サプライチェーンでの再エネへの挑戦とは?

2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指し、サプライチェーン全体で再生可能エネルギー(再エネ)の導入に取り組む大企業が増加しています。大企業を中心とする脱炭素への取り組みが進む中、中小企業にとっても脱炭素への取り組みは生き残るために欠かせないものとなりました。

この記事では、サプライチェーン全体での再生可能エネルギーへの取り組みに関心がある法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識として企業事例や国の支援策などについてご紹介します。

目次

  1. サプライチェーンに求められる再エネへの取り組み

  2. サプライチェーンで再エネに挑戦・事例紹介

  3. サプライチェーンでの脱炭素への取り組みを推進!国の支援策

  4. まとめ:サプライチェーン全体で再エネに取り組もう!

1. 今、サプライチェーンに求められる再エネへの取り組み

商品やサービスの製造や配送などに携わる中小事業者にも再生可能エネルギーへの切り替えが求められる時代になりました。ここではサプライチェーンの概念やサプライチェーン全体で再生可能エネルギーへの取り組みが重要視される背景についてご紹介します。

サプライチェーンとは?

サプライチェーン(supply chain)は「供給連鎖」と訳されます。サプライチェーンとは、商品やサービスの開発から最終消費者に至るまでの一連の流れを指す用語です。サプライチェーンには以下の工程に携わる企業や人が含まれます。

  • 開発

  • 原料の調達

  • 製造

  • 配送

  • 販売

  • 購買 など

出典:中小企業庁『用語集(章単位) 』

サプライチェーン全体での再エネへの取り組みが重要視される背景

パリ協定が2015年に採択されたことをきっかけに、脱炭素への関心が世界で高まり、123カ国と1地域(2017年度実績)が2050年までのカーボンニュートラルに賛同しています。このような状況下において、環境への意識が高い大企業はすでにサプライチェーン全体での脱炭素化に取り組んでいます。企業にとって脱炭素経営は欠かせないものになったと言えます。

(例)

  • Apple Inc.

  • 積水ハウス株式会社

  • セイコーエプソン株式会社

  • トヨタ自動車株式会社

  • 株式会社日立製作所

中小企業は事業で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えるなどの脱炭素に取り組むことで、環境意識の高い大企業へアピールできます。中小企業が再生可能エネルギーを導入する方法には、再生可能エネルギー設備の設置や電力会社からの購入などがあります。

2050年カーボンニュートラルに賛同した国

出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルを 巡る国内外の動き』(2020/12/12)(p.6)

2. サプライチェーンで再エネに挑戦・事例紹介

サプライチェーン全体でどのように再生可能エネルギーの導入に取り組んでいるのか、企業事例をご紹介します。

Apple社の挑戦

2020年7月に米・Appleは2030年までにサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを実現させることを発表しています。Apple製品を製造する時に使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えるという内容で、2020年7月時点において製造に携わる国内外合わせて71社が賛同しました。2021年10月時点には175社にまで増加しており、国内外において環境問題や脱炭素経営への関心が高まっていることがうかがえます。

出典:経済産業省製造産業局『製造業を巡る動向と今後の課題』(2021年9月)(p.28)

出典:日本経済新聞『Apple、再エネ100%表明の取引先175社に 日本の20社も』(2021/10/28)

積水ハウスの挑戦

積水ハウスは国内建設業で初となるRE 100への賛同企業です。

RE 100は、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることを宣言する国際的なイニシアチブです。積水ハウスはSBTも取得していることから、環境問題に熱心な企業であることがうかがえます。SBTはScience Based Targetsの略称で、「科学と整合した目標設定」と訳されています。SBTとはパリ協定が求める水準に整合する5〜15年先の温室効果ガス排出削減目標の設定を企業に促すイニシアチブです。

そのため、積水ハウスグループで使用する電力を2040年までに脱炭素化することを目標に設定しています。積水ハウスは自社グループだけでなく、サプライヤーにも使用電力の100%脱炭素化とSBT認定取得を呼びかけています。

出典:SEKISUI HOUSE『脱炭素社会 「RE100」達成を目指し、「積水ハウスオーナーでんき」を創設』

出典:積水ハウス株式会社『温室効果ガス削減で「SBTイニシアチブ」の認定を取得 住宅業界で国内初』(2018/4/9 )

出典:環境省『国際的な取組』

アスクルの挑戦

アスクル株式会社は2017年にRE 100に賛同し、2018年から再生可能エネルギーへの切り替えに取り組んできました。サプライチェーン全体での脱炭素へも取り組み、2021年12月に本社と物流センター、子会社を含め全体における電力の57%が再生可能エネルギーに切り替えました。

出典:日本経済新聞『アスクル、再生可能エネルギーの導入を進めグループ全体の電力使用率57%を達成』(2021/12/1)

3. サプライチェーンでの脱炭素への取り組みを推進!国の支援策

国内でもサプライチェーン全体での脱炭素への取り組みを推進しています。ここでは政府が実施する支援策をご紹介します。

脱炭素経営フォーラムの開催

環境省が主体となり参加費無料で実施している脱炭素経営に関する情報が得られるフォーラムです。2021年度はオンラインで開催されました。参加者は脱炭素経営に関する国内外の最新動向を共有できます。

出典:環境省『環境省_脱炭素経営フォーラム (2021年度)の開催について』(2021/11/29)

サプライチェーン全体の脱炭素化に向けた支援事業

SBT認定取得などサプライチェーン全体での脱炭素への取り組みを目指す企業を支援する事業です。参加企業は、排出削減対策の検討や実行計画策定などの支援を受けることができます。

出典:環境省『サプライチェーン全体の脱炭素化に向けた支援事業への参加企業を募集します』(2021/7/5)

中長期の温室効果ガス削減目標に向けた支援事業(中小企業向け)

中長期の温室効果ガス削減目標を設定している、または設定を検討中の中小企業を対象とする支援事業です。目標を達成するための行動などが診断されます。

出典:環境省『中長期の温室効果ガス削減目標に向けた支援事業に参加する中小企業を募集します』(2021/7/5)

4. まとめ:サプライチェーン全体で再エネに取り組もう!

この記事では、サプライチェーン全体で再生可能エネルギーに取り組んでいる企業事例や、国の支援策などについてご紹介します。脱炭素への取り組みは大企業にとってだけでなく、中小企業にとっても生き残るために欠かせません。事例や国の支援策などについての理解を深め、再生可能エネルギーの導入など脱炭素への取り組みをご検討いただければと思います。

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