【知らないと損?】企業にとって電気代が高い時間帯とは?

企業にとって電気代が高くなる時間帯が存在することを知っていますか?電力自由化によって多くの企業が電力小売企業を選ぶことができ、価格競争の影響で電気代を削減できるようになりました。しかし、電気代には高くなる時間帯が存在するため、一度電気代を見直したからといって現在の契約プランが最適とは限りません。

「企業にとって電気代が高い時間帯はいつか」これを把握することでさらに電気代を削減できます。この記事では企業にとって電気代が高い時間帯はいつなのか、そして電気代を効率よく削減するための方法などを解説します。

目次

  1. 企業の電気代が高くなる時間帯は昼間
  2. 電気代(市場価格)が時間帯によって変わる理由
  3. 実際に企業の電気代が高くなるわけではない
  4. 企業の電気代を削減するなら時間帯別プランがおすすめ

1. 企業の電気代が高くなる時間帯は昼間

この章でお話する電気代とは「日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格」です。電力会社が提示する電気料金プランの料金とは異なりますのでご注意ください。

まずは結論からお話しましょう。企業にとって電気代が高くなる時間帯は、電気の需給バランスが崩れやすい「昼間や夕方」です。以下は実際の日本卸電力取引所の取引価格(市場価)の推移です。

出典:一般社団法人 日本卸電力取引所『スポット市場 取引情報』よりアスエネメディアが作成(2020年)

早朝まで1kWhあたり4円前後で推移していますが、人が活動を始める8時前後から価格上昇が始まり正午をすぎたあたりに一気に高騰。16時前後にピークを迎え約1.5倍ほどまで高騰してます。

このように時間帯によって電気代(市場価格)は変動しており、昼間~夕方にかけて価格が高騰する傾向があります。これは前述した「電力の需給バランス」が関係します。

2. 電気代(市場価格)が時間帯によって変わる理由

電力は余った分を貯蔵できない、かつ「発電量が足りなかったので停電します」という訳にいかないため、常に需要(消費電力量)と供給(発電量)を完全に合致させる必要があります。この消費電力量と発電量を同じに調整することを同時同量といい、バランスが崩れると電力の供給が不安定になったり、ひどい場合は停電が発生します。

しかし需要と供給が常に一定とは限りません。発電所のトラブルで発電量が低下する場合や、夏や冬など空調などにより消費電力が多くなる場合などは電力の過不足が生じてしまいます。その際に「電力の需給バランス」が崩れ、電気代(市場価格)が異常値(高騰もしくは低落)を示します。

では、実際の消費電力量の推移を見てみましょう。人が活動を始める朝6時から消費電力が増え、夜9時以降から減少していきます。先ほどの市場価格のグラフと似たような形をしていることが分かります。

出典:経済産業省、資源エネルギー庁『エネルギーを巡る課題と対応』(2010年)

つまり、「昼間や夕方」に電気代(市場価格)が高騰する理由については、昼間や夜間に消費電力量がピークを迎えることで需要が高まり価格高騰。対して、企業や一般家庭が電気を使わなくなる深夜や早朝は消費電力量が少なくなるため、電気代(市場価格)がかなり安価であることが分かります。

しかし、電気代(市場価格)が安い時間帯に電気を使ったとしても、電気代(請求金額)が安くなるわけではありません。

3. 実際に企業の電気代が高くなるわけではない

これまで日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に重きを置いて解説してきましたが、実際に電気料金の計算根拠となっているのは、各電力会社がホームページで公開している料金単価や、個別に契約書で締結した料金単価です。

例えば、東京電力の従量電灯Cの場合は「基本料金+従量料金」で電気代が決まりますが、従量料金は”電気を使った時間帯”は関係なく、あくまで”電気を使った量”で従量料金が決まるプランです。そのため、いくら電気を使う時間帯を工夫しても電気代の削減には繋がりません。

しかし、実際に夜間や早朝の方が電気代が安く、昼間や夕方に電気代が高くなっているのは事実です。そのため、各電力会社は「時間帯別で料金が決まるプラン」を提供しています。

これは単純に時間帯によって市場価格が異なるという理由もありますが、根本的な目的は「電力の安定供給」にあります。前述のとおり、電力を安定供給するためには需給バランスの崩壊を防ぐ…例えば昼間と夜間の需要を平準化することで電力の安定供給に繋がります。

恩恵を受けるためにはまずは契約プランを「電気を使う時間帯によって料金が決定するプラン」に変更する必要があります。

4. 企業の電気代を削減するなら時間帯別プランがおすすめ

企業向けの時間帯別プランとして「深夜電力」が挙げられます。時間帯別に設定された料金によって、より電力需要の少ない時間帯への負荷移行を促進し、電力設備の効率的な使用等を目的としたメニューです。

深夜電力の料金単価は従量電灯より夜間は割安に、昼間は割高になります。そのため、夜間のご使用量の割合が高いほど、電気料金は安くなります。

この他にも高圧向けとして「季節や曜日、時間帯によって料金単価が変わるプラン」があります。前述の深夜電力と同じように、より電力需要の少ない時間帯(夜間・日曜日・祝日等)に電気を多く使うことで負荷移行を促進し、電力設備の効率的な使用等を目的としたメニューです。

このように、電力自由化によって様々なニーズに応えられるように電気料金にも様々な料金プランが生まれました。電気代が安くなる時間帯は、電力会社によって異なりますが、一般的には「夜間」が最も安いと言われています。

最も電気を使用する季節や時間帯に合わせてプランを選びましょう。各電力会社のホームページにシミュレーションページがありますが、法人向けプランは複雑でシミュレーションの精度は高くありません。それよりも、相談次第でより自社の消費スタイルに合った提案を受けられるかもしれないので、積極的に相談してみましょう。

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