省エネ法改正のあとで変わる措置内容や基準とは?

企業が事業活動をするうえで、確認・遵守しなければならない省エネ法とその改正。経済産業省は2030年のエネルギー供給の目標であるエネルギーミックス2030を実現するために具体的な策として省エネ法の改正を試むものの、省エネルギーに対する資金投資は未だ十分に行われているとは言えません。省エネ法改正を機に日本国内のエネルギー事情は目標へと近づくのでしょうか?

今回は国内のエネルギー事情の変革を担う省エネ法改正について深堀りしていきましょう。

目次

  1. 省エネ法とは
  2. 省エネ法改正の背景
  3. 省エネ法の改正内容とは?
  4. まとめ

1. 省エネ法とは

企業が活動をするうえで、事業にかかわる法律の改正がある際は、改正前後を比較して必要な対策をしなくてはなりません。そこでまずは改正前の省エネ法から振り返って説明します。

省エネ法とは「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の省略で、石油危機によって国内のエネルギー供給問題を抱えた事をきっかけに制定された法律になります。

この法律は「内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工場等、輸送、建築物及 び機械器具等についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置、電気の需要の平準化に関する所要の措置

※その他エネル ギーの使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的としています。

出典:資源エネルギー庁『省エネ法の概要について』(2017年)

2. 省エネ法改正の背景

省エネ法は2018年6月に交付、同年12月に施行されましたが、どのような背景があって省エネ法改正に至ったのでしょうか?

資源エネルギー庁によると省エネ法改正の理由として3つ挙げられています。

  • エネルギーミックス2030に向けての準備
  • 部門ごとの省エネ対策の必要性が高まる
  • 複数企業が連携して省エネを行えるような環境整備

それぞれの項目をデータをもとに改正が求められた理由について迫っていきます

エネルギーミックス2030に向けての準備

第5回目のエネルギー基本計画の修正にて2030年に理想とするエネルギーミックスが審議されました。

その計画はエネルギーミックス2030といわれ、2013年のエネルギーミックスを基準とし、省エネ活動で5030万klのエネルギー削減を目標としています。その目標を実現するための法整備をする必要がありました。加えて脱炭素社会やSDGsが求められる社会へと変化していたことも法改正をすすめさせました。

出典:資源エネルギー庁『エネルギー基本計画について』

部門ごとの省エネ対策の必要性が高まる

省エネ法改正前は、産業や業務といった部門での省エネ量が2030年のエネルギーミックス目標の20%未満の進展率という現状でした。そのため当時の進展では目標達成できないという予測から、部門ごとに省エネ設備の投資を促す必要がありました。(例えばLED照明へと変更するなどが上げられました。)

特に運搬部門は省エネ量が見込まれるものの、取り組みが停滞していた状況だったこともあり、法改正によって部門ごとの省エネ促進を狙っていました。

複数企業が連携して省エネを行えるような整備の必要性

既存の省エネ法では企業ごとの省エネの取り組みとしては結果が出ていましたが、省エネ目標にはほど遠い結果しかでていませんでした。また、企業の30%以上が省エネ対策に足踏みしている状態が確認されたこともあり、企業間の連携による取り組みでさらなる省エネ量が見込めるとし、改正案を機に企業同士の連携を促進させる必要がありました。

出典:資源エネルギー庁『省エネ法の概要について』(2017年)

3. 省エネ法の改正内容とは?

省エネ法が改正された背景をデータをもとに分析しましたが、では実際にどのように法律が変化したのでしょうか。まずは「エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律」の新旧比較文がこちらになります。

出典:資源エネルギー庁『エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律新旧対』

このなかから改正された重要な点をまとめてみましょう。

連携省エネルギー計画の認定制度の創設

出典:経済産業省『エネルギーの使用の合理化等に関する法律 (省エネ法) の一部を改正する法律について』

まず1点目の改訂内容は、企業ごとのエネルギー消費量に基づいた評価から「連携省エネルギー計画」の認定を受けたものは省エネ量を企業間で分配して定期報告可能になる点です。

連携省エネルギー計画とは省エネ法改正に伴い新たに作られた制度になっており、連携省エネルギー計画を記入の上、経済産業大臣もしくは経済産業局長に提出する必要があります。

この制度は全ての事業者が利用することができるものの、認定を受けた場合、特定事業者でなくとも、定期報告書の提出が必要になる注意点があります。

しかし恩恵もあり税制優遇が受けられるようになります。

青色申告書を提出する個人又は法人であって、連携省エネルギー計画の認定を受けた方は取得価額の30%の特別償却。中小企業者等(※)は取得価額の7%の税額控除との選択適用が可能になります。

出典:資源エネルギー庁『連携省エネルギー計画、認定管理統括事業者の認定制度』

こちらのサイトに連携省エネルギー計画申請の手引きや申請書記入例などがあります。

認定管理統轄事業者の認定制度創設

出典:資源エネルギー庁『エネルギーの使用の合理化等に関する法律 (省エネ法) の一部を改正する法律について』

2点目の変更内容はグループ企業が一体的に省エネ取組を行うことについて認定を受けた場合、親会社による省エネ法の義務(定期報告等)の一体的な履行を認める点になります。

従来の省エネ法の場合、全ての特定事業者が定期報告・中長期計画の提出及び、エネルギー管理統括者の選任を行う必要がありました。しかし法改正後は認定を受けた場合、認定管理統括事業者において提出、選任が行えるように変更されました。

認定制度による留意点やよくある質問については経済産業省資源エネルギー庁が掲載しています。

出典:資源エネルギー庁『PowerPoint プレゼンテーション』

荷主・準荷主定義の変更

出典:経済産業省『エネルギーの使用の合理化等に関する法律 (省エネ法) の一部を改正する法律について』

3点目の変更は荷主の定義変更になります。従来の法では荷主を貨物の所有者として定義していたのですが、改正後は輸送方法を決定するものへと変更しています。この変更により今まで法適応されていなかった荷主にもエネルギー対策を求めることができ、さらなる運搬部門に省エネが期待できるようになります。

また荷主と似た準荷主についても規定し、荷主が決定した輸送方法の下で、到着日時等を指示できる貨物の荷受側を新たに準荷主と位置づけ、貨物輸送の省エネへの協力を求めています。しかし準荷主に関しては努力規定となっているので注意する必要があります。

その他の変更

以上3つが大きな変更になっていますが、他にもいくつか変更点があります。

省エネ取組の優良企業を対象に「中長期計画」提出頻度を軽減を行い、毎年から数年に1度の期間へと変更。

製造業や電気供給業などの一定規模以上の工場で選任が義務付けられている「エネルギー管理士」の免状交付事務を、エネルギー管理士試験事務を行っている「指定試験機関」に委託できるようになりました。

こちらも変更しているので要注意が必要になります。

4. まとめ

2018年に改正された省エネ法ですが、エネルギーミックスの実現に向けてさらにこの法律が適用される場面が多くなることでしょう。経済産業省資源経済産業省資源経済産業省資源エネルギー庁サイトにて手引きや申請書の見本などのサービスが整っているので活用してみましょう。

省エネへの取り組みをコストと捉えずに将来への投資へと考え、この省エネ改正法案を機に他企業との連携でさらなる省エネの取り組みや環境貢献の活動が行えたのならば法を最大限活用できたと言えるのではないでしょうか。

 

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