産業廃棄物が引き起こす環境問題:国内の取り組みは?

産業廃棄物が引き起こす環境問題とは?事業活動を通して必ず排出されるのが産業廃棄物です。産業廃棄物が焼却される時に発生するGHG(温室効果ガス)やダイオキシンが、自然環境や人体に悪い影響を与えます。

日本では2009年以降産業廃棄物の量や排出されるGHGがほぼ横ばいで推移しているため、使い捨てプラスチック量の削減やバイオマスプラスチックの増加などの対策を講じていく必要があります。この記事では、産業廃棄物の現状や産業廃棄物による環境問題、国内での取り組みなどについてご紹介します。

目次

  1. 日本における産業廃棄物の現状

  2. 産業廃棄物が引き起こす環境問題

  3. 廃棄物分野における2030年度の目標と具体的な取り組み

  4. まとめ:産業廃棄物は環境問題に直結!企業もゴミ削減に取り組もう!

1. 日本における産業廃棄物の現状

廃棄物は燃焼時にGHG(温室効果ガス)を排出するため、対策を講じないと温暖化がより進行してしまいます。ここでは日本における産業廃棄物の現状を知るために、産業廃棄物量と燃焼時に発生するGHG排出量についてご紹介します。参考資料として家庭やオフィスの事務などにより排出される一般廃棄物量の推移についてもご紹介します。

日本における一般廃棄物量の推移

環境省によると日本における一般廃棄物量は、2009年度から2018年度にかけて減少傾向にあるものの劇的に減少しているわけではありません。一般廃棄物量は以下の通りです。

生活系ごみと事務系ごみの排出量の推移

出典:一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度)について(2020/3/30)(p.2)

日本における産業廃棄物量の現状

環境省の報告によると、2018年度の産業廃棄物量は前年比の約1.2%減となる約3億7,883万トンでした。排出量が多い5業種は以下の通りで、全体の8割以上を占めています。

[1]電気・ガス・熱供給・水道業:約 9,897万トン

[2]農業・林業:約 8,096万トン

[3]建設業:約 7,548万トン

[4]パルプ・紙・紙加工品製造業:約 3,253万トン

[5]鉄鋼業:約 2,622万トン

出典:環境省『産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度実績)について』(2021/3/26)

産業廃棄物分野におけるGHG排出量の推移

廃棄物分野では、廃棄物の焼却時にGHG(温室効果ガス)が排出されます。2018年度の産業廃棄物分野におけるGHG排出量は3,782万トンでしたが、この数値は2005年度比で16.3%減、2013年度比で4.5%減にあたります。産業廃棄物分野におけるGHG排出量は2009年度以降ほぼ横ばいに推移していますが、依然として高止まりの状況にあります。

廃棄物分野の温室効果ガス排出量の推移

出典:環境省『廃棄物分野における地球温暖化対策について』(2021/4/9)(p. 2)

2. 産業廃棄物が引き起こす環境問題

事業活動を通し大量に廃棄される産業廃棄物は、深刻な環境問題を引き起こしています。ここでは産業廃棄物による環境問題についてご紹介します。

GHGによる地球温暖化

GHGによる地球温暖化は、日本を含む世界各地で深刻な環境問題を引き起こしています。日本においては熱中症搬送者数や死亡者数が増加傾向にあります。この他には以下のような被害が報告されています。

  • 豪雨の頻発や台風の強大化

  • 林檎や葡萄の着色不良

  • 自然生態系の変化 など

世界ではGHGによる地球温暖化により、以下のような様々な環境問題が引き起こされています。

  • 北極海の海氷の減少

  • 海面水位の上昇

  • 森林火災

  • ハリケーンの強大化 など

出典:環境省『おしえて!地球温暖化』(2019/3/29)(p.2.3)

不法投棄による人為的災害

産業廃棄物の量が増え、処理するために費用がかかるため不法投棄を行う悪質な業者の増加が社会問題になっています。不法投棄には土壌や水質汚染、土砂崩れなどの人為的災害を引き起こすリスクがあります。

焼却による大気汚染

廃棄物焼却施設からは、GHGだけではなくダイオキシンも排出されます。空中に放出されたダイオキシンは、地上に落ち土壌や水を汚染します。プランクトンや魚介類に食物連鎖を通して取り込まれることで、人体にも蓄積されるリスクが懸念されます。

出典:環境省『ダイオキシン問題への取組み』

3. 廃棄物分野における2030年度の目標と具体的な取り組み

廃棄物分野は多くのGHGを排出するため地球温暖化を食い止めるためには、焼却する廃棄物の量を削減するなど対策を講じながら処理する必要があります。ここでは、日本が掲げる廃棄物分野における2030年度の目標についてご紹介します。

廃棄物分野における2030年度の目標

廃棄物分野では2030年度の目標を以下のように設定しています。

  • 2025年までにリユース・リサイクルが可能なデザインに。

  • 2030年までにワンウェイプラスチックの排出を累積25%抑制。

  • 2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル。

  • 2030年までに再生利用を倍増させること。

  • 2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入すること。

  • 2035年までに使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクルにより有効活用する。

出典:環境省『廃棄物分野における地球温暖化対策について』(2021/4/9)(p. 7)

廃棄物分野における具体的な取り組み

廃棄物分野における環境保護を目的とした具体的な取り組み例をご紹介します。

  • ワンウェイプラスチックの排出量抑制

ワンウェイプラスチックとは、1度の使用で廃棄されることを想定したプラスチック容器などを指す用語です。ワンウェイプラスチック削減を目指す取り組みの輪が自治体で広がっています。横浜市では「よこはまプラスチック資源循環アクションプログラム」が策定され、マイバッグやマイボトルの呼びかけなどプラスチックを削減する取り組みを進めています。

出典:横浜市『プラスチック問題とは』(2020/9/3)

  • バイオマスプラスチック類の普及

バイオマスプラスチックは動植物由来の再生可能な環境に優しいプラスチックです。バイオマス由来製品の正しい理解と普及を目的とし、バイオマスプラマークやバイオマスマークといった認証制度を設けています。

バイオマスプラマーク/バイオマスマーク出典:経済産業省『バイオ製品の普及に向けた取り組み』(p.3)

4. まとめ:産業廃棄物は環境問題に直結!企業もゴミ削減に取り組もう!

この記事では日本の産業廃棄物に関する基本的な知識についてご紹介しました。

今回ご紹介したように産業廃棄物は対策を講じなければ環境問題に直結します。企業も事業活動を通して排出されるゴミの削減に取り組みましょう!

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