原子力は再生可能エネルギーで代替できるのか?

原子力で再生可能エネルギーは代替できるのか、またその理由をわかりやすく解説します!現在、世界全体では再生可能エネルギーの導入が盛んに行われています。今更聞けない発電方法から政府の方針、記事を読まれている読者様がこれから取り入れるべきアクションを紹介します。

目次

  1. 原子力・再生可能エネルギーの発電方法と現状

  2. 原子力・再生可能エネルギーの普及を考える上で必要な3E+S

  3. 現状原子力は再生可能エネルギーでは代替できない

  4. まとめ:再生可能エネルギーのさらなる普及に向けてアクションを始めよう!

1. 原子力・再生可能エネルギーの発電方法と現状

そもそもなぜ原子力を再生可能エネルギーで代替すればよいとされるのか?

東日本大震災で起こった原子力発電事故は今でも鮮明に覚えていることでしょう。原子力発電は一度事故が起こってしまうと発電所になかなか近づくことができず、復旧できません。

一方で再生可能エネルギーは太陽光や風力など自然由来のエネルギーで発電でき、発電時にCO2を排出しません。このことから再生可能エネルギーの発電割合を高め、最終的には原子力発電をクリーンな再生可能エネルギーに代替することでより安全でクリーンな社会を作ることができるのです。

原子力発電の特徴

・メリット

原子力発電のメリットは発電時にCO2を排出しないこと、少ない燃料で大量のエネルギーを生産できることなどが挙げられます。

・デメリット

大きな災害が起こった場合、重大な事故に繋がる可能性があります。放射線物質が放出されると、地域や人体に多大な被害を及ぼし、制御不能となった電子力発電所は簡単に修復することもできません。

再生可能エネルギーの特徴

・メリット

再生可能エネルギーのメリットは、CO2を発生させないこと、さらに資源が枯渇しないので永久にエネルギーを生み出せるという点です。

・デメリット

気象条件や時間帯によって発電量が左右されることや、初期投資がかかること、技術開発が進んでおらず、発電コストが高いことなどが挙げられます。

出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギーの特徴』

2. 原子力・再生可能エネルギーの普及を考える上で必要な3E+S

そもそも3E+Sって何?

3E+Sとは「安全性(Safety)」を前提とした上で、「エネルギーの安定供給(Energy Security)」を第一に考え、「経済効率性(Economic Efficiency)」の向上を実現すると同時に「環境への適合(Environment)」を図ることです。

3E+Sの概要

出典:資源エネルギー庁『グラフで見る世界のエネルギーと「3E+S」安定供給③~国によってこんなに違う「停電時間」』(2019/07/18)

3E+Sに原子力と再生可能エネルギーを当てはめると

では、3E+Sに原子力と再生可能エネルギーを当てはめてみましょう。

原子力は、少量のウランで大量のエネルギーを発電できることや、発電時にCO2を排出しない点から「エネルギーの安定供給」や「環境への適合」には長けているといえるでしょう。しかし、東日本大震災の時に起こった事故からもわかるように、「安全性」は保障されていません。安全対策の強化によって発電コストが上昇している、すなわち「経済効率性」が悪いことも事実です。このことから3E+Sの概念にはまだ即していないと言えます。

一方で再生可能エネルギーは自然のエネルギーから電力を得る仕組みのため、「安全性」はもちろん「環境への適合」も問題ないでしょう。しかし、発電量が気候によって左右されていることや技術開発が進んでいないことから「安定供給」に課題があります。経済産業省によると、2030年に太陽光発電のコストが原子力発電のコストを下回るとの調査結果が出ているものの、現状はまだコストが高い状況であり、「経済効率性」には課題を残してることがわかります。

このように各発電は一長一短だということがわかります。

出典:資源エネルギー庁『グラフで見る世界のエネルギーと「3E+S」安定供給③~国によってこんなに違う「停電時間」』(2019/07/18)

3. 現状原子力は再生可能エネルギーでは代替できない

現状不可能な理由

現状の技術では、原子力は再生可能エネルギーでは代替できません。その理由は、以下の通りです。

(1)安定供給ができていないから

現在の発電は「今必要な分を発電する」仕組みになっています。再生可能エネルギーは気候や時間などの条件によって発電量が異なるため、火力発電のバックアップの元に成り立っています。

 (2)蓄電技術が発達していないから

蓄電技術は再生可能エネルギーの安定供給問題を解決する重要な技術です。しかし、現在はまだ実証実験の段階です。蓄電技術が実装なくして再生可能エネルギーの拡大はないでしょう。

出典:資源エネルギー庁『再エネの安定化に役立つ「電力系統用蓄電池」』(2018/2/27)

政府の展望

今後、電力供給は「バランス型」へと移行していきます。現在は火力にほぼ頼りきりですが、様々な発電方法をバランスよく活用することで、それぞれのデメリットを補いながら電力供給を目指す方針です。

安全性が問題視される原子力発電、世界的な脱炭素社会の潮流がありながらも火力発電に頼りきりな発電状況、問題はたくさんあります。それらを補い合っていく考え方が今回の「バランス型」の意図でしょう。

しかし、最終的には100%再生エネルギーの社会を構築していかなくてはなりません。なぜならそれぞれのリスクは低減されていますが、根本的な解決には至っていないからです。あくまでもバランス型は対症療法でしかないのです。

出典:資源エネルギー庁『長期エネルギー需給見通しについて』(2015年7月16日)

4. まとめ:再生可能エネルギーのさらなる普及に向けてアクションを始めよう!

今回は「原子力は再生可能エネルギーで代替できるのか」について解説していきました。多くの課題が残る現状ですが、再生可能エネルギーのさらなる普及に向けて企業もできることから取り組むことが重要です。

具体的な行動は、IRなど投資家や企業に関心のもった個人が閲覧できるサイトに、再生可能エネルギーの推進を進めていることを明記すること。さらに定量的な目標を掲げることなど、一目で見て再生可能エネルギーの普及に取り組んでいることがわかるようにすることが大切です。

再生可能エネルギーへのさらなる普及に向けて、今できるアクションを始めていきましょう!

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