SBTとは?SBTの基礎知識やメリット、企業の事例をご紹介

SBTに関心があるものの、どのような取り組みなのでしょうか?

2021年3月19日現在における、SBTの参加日本企業は122社であると環境省は発表しています。企業のイメージがアップする、環境問題に貢献できるなどのメリットが得られるため、今後もSBTに参加する企業は増えていくと予想できます。

この記事では、SBT(Science Based Targets)とはどのようなものなのか、法人の皆さまが知っておくべき基礎知識についてご紹介します。

目次

  1. SBTに関する基礎知識
  2. SBT認定とは?SBT認定を受ける要件とメリット
  3. SBTとは?日本企業のSBTへの取り組み事例
  4. まとめ

1. SBTに関する基礎知識

SBTとは何か?SBTが誕生した背景は?ここではSBTに関する基礎知識として、用語説明や設立に至った背景、日本が掲げる目標と目標を達成するための手段についてご紹介します。

SBTとは科学的根拠に基づいた目標設定である

SBTはScience Based Targetsの略語で、科学的根拠に基づいた目標設定と訳すことができます。環境省はSBTについて次のように定めています。SBTは、各企業が設定する温室効果ガス排出削減目標で、5~15年先を目標年とし、パリ協定が定める、世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(目標1.5℃)に抑えるというものです。

出典:環境省『SBT(Science Based Targets)とは』p1(2023年2月1日)

SBTが設立された背景

2015年12月にパリで開催された「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議」において、世界約200カ国が合意し、パリ協定が成立しました。パリ協定は、気候変動に関する国際条約であり、世界共通の目標として、大きく2つの目標を掲げています。

  • 産業革命からの平均気温の上昇を2℃よりも十分に下回ること。

  • 平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力をすること。

SBTは、パリ協定で定めたこれらの目標を国や各企業が達成するために誕生しました。

出典:環境省『パリ協定の概要』

日本が掲げる目標達成と目標達成のための手段

パリ協定の締結にともない、日本は、2050年までに温室効果ガスの排出を80%削減することを目標に掲げています。それを達成するために、2030年度までに2013年度比で26%削減する中期目標も定めています。

環境省はH28年5月に発表した「地球温暖化対策計画の概要」において、目標を達成するための手段として、次世代自動車の普及や再生可能エネルギーの最大限の導入などをあげています。

出典:環境省『地球温暖化対策計画の概要(pdf)』

2. SBT認定とは?SBT認定を受ける要件とメリット

必要事項を記入後「事務局 みずほ情報総研株式会社」に申請書を提出し、審査に通ると、SBT認定を受けることができます。ここでは、SBT認定を受けるための要件と、SBT認定で得られるメリットについてご紹介します。

SBT認定を受ける要件

SBT認定を受けるには、まず「事務局 みずほ情報総研株式会社」に「企業版 2℃目標(SBT)の設定支援 申請書」を提出しなければなりません。

 申請書に書き込む内容については、企業情報や削減目標などがありますが、詳細は環境省のwebサイトから確認することができます。

その後SBT事務局が審査を行い、審査に通るとSBT認定を受けることができます。SBT認定後も、毎年排出量や対策の進捗状況を開示することや、目標の妥当性の確認が求められます。

出典:環境省『SBTの手続き』p93~99(2021年8月10日)

企業のイメージアップ

SBTは世界が共通に掲げる目標です。SBT認定を受けると、SBTの公式サイトや関連するwebサイトで公表されます。

環境問題に取り組んでいる企業であることが、外部からも明らかに分かるため、企業のステークホルダーに対し、将来への取り組みもしている持続可能な企業であることをアピールすることができます。

出典:環境省『地球温暖化対策計画の概要(pdf)』

環境問題に貢献できる

SBT認定を受けるには、毎年温室効果ガスを2.5%以上削減することを目標とし、5〜15年先の⽬標を設定しなければなりません。

 企業が排出する温室効果ガスだけでなく、他企業も含めた全体の温室効果ガスの削減が求められます。企業と地域が一丸となり環境問題への意識を高め、貢献できることもSBT認定を受けるメリットだと言えます。

出典:環境省『地球温暖化対策計画の概要(pdf)』

コスト削減

温室効果ガスの1種である二酸化炭素の排出量を効果的に削減する手段として、太陽光発電の導入があげられます。

再生可能エネルギーの最大限の導入は、環境省が推奨している、目標達成のための手段の1つです。企業が自社で電気を作ることは、電力にかかるコストの削減につながります。

出典:環境省『地球温暖化対策計画の概要(pdf)』

イノベーションの後押し

企業がSBTに取り組むことで、社員の環境問題に関する意識を高めることができます。社員のやる気アップにもつながるため、新しい発想が生まれ、新たな事業や取り組みにつながることが期待できます。

3. SBTとは?日本企業のSBTへの取り組み事例

ここでは2021年度における、日本企業のSBTへの参加の状況や、具体的にどのような取り組みを企業が行っているのか事例をご紹介します。

現在における日本企業のSBTへの取り組み状況

環境省は「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」において、2021年3月19日現在にSBTに参加している日本企業の数を公表しています。すでにSBT認定を受けている企業は93社あり、世界トップのアメリカの119社に次ぐ参加数です。また2年以内のSBT設定を表明している日本企業は、29社あります。

世界ではSBTに参加している企業は、食糧関係が多いのですが、日本では電機機器や建設業が占める割合が高いことも示されています。

環境省『SBT(Science Based Targets)とは』p1(2023年2月1日)

SBTへの取り組み事例

2020年4月に始まった中小企業向けのSBT認定申請ルートを経て、国内初、自動車・輸送機器のセクターでSBT認定を取得した協発工業株式会社(以下、協発工業)の取り組み事例をご紹介します。

協発工業は、愛知県岡崎市にある自動車部品の加工会社で、SBT認定申請時には、最も野心的な1.5℃水準を目標に掲げています。中期目標は、温室効果ガスの排出量を2030年までに2018年度比で50%削減することを表明しており、その取り組みとしては工場の使用電力の再エネ化を推進しています。

出典:協発工業株式会社『SBTイニシアチブの認定を取得』(2021年2月19日)

4. まとめ

この記事では、SBT認定の概要や認定を受ける要件、日本企業の取り組みなど、法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識をお伝えしました。将来的な環境問題を視野に入れながら、事業を行っている企業が良いとされています。

またSBTに企業が取り組むことで、社員の士気も上がり、新たな事業創出につながるなどのメリットを得ることができます。中小企業向けのSBT認定申請をぜひご検討されてみるのはいかがでしょうか。

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