冬の電気代を抑えるには?企業向けの節電方法をわかりやすく解説

机の上にある電球

企業が安定して利益を生み出し続けていくために、固定費をできるだけ安く抑えることは非常に重要です。特に、夏に比べ冬は電気の使用量が増え、電気代が高くなりやすいです。節電を心がけ電気代の低減が実現すると、大幅な支出の削減につながります。そこで夏に比べ冬に電気代が高くなる理由を踏まえ、企業向けの節電方法をわかりやすく解説・ご紹介します。

目次

 1. 企業での冬の電気代が夏に比べて高くなる理由

 2.企業で今すぐ取り組める!冬の電気代を節約する方法

 3. 企業契約の電気料金の仕組みを知って冬の電気代を抑えよう

 4. まとめ:エアコンと照明器具の利用を見直して、節電に取り組もう!

1. 企業での冬の電気代が夏に比べて高くなる理由

なぜ、夏に比べ冬の電気代が高いのか、疑問に思ったことはありませんか。全国の月別の平均電気料金を比べてみても、冬は電気代が高い傾向にあります。ここでは企業の冬の電気代が高くなる理由をわかりやすく解説します。

(1)照明・コンセントと冷暖房機器は全消費電力の50%以上を占める

照明器具、給湯器、コンピューターの電源、空調管理、給排水設備など電力は社内のあらゆる場面で利用されています。その中でも特に消費エネルギー量の多い機器は、照明・コンセントと冷暖房機器です。下図によるとこれらの消費量は全消費エネルギーの約50%を占めています。さらに冬の間は照明とエアコンの消費電力は増大するため、電気代が高くなる原因となっています。

 

各電気機器の電気代に占める割合

出典:資源エネルギー庁『第2節 部門別エネルギー消費の動向』(2021/7/19

(2)冬は照明器具の利用時間が長くなる

冬の電気代が高い一因に、日照時間・日射量ともに低下し照明器具の利用時間が長くなることがあります。日照時間とは1日のうち太陽光が地表を照らしている時間、日射量とは太陽からのエネルギー量を指します。つまり、冬の間は太陽光が差し込む時間、太陽からもたらされるエネルギー量共に低下します。

実際に夏至と冬至の日照時間を比べると、約5時間もの差があります。さらに日射量も2020年8月には20.6MJ/m2である一方、同年1月には8.0MJ/m2にとどまり、約2.5倍もの違いがみられます。

このように冬の間は太陽から得られる光エネルギーの量・時間ともに低下するため、照明器具の利用時間が増え、夏に比べ電気代が高額になります。

出典:中日新聞web『昼間が一番長い日:達人に訊け!』(2015/5/31)

出典:気象庁『過去の気象データ検索』

(3)夏に比べて冬は外気温とエアコンの設定温度の差が大きい

冬の電気代が高いもう一つの要因として、エアコンの設定温度と外気温の差が大きいことがあります。エアコンで使用される電力の90%は、外気温から設定温度にまで温度を到達させる際に消費されます。つまり、外気温と設定温度の差が大きければ大きいほど、エアコンの消費電力は大きくなります。

実際に具体例で見てみましょう。2020年7月から9月の最高気温の平均は約30度、2020年12月から2月の最低気温の平均は3.8度です。夏は冷房推奨温度の28度、冬は暖房推奨温度の20度でエアコンを利用するとすると、夏場の温度差は2度である一方、冬場の温度差は16.2度にもなります。このように、夏に比べ冬の方が明らかに温度差が大きくなるため、冬の電気代は高くなる傾向にあります。

出典:気象庁『過去の気象データ検索』

2. 企業で今すぐ取り組める!冬の電気代を節約する方法

前述のとおり、冬の電気代が高くなる理由として照明器具やエアコンの消費電力が増大することがあります。この章では、具体的にどのような取り組みをすれば照明器具・エアコンの消費電力を抑えることができるのか、今すぐに企業で取り組める3つの方法をご紹介します。

(1)照明器具を見直す

照明の消費電力を抑えたい場合、照明器具を省エネタイプのものに買い替えることで電気代を抑えることができます。例えば、LED電球の使用は一般的な電球に比べ、約86%の省エネにつながるとされており、蛍光灯や白熱電球からの買い替えが推奨されています。

