CSRとCSVの違いとは?サステナブル担当の方必見!カンタン解説

CSRとCSVとは?世界全体での脱炭素に向けた取り組みが加速する中、日本においてもサステナビリティ(持続可能性)に取り組む企業が増加しています。

代表的なサステナビリティ経営にはCSRやCSVがありますが、どちらを導入すれば良いのか、そもそもどのように違うのか頭を抱えている経営者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、法人の皆さまが知っておくべきCSRとCSVに関する基礎知識についてご紹介します。

目次

  1. CSRとCSVへの理解を深めよう。

  2. CSRとCSVの違いを事例で解説

  3. CSR/CSVに取り組むメリット

  4. まとめ:CSRとCSVへの理解を深め、自社に最適な取り組みを始めよう!

1. CSRとCSVへの理解を深めよう。

CSRとCSVは共に企業の利益だけを追求するのでなく、環境やステークホルダーに配慮するサステナビリティ経営に分類されます。ここではCSRとCSVの意味と基本的な考え方についてご紹介します。

CSRの意味と基本的な考え方

CSRはCorporate Social Responsibilityの略称で、企業の社会的責任と訳されています。持続可能な企業であるために事業活動が与える影響について全てのステークホルダーに対して責任を取るというのが基本的な考え方です。CSRは2003年頃から2010年代にかけて普及が推進されていました。

主要紙のCSR記事の掲載数

出典:環境省『社会的責任(持続可能な環境と経済)に関する研究会 報告書』(2005年)(p.1)

出典:経済産業省『企業会計、開示、CSR(企業の社会的責任)政策』

CSVの意味と基本的な考え方

CSVはCreating Shared Valueの略称で、

共有(共通)価値の創造と訳されています。企業の事業活動の中で社会的な課題を解決することで、社会価値と企業価値を両立させようとするのが基本的な考え方です。CSVは企業の競争戦略を専門とする米国経営学者マイケル・ポーター氏により2011年に提唱されたもので、CSRに代わるサステナビリティ経営として浸透していきました。

出典:中小企業庁『第3節 社会価値と企業価値の両立』

2. CSRとCSVの違いを事例で解説

CSRとCSVはともにサステナビリティに基づく考え方であり、単語の形が似ていることから混同されがちです。ここではCSRとCSVの違いを企業の事例をあげながら解説します。

社会への貢献の仕方が違う

CSRは社会貢献の意味合いが強く、事業活動とは無関係の奉仕活動なども含まれます。そのため活動が利益につながらないこともあります。一方、CSVは企業戦略の一環として社会への貢献活動を行うため、活動内容は事業と関係があるものになります。そのため企業は社会的貢献と利益の追求を同時にできるのです。

出典:経済産業省『持続的成長に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会(第3回)‐議事要旨』

全てのプロセスにCSRを!ユニクロの取組

ファーストリテイリンググループは、世界を良い方向に変えていくために全てのステークホルダーと真摯に向き合うことを宣言しています。ファーストリテイリンググループが世界に展開させているユニクロでは、各プロセスに以下のようなCSRの視点を採り入れることで社会に貢献しています。

  • 物流:段ボールや梱包資材のリサイクル、地域に根ざした社会貢献活動 など

  • 販売:従業員へのコンプライアンスの徹底

  • 廃棄:顧客からの不要な衣服を集め難民キャンプへ届ける。

出典:fastretailing.com『NTEGRATED REPORT 2022』

食品を通してステークホルダーを健康に!ネスレの取組

スイスに本社を置く世界最大級の総合食品メーカーであるネスレは、食品の力でステークホルダーを健康にするためにCSV経営に取り組んでいます。ネスレは事業活動を展開している地域で暮らす人々の生活改善と、環境の保護と回復に取り組みの重点を置いています。ネスレがCSVにどのように取り組んだかについては、国際的な枠組みとTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿う形で報告を実施しています。

出典:ネスレ『共通価値の創造』

3. CSR/CSVに取り組むメリット

CSRとCSVにはそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは企業がCSRまたはCSVに取り組むことで得られるメリットについてご紹介します。

CSRに取り組むメリット

CSRに取り組む企業が発行する報告書を読みどのように感じたのかとのアンケート調査では、回答者の59%が企業に対する興味・関心・理解が高まったを選択しています。中小企業はCSRに取り組むことで、以下にあげる様々なメリットを得ることができます。

  • ステークホルダーとのより良い関係の構築

  • 職場の活性化

  • 社会的イメージの向上

  • 取引先の拡大

  • 優秀な人材確保

  • リスク回避 など

第13回生活者の企業観に関する調査報告書

出典:CSRで『中小企業庁』(p.4.5)

CSVに取り組むメリット

CSV経営を導入することは、環境保護と利益を同時に追求している企業であることのアピールになります。これにより社会的なイメージを向上させることができます。この他には同じ志を持つ他企業との接点が生まれることから、新たなビジネスを獲得するチャンスもうまれます。

4. まとめ:CSRとCSVへの理解を深め、自社に最適な取り組みを始めよう!

大企業だけでなく中小企業にとっても、今やサステナビリティへの取り組みは欠かせないものとなりました。この記事ではCSRとCSVについての違いなどをご紹介しました。それぞれの特徴を理解し、自社に最適な取り組みを始めていただければと思います。

資料 この1冊でLCAの基礎を徹底解説資料 サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説
サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説