グリーントランスフォーメーションの事例を紹介!企業の取り組み方も解説

昨今、再生可能エネルギーへのシフトや脱炭素社会に向けての政策で、グリーントランスフォーメーションが注目されています。グリーントランスフォーメーション(GX)とは、二酸化炭素を排出しないグリーンエネルギーにシフトすることで社会経済を変革させることです。グリーントランスフォーメーションの取り組み事例を参考に自社もGX化に取り組みたいという企業の担当者の方もいるでしょう。この記事では、グリーントランスフォーメーションの概要や動向、事例を紹介します。

目次

  1. グリーントランスフォーメーション(GX)とは

  2. グリーントランスフォーメーション(GX)の動向

  3. グリーントランスフォーメーション(GX)の企業の取り組み方

  4. グリーントランスフォーメーション(GX)の事例

  5. まとめ:グリーントランスフォーメーションに取り組もう

1.グリーントランスフォーメーション(GX)とは

グリーントランスフォーメーションが現在注目されている理由は何でしょうか。詳しく見てみましょう。

グリーントランスフォーメーションとは

グリーントランスフォーメーションとは、温室効果ガスを排出する化石燃料からグリーンエネルギーに変換することで、社会経済や産業構造を変革することです。背景としては、カーボンニュートラルが挙げられます。日本は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という、カーボンニュートラル宣言を表明しています。このカーボンニュートラルを推進するために、GXは重要な役割を担っているのです。

出典:資源エネルギー庁『「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?』(2021/2/16)

グリーントランスフォーメーションが注目されている理由

グリーントランスフォーメーションが注目されている理由は、地球温暖化や気候変動です。世界中で異常気象や食糧難が「経済格差」を引き起こしています。日本でも、短時間の強雨や河川の洪水・土砂災害・台風強度の向上など気候変動による影響が出ています。このような地球温暖化問題の中、解決策としてグリーントランスフォーメーションが注目されています。

2.グリーントランスフォーメーション(GX)の動向

それでは、グリーントランスフォーメーションはどのような取り組みがなされているのでしょうか。ここでは、海外の動向と日本の動向を紹介します。

海外の動向

海外においては、欧州が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを義務化しているほか、米国も気候変動の課題を最重要政策に位置付け、2050年のネット排出ゼロやクリーンエネルギー関連のインフラへの投資を計画しています。また中国でも2060年カーボンニュートラルを目指すと宣言してます。

出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルを 巡る国内外の動き』(p10)(2021/12)

日本の動向

日本では、前述したように2050年カーボンニュートラルの実現の宣言がなされています。それと共に、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されカーボンニュートラルに必要な14の成長分野が示されました。「経済と環境の好循環」を作るという産業政策で、再生可能エネルギーの最大限の導入などが謳われています。

出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルに伴う グリーン成長戦略』(p2)(2020/12)

3.グリーントランスフォーメーション(GX)の企業の取り組み方

それでは実際に、GX化に取り組む時、どのように取り組んだら良いのでしょうか。ここでは、グリーントランスフォーメーションの企業の取り組み方について3つ説明します。

再生可能エネルギーへのシフト

1つ目は、消費電力の再生可能エネルギーへのシフトです。特に、事業所や自社の敷地を用いての太陽光発電での電力供給が行われています。太陽光発電なら、太陽光パネルを設置するだけで売電もできるため導入しやすいでしょう。

RE100への加入

2つ目は、「RE100」または「RE100 RE Action」へ参加することです。RE100とは、事業の電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す企業が参加する、国際的なイニシアチブです。RE100 RE ActionはRE100の中小企業が参加するRE100です。双方、参加することでホームページにロゴマークや宣言の内容が公表されます。RE100に参加することで、ESGの面で投資家からの評価が高くなったり企業のブランド力の強化が見込まれます。

出典:環境省『環境省RE100の取組』

カーボンクレジットの購入

3つ目は、カーボンクレジットの購入です。カーボンクレジットとは、カーボンオフセットのクレジットで、森林保護や再生可能エネルギーの導入で温室効果ガスの削減量や二酸化炭素の吸収量を「クレジット」として取引できるようにしたものです。企業は、クレジットを購入し、クレジットの二酸化炭素の削減分だけ企業の二酸化炭素の排出量と相殺させる仕組みです。国が運営するクレジット制度として、Jクレジットがあります。このクレジットを購入することで省エネやRE100の目標達成、企業評価の向上につながります。

出典:J-クレジット制度『J-クレジット制度』

J-クレジット制度概要図

出典:J-クレジット制度『J-クレジット制度について』

4.グリーントランスフォーメーション(GX)の事例

実際のグリーントランスフォーメーションの事例を詳しく見てみましょう。

ホンダ

ホンダは、2021年4月、2040年までに世界での新車販売全てを電気自動車(EV)と燃料電池(FCV)に切り替えることを発表しました。研究開発費も増額し、EV専用工場も検討しています。

出典:日本経済新聞『ホンダ、世界販売全てをEV・FCVに 40年目標』(2021/4/23)

NTT

NTTグループは、DXとGXによるカーボンニュートルに取り組んでいます。「NTT Green Innovation toward 2040」として、2030年NTTグループの温室効果ガス排出量80%削減、2040年カーボンニュートラルを発表しています。具体的には再生利用可能エネルギーの利用拡大と、IOWNという独自のDXで消費電力の減少を目指しています。

出典:NTT『環境エネルギービジョン』

出典:NTT『IOWN構想とは? その社会的背景と目的』

<h3>戸田建設

戸田建設では、子会社で浮体式洋上風力発電の事業化を推進しています。浮体式洋上風力発電による電力を利用した水素の製造・貯蔵・運搬や燃料電池船で離島における再生可能エネルギーの実現に取り組んできました。また、自社研究施設に太陽光発電や地中熱を利用するなど、オフィスビルのZEB(ネット・エネルギー・ゼロ・ビル)化にも取り組んでいます。

出典:戸田建設『温室効果ガスの発生抑制 』

日清

日清では、2019年12月から「カップヌードル」の容器を「バイオマスECOカップ」に切り替えています。これにより、1カップあたりの石化由来プラスチックを50%削減します。他にも、ごみ発電電力を利用することで二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいます。

出典:日清食品グループ『EARTH FOOD CHALLENGE 2030』

株式会社イワタ(京都府京都市)

株式会社イワタ滋賀工場では、太陽光や小水力発電による再生可能エネルギー発電にシフトしています。

出典:株式会社イワタ【IWATA】『再生可能エネルギーでつくる取り組み』

エルクホームズ株式会社(山口県周南市)

エルクホームズ株式会社では、再生エネルギー100%の電力を購入することで二酸化炭素の削減に取り組んでいます。

出典:メガソーラービジネス『本社・展示場などに「再エネ100%」電力、バイオマス発電で』

5.まとめ:グリーントランスフォーメーションに取り組もう

グリーントランスフォーメーションは、カーボンニュートラルへの取り組みに当たります。近年の気候変動の影響によって二酸化炭素削減の取り組みは必須となるでしょう。GX化に取り組むことで、企業のESGが評価されたりブランド力の向上も見込めます。

また、GXに積極的に取り組む企業に対し「GXリーグ構想」も提示されています。参加すると資金補助も得られる予定です。これら政府の施策も見据えて、まずは簡単にできるGXから取り組んでいきましょう。

出典:経済産業省『”GXリーグ”の基本構想案について』(2021/12)

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