【改正温対法】再エネ促進区域導入で何が変わる?

再エネ促進区域はどのようなエリアで、制度導入で何が変わるのだろうかとお悩みではありませんか。2021年5月に温対法「正式名称:地球温暖化対策推進法」が改正されたことにより、再エネ促進区域という新しい概念が誕生しました。

再エネ促進区域の導入により、地方自治体が再生可能エネルギー設備設置に適したエリアを選定し、再生可能エネルギー設備設置がより効率的に進められるようになることが期待されています。この記事では、再エネ促進区域に関心のある法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介します。

目次

  1. 2021年5月に改正温対法が成立

  2. 再エネ促進区域に関する基礎知識

  3. 再エネ促進区域選定の流れ

  4. まとめ:再生可能エネルギーを巡る地域の動向を理解し、脱炭素への取り組みを始めよう!

1. 2021年5月に改正温対法が成立

再エネ促進区域は、温対法が2021年5月に改正された時に導入された制度です。再エネ促進区域がどのようなものであるかをご紹介する前に、温対法の概念や2021年度の改正で大きく変わった3つのポイントについてご紹介します。

温対法(地球温暖化対策推進法)とは?

温対法「地球温暖化対策推進法」は、国と地方自治体、民間事業者、国民が一体となり温暖化対策に取り組むことを目的とし1998年に制定されました。その後何度も改正を繰り返し、2021年度の改正は7回目の改正にあたります。

出典:環境省『地球温暖化対策推進法の成立・改正の経緯』

2021年5月の改正温対法で変わった3つのポイント

2021年5月の温対法の改正で、大きく変わったのは以下の3点です。

  • 2050年までのカーボンニュートラルの実現の明記

2020年10月に日本はカーボンニュートラル宣言をしています。国や地方自治体、民間事業者、国民の意識を高めることを目的とし改正温対法に2050年までにカーボンニュートラルを実現させることが共通の目標として掲げられています。

  • 地方創生につながる再生可能エネルギーの導入促進

2050年までのカーボンニュートラル実現のためには、地方自治体レベルにおける脱炭素への取り組みが欠かせません。地域での再生可能エネルギー設備設置を阻んでいる課題を解決するための対策が盛り込まれています。

  • 企業の温室効果ガス排出量情報のオープンデータ化

もともと温対法には、一定の温室効果ガスを排出している企業に報告を義務づける制度がありました。オープンデータ化することで事務処理の効率化を目指しています。

出典:環境省『改正地球温暖化対策推進法 成立 - トピックス - 脱炭素ポータル』(2021/6/4)

2. 再エネ促進区域に関する基礎知識

地方創生につながる再生可能エネルギーの導入を促進するために新たに始まったのが、再エネ促進区域です。ここでは再エネ促進区域の概念や導入で期待されること、メリットについてご紹介します。

再エネ促進区域とは?

2021年5月に温対法が改正されたことにより、地方自治体は温暖化対策実行計画の策定が義務づけられました。温暖化対策実行計画の中で、各自治体は再エネ促進区域や環境配慮、地域貢献に関する方針などを定めるよう努めることが求められています。再エネ促進区域とは、各自治体が再生可能エネルギー設備の設置に適している場所として選定した土地です。

出典:環境省『改正地球温暖化対策推進法について』(2021年10月)(p. 1)

再エネ促進区域の導入で期待されること

各自治体が積極的に再エネ促進区域を指定することで、再生可能エネルギー設備の設置が促進され、地域経済が活性化することが期待されています。約9割もの自治体がエネルギー収支が赤字(2015年時点)の状態にあります。5,000kWの太陽光発電を導入すると、地域住民や企業に年間で最大約1.8億円の経済波及効果があると見込まれています。

市町村別のエネルギー収支

出典:環境省『改正地球温暖化対策推進法について』(2021年10月)(p. 2)

3. 再エネ促進区域選定と設備設置までの流れ

再エネ促進区域はどのような手順を踏んで選定されるのでしょうか。ここでは地方自治体が再エネ促進区域を選定する方法や、再生可能エネルギー設備が設置されるまでの流れをご紹介します。

再エネ促進区域の選定方法

地方自治体は再エネ促進区域を選定するにあたり、国や都道府県が環境保全において除外すべきだと指定したエリアを除外します。その後、調整エリアに指定された候補地の中から再生可能エネルギー設備を設置する場所として適したエリアを選定します。

2021年9月に環境省が開催した有識者会議において、以下のエリアを除外する案が示されています。

  • 土砂災害の危険がある地域

  • 国立公園の保護地区

  • 絶滅危惧種の生息域

以下の項目を配慮する環境基準も示されています。

  • 居住地域からの距離

  • 森林からの距離

  • 鳥が巣作りする場所からの距離

促進区域選定のイメージ

出典:環境省『改正地球温暖化対策推進法について』(2021年10月)(p. 7)

出典:日本経済新聞『再エネ促進区域、災害懸念場所を除外 熱海土石流受け』(2021/9/7)

再エネ設備設置までの流れ

2021年度における温対法改正の柱の1つが、地方創生につながる再生可能エネルギーの導入促進です。2021年度の改正により、地域における再生可能エネルギー設備の設置までの手続きが効率的になりました。自治体から認定を受けた事業者は、関係許可等手続きのワンストップ化や配慮書手続きの省略などの特例を受けることができます。

出典:環境省『改正地球温暖化対策推進法について』(2021年10月)(p. 3)

4. まとめ:再生可能エネルギーを巡る地域の動向を理解し、脱炭素への取り組みを始めよう!

2021年5月の温対法の改正により新たに導入された再エネ促進区域についてご紹介しました。再エネ促進区域が導入されたことにより、地域における再生可能エネルギー設備設置の促進が期待されています。このように各自治体レベルにおいても再生可能エネルギー導入の取り組みは加速しています。

中小企業にとっても今や脱炭素への取り組みは持続可能な企業であるために欠かせないものとなりました。事業で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えるなど、脱炭素への取り組みを検討されるのはいかがでしょうか。

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