー設備の価格低減の促進

出典:環境省『PPA活用など再エネ価格低減等を通じた地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業』(p.7)

脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業

政府が実施している補助金制度で、2023年までの実施が予定されています。EVなどを活用しながら地域の再生可能エネルギー自給率を最大化し、災害時にも強い自立した分散型の地域エネルギーシステムの構築、またはEVなどによる脱炭素型地域交通モデルの確立を目指す地方公共団体などを支援する事業です。

出典:環境省『脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業』(2021/10/6)

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業

政府が実施している補助金制度で、2025年度まで実施されます。意欲的なCO2削減目標を盛り込んだ脱炭素化促進計画を策定する事業者などを対象に、上限を100万円とする脱炭素化促進計画の策定支援や、上限を1億または5億円とする設備更新に対して補助金を交付するものです。

出典:環境省『工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業』

グリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等向けCO2削減比例型設備導入支援事業

政府が実施している2022年度の補助金制度です。コロナ禍の中で厳しい経営を行う中小企業の脱炭素への取り組みの促進を目的としています。上限を5,000万円とし、空調機や給湯器、冷凍冷蔵設備、ボイラー、高機能換気設備などを導入する中小企業に対して補助金を交付します。

出典:環境省『グリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等の CO2削減比例型設備導入支援事業 』

電動車×再エネの同時導入による脱炭素型カーシェア・防災拠点化促進事業

政府が2024年までの実施を計画している補助金制度で、2022年度は全体で10億円の予算が組まれています。再生可能エネル ギー発電設備と電気自動車などを同時購入する地方自治体や民間事業者などに補助金を交付し、地域住民向けのシェア リングの普及を目指すものです。

出典:環境省『電動車×再エネの同時導入による脱炭素型カーシェア・防災拠点化促進事業』

3. 補助金制度を活用した再エネ導入事例

国や自治体が実施する補助金制度を活用して再生可能エネルギー設備などの導入を行った民間事業所や地方自治体の事例をご紹介します。

リコー環境事業開発センター

2016年度の『再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金』を活用し、設備費と工事費の2/3にあたる補助金の交付を受けています。補助金を活用したことで高額な設備費という課題を解消し、2016年12月に木質バイオマスボイラーの運用を開始しています。御殿場市域にある山林未利用間伐採を回収しチップ化することで燃料を確保しており、木質バイオマスの地産地消も実現させています。

出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギー 事業支援ガイドブック(令和2年度版)』(p.13)

画像:(左から)間伐材置場と木質バイオマスエネルギープラント

出典:RICOH『木質バイオマスエネルギーの地産地消モデルスタート~リコー環境事業開発センター、木質バイオマスボイラー稼動開始~』(2016/12/6)

熊本市

熊本市は2016年に発生した熊本大地震をきっかけに、2030年までの温室効果ガス排出量削減目標達成と災害に強い町の形成を目指し、地域総合エネルギー事業を開始しています。西部環境工場の廃棄物発電による電力を活用し、城山公園にEV急速充電器1基を設置し住民が利用できるようにするなど様々な対策を講じています。

2017年度の『地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業費補助金』を活用し、熊本市にある西部・東部環境工場の発電設備を一体化し、再生可能エネルギーによる自立した分散型エネルギーシステムの構築を検討し、2018年5月から運用も開始しています。これにより年間で1.6億円の電力料金削減を実現させています。

出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギー 事業支援ガイドブック(令和2年度版)』(p.17)

城山公園EV急速充電器

出典:熊本市環境局『本市は再生可能エネルギーによる市施設全体のエネルギー最適化と防災力の強化に取り組んでいます』(2021/8/4)

株式会社 鈴廣蒲鉾 本店

鈴廣かまぼこ惠水工場で使用していた空調機器が老朽化していたため、地下水を熱源とするヒートポンプシステムを2台購入しています。2016年度の『再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金』を活用し、設備費と工事費の1/3にあたる補助金の交付を受けています。システムを導入する前年度と比較すると、工場における空調用の1次エネルギー消費量は71%、CO2排出量は76%に低減しています。

出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギー 事業支援ガイドブック(令和2年度版)』(p.19)

鈴廣かまぼこ株式会社 鈴廣かまぼこ惠水工場

出典:資源エネルギー庁『地中熱利用』

5. まとめ:補助金制度への理解を深め、再エネ導入につなげよう!

2050年までのカーボンニュートラルを目標として掲げる日本は、再生可能エネルギーの活用を推進するために様々な補助金制度を実施しています。補助金制度の内容は様々ですので、内容を理解し、再生可能エネルギーの導入につなげていただければと思います。

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