また廊下・トイレなど常に明るくしておく必要がない場所は、人感センサーが搭載された照明器具に替えることで電気の消し忘れがなくなり、節電に繋がります。

出典:資源エネルギー庁『機器の買い替えで省エネ節約』(2021/9/29)

(2)エアコンの使用状況を見直す

企業でのエアコンの使用状況を見直すことも、冬の電気代の節約につながります。環境省の報告によると、冬の暖房設定温度を1度下げることで9時間あたり約1430円の節電が実現します。前述の通り、室内と室外の温度差が大きいとその分消費電力も大きくなるため、冬は暖房推奨温度である20度でエアコンを稼働させることを心がけてみてください。

また、エアコンのフィルターが目詰まりしている、室外機の周りに物が置いてあり空気が通りにくいなど、熱の交換が行われにくい状況にあると、エアコンの効率が下がりその分無駄な電気代がかかってしまいます。月に数回のフィルター掃除と併せて、室外機の周りには物を置かないことを心がけましょう。

エアコンの使用の見直しイメージ

出典:資源エネルギー庁『無理のない省エネ節約』(2021/2/3)

(3)エアコンをインバータ型に変更する

インバータのないエアコンを利用している場合は、インバータ型のエアコンに買い替えることで電気代を節約できます。インバータとはエアコンの熱交換システムの心臓部とも言える圧縮機をコントロールし、効率的で安定した温度調節を実現する機械を指します。インバータが搭載されていないエアコンは温度変化が極端になり、また消費電力が大きいため省エネではありません。

インバータが搭載されたエアコンを選ぶことで、安定したかつ効率の良い空調管理が実現し、節電につながります。

3. 企業契約の電気料金の仕組みを知って冬の電気代を抑えよう

この章では、企業における電気料金の発生する仕組みを理解した上で、適切に電気を利用する方法をご紹介します。根本的な電気料金の見直しも、冬の電気代を低減するために重要です。

(1)基本料金を決定する重要な一因"デマンド"とは?

高圧受電している場合、電気の基本料金はデマンド値に作用されます。デマンド値とは30分間で消費された電力の平均値のことで、電気の基本料金を決定する最も重要な要因です。過去12ヶ月間での最大のデマンド値をもとに基本料金が決定するため、デマンドを制御することで基本料金を下げることができます。

(2)デマンドコントロールを行う方法

デマンドを制御するには短時間で電気の使用量が急増することを防ぐ必要があります。一般的にデマンドの最大値は、夏や冬に空調や照明器具の利用が増えることで更新されます。よって、夏と冬のある一定期間のみ空調の制御・調整を行うことでデマンド値を下げることができます。

デマンドを制御する有効な方法の一つに、デマンドコントロールシステムの導入があります。これは、最大デマンドの目標値を設定し、電子機器を管理することで基本料金を抑えることができるシステムです。最大デマンドを超えそうな場合はアラートが作動し、自動で電力量を抑えることが可能です。

また、デマンド監視システムを導入することも、デマンドの制御に有効です。これは、設定した最大デマンド値を超えそうになると警告を発し、自動ではなく人の手で電力負荷を制御できる仕組みです。

デマンド制御の仕組み

出典:環境省『デマンド制御の導入』(2020/9/25)

(3)新電力への切り替え、契約の見直しをしよう

2016年4月以降、電気の小売業への参入が自由化され、新電力と言われるさまざまな電力会社がエネルギー業界に参入しています。企業の電力の利用状況、供給電圧などを見直し、それぞれの企業にあった電気料金メニューを提供する会社に乗り換える、もしくはすでに契約をしている電気会社との契約の見直しをすることも、電気代の見直しに非常に効果的です。

4. まとめ:エアコンと照明器具の利用を見直して、節電に取り組もう!

冬の電気代を節約したい企業の方々が知っておくべき節電方法を、冬に電気代が高くなる理由と併せてわかりやすくご紹介しました。エアコンや照明器具の買い替え、電力の利用方法の見直し、デマンド値のコントロール、電力契約の見直しなどを行うことで、固定費の支出を抑えることができます。ただ電気の利用を制限するだけでなく、正しい方法で節電をし、経費の削減を目指しましょう!

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